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摂食障害とトラウマ、PTSDの関係~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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摂食障害と心の関係とは?~解離、トラウマ、抑うつとの関係から~

摂食障害と感情処理の問題とは?~解離、トラウマ、抑うつとの関係から~

2026/03/05

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

摂食障害と聞くと、多くの方は「食べ過ぎる」あるいは「食べることを拒絶する」という食行動の問題として捉えるかと思います。

 

もちろん、それは決して間違いではなく、摂食障害は食に関する問題が生じるという際立った特徴があります。

 

しかし心理学や精神医学の研究では、摂食障害の背景には「感情の処理の難しさ」「トラウマ体験」「解離症状」など、より深い心理的要因が関係していることが指摘されています。

 

また今回参照にした研究では、摂食障害の患者において「解離症状が比較的高い割合で見られる」ということが報告されています。

 

そのため…

 

摂食障害は単なる食行動の問題ではなく、心の防衛反応として理解できる側面がある

 

…という点が重要になってきます。

 

そこでここでは、研究内容をもとに心理カウンセラーの視点から、上記の詳しい内容をシェアしたいと思います。

 

※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものでも効果を保証するものでもありません。

※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1.摂食障害の背景にある「解離」という心の仕組み~食行動だけでは説明できない心理的メカニズムとは~

 

 

摂食障害というと、「食べすぎてしまう」「食べることが怖い」といった食行動の問題として理解されることが多いかもしれません。

 

それはある意味では正しいものなのですが、先述しましたように心理学や精神医学の研究では少し異なります。

 

つまり、摂食障害の背景には強いストレス体験、トラウマ、感情の扱いにくさ、そして解離という心の反応が関係していることが指摘されているのです。

 

特に臨床研究では、摂食障害の人の中に解離症状を経験している人が比較的多いことが報告されています。

 

これは、食行動の問題が単独で起きているのではなく、心の防衛反応や感情調整の難しさと関連している可能性を示しています。

 

ここでは研究内容も踏まえながら、摂食障害と解離の関係について深堀していきたいと思います。

 

1-1.解離とは何か~心が自分を守る仕組み~

 

まず、「解離」という言葉について説明します。

 

ただ、「解離」と言ってもピンとこない方も少なくありませんよね。

 

解離とは簡単に言えば、「強いストレスやトラウマから心を守るための心理的反応」と言えるでしょう。

 

人は強いストレスや恐怖を経験すると、その出来事をそのまま受け止めることが難しくなることがあります。

 

そのようなとき、心は自分を守るために意識や感覚を切り離すような働きを起こすことがあります。

 

これが解離です。

 

解離にはさまざまな形があります。

 

例えば次のような体験です。

 

✔自分が自分ではないように感じる


✔周囲の世界が現実ではないように感じる


✔出来事の記憶が部分的に抜け落ちる

 

✔意識がもうろうとして外部からの呼びかけになかなか応答しない

 

✔感情を感じにくくなる


✔身体の感覚が遠く感じる

 

こうした状態は、異常な反応というよりも、むしろ心が強い負担から身を守ろうとする防衛反応として理解されるべきものです。

 

例えば、非常に怖い出来事が起きたとき、人は「その場にいないような感覚」になることがあります。

 

これは心がその出来事の衝撃を弱めるための働きとも考えられます。

 

本来、解離は一時的に起きる反応です。

 

しかし、この状態が繰り返されたり慢性的になると、解離症状が顕著になり「解離性障害」として生活に影響する場合があります。

 

解離性障害の症状は主に以下の通りです。

 

✔解離性健忘

→重要な個人的情報(多くはストレス下のできごと)を思い出せない。


✔解離性同一性障害

→自己同一性が断片化し、別人格が交代して表れる。


✔離人症・現実感消失障害

→自分や周囲の世界が現実のものではない感覚。


✔その他

→フラッシュバック、日常生活への支障(記憶の断片化、身に覚えのない物、道に迷うなど)。

 

特に、長期間のストレスやトラウマ体験がある場合、解離が心の対処方法として定着してしまうこともあります。

 

1-2.研究の概要~摂食障害患者に見られた解離症状~

 

今回紹介する研究は、摂食障害と診断された患者を対象に、解離症状の有無が調べたものです。

 

そして結果として、摂食障害患者の約29%に解離性障害が認められました。

 

具体的には、解離性同一性障害や離人症などが確認されています。

 

この割合は一般人口と比較すると比較的高いと考えられています。

 

つまり、摂食障害の背景には、解離という心理反応が関係している場合が一定数存在する可能性が示されたということです。

 

ただし、この結果は「すべての摂食障害に解離がある」という意味ではありません。

 

研究が示しているのは、摂食障害と解離には関連が見られるケースがあるという点です。

 

先述しましたように、29%というのは一般の解離に関する症状の発生率を超えるものです。

 

