うつ病からの職場復帰に本当に必要な支援とは?
2026/04/08
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
うつ病で休職していると、「まず症状を治せば自然に戻れるはず」と思われることがあります。
確かに、抑うつ症状の回復はとても大切です。
しかし、今回参考にしている研究論文がが示しているのは、復職支援では、臨床的な支援と仕事への働きかけを組み合わせることが比較的有望だという点です。
特に、職場に関する支援と臨床的介入を組み合わせた介入は、1年以内の病欠日数をおそらく減らすとされました。
つまり、うつ病の休職・復職支援は、「症状を下げること」だけでなく、「仕事に戻りやすい形をどう作るか」を一緒に考えることが重要、ということになります。
そこで、このブログではうつ病による休職等から復職するために何が必要なのかということをシェアしたいと思います。
※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものでも効果を保証するものでもありません。
※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。
1.うつ病で休職したとき、職場復帰をどう支えればよいのか?
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うつ病で休職すると、つらいのは症状そのものだけではありません。
「いつ戻れるのか」「戻って続けられるのか」「また悪くならないか」といった不安も大きくなりやすいものです。
今回の研究から見えてくるのは、復職支援は「気持ちの回復」だけでも、「職場の調整」だけでも足りないことがあるということです。
具体的には、症状への支援と、働き方や職場との調整をつなげて考えることが大切だとわかってきます。
1-1.この研究の調査内容
研究論文を参考にしていますので、論文の概要を簡単にまとめますね。
まず、この研究は、うつ病や強い抑うつ症状がある人に対して、仕事を休む日数を減らしたり、職場復帰を支えたりする方法に効果があるのかをまとめて調べたものです。
いろいろな研究を集めて比べていて、対象になったのは無作為化比較試験など45研究、88群、12,109人とかなり規模の大きなものです。
そして調べられた内容には、たとえば次のようなものが含まれていました。
職場への働きかけを含む支援
心理療法や心理カウンセリング
抗うつ薬
医療の受けやすさや支援体制の改善
運動
この研究が大事なのは、「うつ病そのものに何が効くか」だけではなく、仕事に戻るためにはどんな支援が必要なのかを考える材料になるという点です。
1-2.なぜ復職の問題はそんなに大きいのか?
うつ病になると、気分の落ち込みだけでなく、集中しにくさ、疲れやすさ、意欲の低下、人と関わるしんどさなどが出ることがあります。
そのため、仕事を休むことや、職場でうまく対応することが難しくなる可能性が高まってしまいます。
実際には、復職に際して以下のような思いが浮かんでくるものです。
症状は少し良くなってきたけれど、仕事の負荷に耐えられるか不安
元のペースに戻れる気がしない
休んでいることに罪悪感がある
復職しても再び悪化しないか心配
つまり、復職の問題は単なる「うつ病特有の気分の問題」ではなく、生活全体に関わる課題として考える必要があります。
1-3.いちばん有望だったのは「心の支援」と「職場の支援」を組み合わせること
この研究で比較的よい結果が見られたのは、職場に関する支援と、症状への支援を組み合わせた方法でした。
例えば、次のようなものを「ばらばら」ではなく、「つながり」のある形で進めるイメージです。
心理カウンセリングや治療を受ける
復職のペースを調整する
業務量や仕事内容を見直す
上司や産業保健スタッフと連携する
研究では、このような組み合わせによって、仕事を休む日数が減る可能性が示されました。
つまり、復職しやすい形をつくる助けにはなりそうだ、ということです。
1-4.職場の調整だけでは十分ではないことも
研究では、職場への支援だけを単独で行う方法についても調べられていました。
しかし、これだけで明確な改善が見られたとは言いにくい結果でした。
これは、「職場調整に意味がない」ということではありません。
意味としては、仕事の環境だけを整えても、抑うつ症状や集中力の低下、意欲の落ち込みが強いままだと、十分な効果が出にくいということです。
例えば…
勤務時間を短くした
業務量を減らした
復職の形を工夫した
…と言う取り組みがあっても、ご本人のしんどさが強ければ、それだけでは支えきれないことがあります。
だからこそ、職場だけを見るのではなく、心の回復も一緒に支えることが大切になります。
1-5心理療法やカウンセリングは復職にどのような意義を持つか?
