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ポジティブ思考やアファメーションが逆に苦しさを生む~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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ポジティブ思考やアファメーションが逆効果になる理由とは?

ポジティブ思考やアファメーションが逆効果になる理由とは?

2026/02/25

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

SNS等を見ていると、ポジティブな言葉がもてはやされ、そしてアファメーション等でポジティブな自己暗示が効果的であるというコンテンツが多々流れています。

 

では、実際の心理学の研究では、こうしたポジティブ思考やアファメーションをどのように取られているのでしょうか?

 

実は研究では…

 

必ずしも効果的とは限らず、むしろ逆効果になる場合もある

 

…という位置づけになっています。

 

では、なぜこうした逆効果が生まれるのでしょうか?

 

そこで今回は研究論文を参考に、ポジティブ思考やアファメーションの研究結果をご紹介しつつ、どのように自分自身のメンタルをケアするのがよいかをシェアしたいと思います。

 

1.ポジティブ思考やアファメーションは本当に効果があるのか?~「前向きに考えよう」がつらくなる理由を心理学から考える~

 

 

自己啓発やメンタルケアの情報の中で、「ポジティブな言葉を繰り返せば気分が良くなる」「自己肯定の言葉が心を変える」といった方法を目にすることは少なくありません。

 

実際に、前向きな言葉を使うことで勇気づけられる経験をした方もいるでしょう。

 

しかし心理学研究では、こうした方法はすべての人に同じように効果があるわけではないことが示されています。

 

むしろ、状況によっては逆効果になる可能性すらあるのです。

 

ここでは研究結果をもとに、「なぜポジティブ自己暗示がうまくいかないことがあるのか」「なぜ苦しさを強める場合があるのか」を深堀していきたいと思います。

 

1-1.ポジティブ自己暗示の研究結果

 

今回参照にした研究では、参加者に対して「私は愛される人間だ」「私は価値のある人間だ」といったポジティブな自己に関する言葉を繰り返してもらい、その後の気分の変化を測定しました。

 

その結果は非常に興味深いものでした。

 

もともと自己評価が高い方 気分がやや良くなる

 

もともと自己評価が低い方 気分が悪化する

 

つまり、最も自信を必要としている人ほど効果が出にくい、あるいは逆効果になる可能性がある

という逆説的な結果だったんですね。

 

これは多くの人にとって意外かもしれませんが、心理的には非常に理解しやすい現象です。

 

1-2.なぜ逆効果が起きるのか~心の中の矛盾~

 

自己評価が低い状態の方が、「私は素晴らしい人間だ」と繰り返したとき、心の中では自然に次のような反応が起きます。

 

✔「本当にそうだろうか?」


✔「そんなはずはないのではないか?」

 

つまり、言葉と内面の感覚の間にズレが生じるのです。

 

このズレは心理学では「認知的不協和」と呼ばれる現象に近く、不快感や違和感を生みだす原因となります。

 

その結果として、気分の悪化や自己否定の強まり、心理的ストレスの増加が起きる可能性が示されています。

 

研究でも、否定的な考えを完全に消そうとするよりも…

 

肯定的な面と否定的な面の両方を認める方が気分が改善しやすい

 

…という傾向が示されています。

 

これは非常に重要なポイントです。

 

人の心は単純に「良い方向」に書き換えられるものではなく、現実との一致が非常に重要だからです。

 

1-3.無理なポジティブ思考が苦しさを生む理由

 

心理的な視点から見ると、気分が落ち込んでいるときに無理にポジティブになろうとするほど、かえって苦しさが強まることがあります。

 

その背景にはいくつかの要因があります。

 

(1)現実とのズレが広がる

 

自分の内側では「つらい」「不安だ」「自信がない」と感じているのに、「大丈夫」「前向きに考えよう」と言い聞かせると、心の中で矛盾が生まれます。

 

この矛盾は違和感やストレスとなり、むしろ気分を悪化させることがあります。

 

心は本来、感じていることと認識していることが一致している方が安定します。

 

そのため、無理な前向きさは逆に心の負担になる場合があるのです。

 

(2)自己否定感が強まる

 

前向きになろうとしてもうまくいかないと、「前向きになれない自分はダメだ」「努力が足りないのではないか」といった二次的な自己批判が生まれます。

 

つまり、もともとの落ち込みに加えて、「できない自分を責める」という新たな苦しさが重なってしまうのです。

 

(3)挫折感が増える。

 

努力しても気分が変わらない経験が続くと、「自分は変われない」「何をやっても無駄だ」という感覚が強まりやすくなります。

 

これは希望を弱め、回復のエネルギーを低下させる要因になります。

 

特に気分が落ち込んでいるときほど、こうした影響は強くなります。

 

その結果として…

 

① 気分が悪い

② 前向きになろうとする

③ うまくいかない

④ 自己否定が強まる

 