そのため、摂食障害の背景に解離の問題を抱えている方が一定数おられるという意味で、非常に重要です。

 

1-3.摂食障害とトラウマの関係

 

研究ではもう一つ重要な点が指摘されています。

 

それは、過去の虐待体験との関連です。

 

調査では、一部の患者に身体的、精神的、あるいは性的な虐待を経験した方がおられることが確認されました。

 

こうした体験は、心に大きな負担を与える可能性があります。

 

その結果として、以下の悪循環が生じることとなります。

 

トラウマ体験

解離反応

感情調整の困難

 

そして、この感情調整の難しさが、摂食行動の問題として現れる可能性があると考えられています。

 

ただし、ここで大切なのは、すべての摂食障害にトラウマがあるわけではないという点です。

 

そのため、「摂食障害がある=解離や虐待の問題が存在する」と安易に決めつけるべきではありません。

 

ただ、心理臨床としては、摂食障害を抱えている方の背景に解離や虐待の経験がないかどうかを慎重に確認する必要があることを、この研究は示しています。

 

また、摂食障害の原因は非常に多様です。

 

そして心理的要因だけでなく、生物学的要因や社会的要因も関係しています。

 

それでも、臨床現場では「トラウマ体験 → 解離 → 感情調整の困難」というパターンが見られることは珍しくありません。

 

1-4.その他の併存疾患との関係

 

摂食障害の患者では、他の精神的な問題が同時に見られることが少なくありません。

 

今回の研究でも、多くの患者に併存精神疾患が確認されました。

 

特に多く見られたのはうつ病で、患者の約74%に認められました。

 

気分の落ち込み、意欲の低下、自己否定感などの症状は、摂食行動の問題と強く結びつくことがあります。

 

食事のコントロールが自己評価や感情調整の手段になってしまうケースも少なくありません。

 

次に多かったのは境界性パーソナリティ障害で、約53%に見られました。

 

この状態では、感情の揺れが大きいことや対人関係の不安定さ、衝動的な行動などが特徴として知られています。

 

こうした感情の激しい変化や空虚感が、過食や食事制限といった行動につながることがあります。

 

さらに、約26%の患者に心的外傷後ストレス障害(PTSD)が確認されました。

 

過去のトラウマ体験が影響し、強い不安や記憶の再体験、感情の麻痺などが生じることがあります。

 

こうした心理的苦痛を和らげる手段として、食行動が変化する場合もあります。

 

このように、摂食障害は単独の問題として現れることもありますが、多くの場合、他の精神的な問題と複雑に関係しながら生じている可能性があると考えられています。

 

そのため、治療や支援では食行動だけでなく、背景にある心理的な苦しさにも目を向けることが重要になります。

 

 

2.なぜ摂食行動が問題として現れるのか

 

 

では、なぜ心理的な問題が「食行動」という形で現れるのでしょうか。

 

心理学ではいくつかの理由が考えられています。

 

● 感情調整の手段としての食行動

 

人は強いネガティブな感情を感じたとき、その感情をどう扱えばよいか分からなくなることがあります。

 

こうした感情が強すぎるとき、人はそれを調整するために特定の行動を取ることがあります。

 

その一つが食行動です。

 

例えば…

 

✔食べることで安心感を得る

 

✔食べないことで感情やセルフイメージをコントロールしようとする

 

…といった行動です。

 

つまり、食行動が感情を調整する手段になっている場合が少なくないんですね。

 

2-1.身体をコントロールすることで安心を得る

 

人生の中でコントロールできない出来事が多いと、人はどうしても強い無力感を感じがちになります。

 

そのとき、体重や食事、体型などは、自分の身体をコントロールすることで安心感を得ようとするための手段となります。

 

食事や体重は、自分で管理できる数少ない領域の一つです。

 

そのため、「身体のコントロール=安心感」という心理的なつながりが生じやすくなるんですね。

 

2-2.解離状態が食行動に影響する

 

解離状態では、感情の感覚が鈍くなったり、身体感覚が分かりにくくなることがあります。

 

その結果…

 

✔空腹感が分かりにくくなる

 

✔満腹感が分かりにくくなる

 

…といったことが起きる可能性があります。

 

また、自分の身体とのつながりが弱くなることで、食行動が極端になりやすいとも考えられています。

 

まとめ~摂食障害を理解するために~

 

摂食障害は、食べることの問題だけではなく、心の問題でもあります。

 

だからこそ、安心できる関係の中で感情を理解し心の負担を整理することが回復の大きな助けになります。

 

また摂食障害を抱えてしまっている場合は、一人で解決しようとせず、医師や心理カウンセラーに相談することも選択肢の一つです。

 

どうか、摂食障害を正しく理解し、そして回復へのプロセスを進めていってくださいね。

 

参考論文

Symptoms and Disorders in Patients with Eating Disorders

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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