研究では、心理療法や心理カウンセリングだけでも、症状の改善や病欠日数の減少に役立つ可能性が示されました。
これはとても大事な点です。
うつ病で休職している方にとって、気持ちを整理したり、自分の状態を理解したり、回復の進め方を一緒に考えたりすることは大きな支えになります。
ただし、ここでも大切なのは、心理療法を「効く・効かない」で単純に分けないことです。
研究から見えるのは、症状にはよい影響がありそうでも、仕事の能力や働き続けやすさまで十分に改善するとは言い切れないということです。
そのため、復職を考えるときには…
心理カウンセリングで気持ちや考えを整える
必要に応じて主治医と相談する
職場との調整も並行して進める
…というように、いくつかの支援を組み合わせることが現実的かつ効果的です。
1-6.「支援を受けやすいこと」そのものの重要性
この研究では、特別な技法だけでなく、医療や支援の体制が整っていることにも意味がある可能性が示されました。
これは、復職支援で大切なのは…
必要な治療につながりやすいこと
フォローが続くこと
支援者どうしが連携しやすいこと
困ったときに相談しやすいこと
…といった、支援の受けやすさそのものです。
うつ病からの復職は、本人の努力だけで決まるものではありません。
支えてくれる人や仕組みがあるかどうかも、とても大きいのです。
1-7.薬や運動だけで解決する?
研究では、抗うつ薬どうしを比べても、復職や病欠に大きな差があるとは言えませんでした。
また、運動についても、一部では役立つ可能性が示されたものの、「これさえやれば十分」と言えるほどはっきりした結果ではありませんでした。
ここから言えるのは、ひとつの方法だけで万能に解決するわけではないということです。
もちろん、薬が必要な方もいますし、運動が助けになる方もいます。
ただし、復職を考えるうえでは以下の内容を合わせていく必要があります。
症状への支援
働き方の調整
職場との連携
継続的なフォロー
1-8.この研究が教えてくれる大事なこと
この研究から見えてくるのは、うつ病で仕事を休むことや復職することは、単なる気分の回復だけでは決まらないということです。
気分が少し良くなっても、以下の事を別に考えていく必要があります。
疲れやすさはどうか
集中力は戻ってきているか
人と関わる負担はどうか
元の業務量に耐えられそうか
どんな働き方なら続けやすいか
つまり、復職支援では、症状の回復と働き方の再設計を同時に進める視点が大切になります。
1-9.うつ病の休職・復職支援で大切にしたい3つの視点
(1)症状が少し良くなったことだけで復職を決めない
気分が上向いてきても、仕事に必要な力が十分に戻っているとは限りません。
集中力、疲労感、ストレスへの耐性などは、別に見ていく必要があります。
(2)職場への働きかけを早めに考える
復職のタイミングが近づいてからあわてて調整するより、早めに…
勤務時間
業務内容
復職のペース
周囲の理解や連携
…という内容をを考えておくほうが進めやすくなります。
(3)「早く戻ること」だけをゴールにしない
大切なのは、ただ早く戻ることではありません。
無理なく続けられる形で戻ることが大事です。
急いで戻ってまた悪化してしまうと、本人にとってもつらい経験になりやすいです。
だからこそ、「どのくらい早いか」より、「どのくらい続けられるか」を大事にしたいところです。
まとめ
うつ病による休職や復職の支援では、心の支援だけでも、職場の調整だけでも足りないことがあると考えられます。
研究では、症状への支援と職場への支援を組み合わせる方法が、比較的有望でした。
一方で、「この方法さえあれば大丈夫」と言えるほど単純でもありません。
だからこそ、復職支援では…
症状の回復をみること
働き方を調整すること
支援体制を整えること
無理なく続けられる形を目指すこと
…という内容を一緒に考えていくことが大切です。
うつ病から仕事に戻ることは、単なる症状の軽減だけで判断するべきではありません。
確かにそれも重要ですが、自分の状態を丁寧に見ながら、支援と環境を整えていくプロセスとして考えることが、回復への助けになります。
参考論文
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こころのケア心理カウンセリングRoom
兵庫県芦屋市浜芦屋町1-27 サニーコート浜芦屋302号
電話番号 : 090-5978-1871
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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