…という悪循環が生じることがあります。

 

これは決して珍しいことではなく、多くの方が経験している自然な心理反応です。

 

大切なのは、「前向きになれない自分」を責めるのではなく、今の状態に合った方法で心を整えていくことなんですね。

 

2.ポジティブになる代わりに実践したいこと~ACTの観点より~

 

 

私の専門であるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)は、無理なポジティブ思考が逆効果になる可能性を示した今回ご紹介した研究の結果と非常に相性の良い心理療法です。

 

ACTの基本的な考え方はとてもシンプルで「感情を変えようとしすぎない」ということを大切にします。

 

私たちはつらい気分になると、「不安をなくしたい」「自信を持ちたい」「前向きにならなければ」と思いがちです。

 

しかしACTでは、目指す方向はそこではありません。

 

つまり、重要なのは「ポジティブになること」ではなく「感情に支配されず行動できること」

です。

 

つまり…

 

✔「不安があっても前へ進める」

 

✔「自信がなくても行動できる」

 

という状態を目指します。

 

これは感情が完全に整ってから行動するのではなく、感情がある状態でも行動できる柔軟性を大きくするということが実際に効果が高いため、ACTはここを重視します。

 

2-1.ACT的に見ると何が問題なのか

 

ACTの視点では、問題はネガティブな感情そのものではありません。

 

問題になるのは、「感情をコントロールしようとしすぎること」です。

 

心理学ではこれを「体験の回避」と呼びます。

 

体験の回避とは、不快な感情や思考を感じないようにしようとする行動全般を指します。

 

例えば、不安を消そうとしたり、ネガティブ思考をなくすための努力をする、無理に前向きになろうとする、落ち込みを感じないように努力する、といったことです。

 

これらの努力は確かに短期的には楽になることがあります。

 

しかし長期的には…

 

✔感情への過敏さが増す

 

✔自己否定が強まる

 

✔行動が制限される

 

…という悪循環につながることがあります。

 

ポジティブ思考やアファメーションが逆効果になる研究結果は、まさにこの「体験の回避」の問題を裏付けていると言えるでしょう。

 

2-2.ACT的な代替アプローチ

 

ACTでは、無理にポジティブになろうとする代わりに、より現実的で負担の少ない方法を用います。

 

① 感情をそのまま認める

 

まず大切なのは、「今、不安を感じている」「自信がない気持ちがある」と気づくことです。

 

ここで重要なのは、無理に感情や考えを変えようとしないことです。

 

感情を認めることは、あきらめることでも、そのネガティブな感情や考えを肯定するものでもなく、感情や思考との闘いをやめることで、エネルギーを行動に向けやすくするという狙いがあるのです。

 

② 思考を事実と分ける

 

「私はダメだ」「うまくいかないに違いない」といった考えが浮かぶことは、誰にだってあります。

 

ACTでは、それを「事実」として扱うのではなく、「心に浮かんだ考えの一つ」として扱います。

 

つまり、「私はダメだと思っている自分がいる」というスタンスで少し距離を取るイメージです。

 

この距離ができると、私たちはネガティブな感情や思考に思考に振り回されにくくなります。

 

③ 価値に基づいた行動を選ぶ

 

ACTの最も重要なポイントはここです。

 

行動の基準を気分ではなく、「自分が大切にしたい方向」に置きます。

 

例えば、「人とのつながりを大切にしたい」「成長を大切にしたい」「誠実に生きたい」といった価値です。

 

気分が良くなってから行動するのではなく、価値に向かって行動することで結果として気分が変化するということは、多くの研究によって裏付けされています。

 

つまり「気分→行動」ではなく「行動→気分」という発想が大切なんですね。

 

まとめ

 

今回ご紹介した研究から分かる大切なポイントは、とてもシンプルです。

 

無理にポジティブになろうとしないこと。なぜなら逆効果になりやすいから。


…ということです。

 

気分が落ち込んでいるときや自己評価が低いときに、前向きな言葉を繰り返しても、かえって苦しくなることがあります。

 

それは「できない自分が悪い」のではなく、心の仕組みとして自然な反応です。

 

そのためACTの視点では、「感情を変えようとしすぎない」「思考に振り回されすぎない」「大切にしたい方向に向かって行動する」…ということが回復につながると考えます。

 

不安があってもいいですし、自信がなくてもいいんですね。

 

それでも一歩進めることが大切なのです。

 

もし「前向きになれない自分」に苦しんでいるなら、無理に変えようとするのではなく、今の状態を認めながらできる行動を探していくことが、結果として心を楽にする近道になるかもしれません。

 

無理なポジティブ思考やアファメーションは苦しくなってしまう可能性が高くなります。

 

そのため、まずは「その無理」を手放すようにしていきましょう。

 

参考論文

Positive Self-Statements: Power for Some, Peril for Others

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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