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双極症(双極性障害)と認知機能の関係~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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双極症II型と認知機能の関係とは?~意外と多い「頭が働かない」問題について~

双極症II型と認知機能の関係とは?~意外と多い「頭が働かない」問題について~

2026/04/10

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

双極症(双極性障害)II型というと、気分の落ち込みや軽躁状態に注目が集まりやすいですが、実際には「考えがまとまりにくい」「覚えておきたいことが抜ける」「頭の切り替えがしづらい」といった困りごとが気になる方も少なくありません。

 

つまり「認知機能の低下」ですね。

 

ただ、認知的機能…と言えば誤解が生じるかもしれません。

 

ここで言う認知機能とは、難しい言葉で言うと専門的ですが、日常的には「考える・覚える・整理する・切り替えるための頭の働き」のことを指します。

 

もっとシンプルに言うと「日常生活や仕事を進めるための、頭の動き」と考えて大丈夫です。

 

誤解していただきたくないのは、「認知機能」というものは、当然いわゆる「認知症」とは異なりますし、また「頭が悪くなった」という意味ではありません。

 

認知機能…というと、「頭が悪くなったのでは」と不安になる方もいます。


しかし、これは能力そのものがなくなったというより、双極症により今は頭を使いにくい状態になっていると考えたほうが自然ですし、実際に則しています。

 

もちろん、双極症Ⅱ型だからと言って、全ての方が一律に認知機能に問題が生じるとは限りません。

 

ただ、気分の波とは別に認知面のしんどさが生活や仕事に影響していることは珍しいケースではありません。

 

そこで今回は双極症Ⅱ型と認知機能の関係についてシェアしたいと思います。

 

※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものでも効果を保証するものでもありません。

※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1.双極症Ⅱ型では「気分の波」だけでなく、頭の働きにくさが気になることも

 

 

双極症Ⅱ型というと、抑うつや軽躁といった気分の波に注目が集まりやすいですが、実際にはそれだけでは語れないしんどさがあります。

 

例えば、「前より考えがまとまりにくい」「人の話を聞きながら整理するのが難しい」「仕事の段取りが頭に入りにくい」といった困りごとです。


こうした感覚は、周囲からは見えにくいため、ご本人だけが苦しんでいることも少なくありません。

 

そこで今回は、双極症Ⅱ型と認知機能の関係をまとめた研究レビューをもとにシェアしたいと思います。

 

1-1.この研究は何を調べたのか

 

まずは研修内容をサラッとご説明しますね。

 

この研究は、双極症Ⅱ型の方に認知機能の困りごとがみられるのかを、過去の複数の研究を集めて整理したものです。

 

このテーマが大切なのは、双極症Ⅱ型が「双極症の中では軽いほう」と受け取られやすい一方で、実際には日常生活や仕事にかなり影響する負担があるかもしれないからです。


この研究では、気分の波だけでなく、考える力、覚える力、切り替える力といった面まで含めて理解することが重要だということを示しています。

 

1-2.比較的一貫して見られたのは、ワーキングメモリの弱さ

 

このレビューで比較的一貫して示されたのは、ワーキングメモリの弱さです。


ワーキングメモリという言葉は少し専門的ですが、シンプルに言えば、一時的に情報を頭に置きながら考えるチカラのことです。

 

ワーキングメモリとは、例えば以下のようなものを指します。

 

人の話を聞きながら内容を整理する


複数の手順を頭の中で保ちながら作業する


途中まで考えていたことを保ちながら次の判断をする

 

この力が落ちていると、生活の中では、以下の困りごとが現れやすくなります。


「話を聞いているうちに何が大事かわからなくなる」


「説明を受けても途中で混乱しやすい」


「段取りを頭の中で保ちながら進めるのが疲れる」

 

1-3.実行機能の一部にも、しんどさが出ることがある

 

研究では、実行機能の一部にも困りごとが見られる可能性が示されていました。

 

実行機能とは、やるべきことを考えて、順番を決めて、注意を向け続けながら進めるための「頭の司令塔」のような働きです。

 

もっとシンプルに言うと、考えや行動をうまくまとめて進めるチカラです。

 

とくに、抑制に関わる力、つまり「必要のない情報に引っぱられすぎず、必要なことに注意を向けるチカラ」や「考えや行動にブレーキをかけるチカラ」にしんどさが出ることがあります。

 

これを日常の感覚で言い換えると、以下のような体験に近いかもしれません。

 

「気が散りやすい」


「頭の中に余計なことが入りやすい」


「考えを切り替えにくい」


「やるべきことに集中し続けるのが難しい」

 

こうしたケースでは、ご本人にとっては、「ちゃんとやろうとしているのに、うまく頭がついてこない」という感覚になりやすく、そこがつらさやしんどさにつながります。

 

1-4.言葉で覚える力は、落ちる人もいればそうでもない人もいる

 

このレビューでは、言語記憶についても調べられていました。


言語記憶とは、言葉で聞いたことや読んだことを覚えておくチカラです。

 

生活の中では、たとえば次のような形で感じられることがあります。

 

「説明を聞いても頭に入りにくい」


「読んだ内容が残りにくい」


「言われたことを後から思い出しにくい」

 

ただ、この部分については結果が一様ではありませんでした。

 

つまり、これはすべての人に同じように起きるわけではありません。


そのため、「双極症Ⅱ型だから必ず記憶が悪くなる」と考えるのではなく、困りごとの出方には幅があると理解することが大切です。

 

1-5.認知機能が保たれている人もいる、という点も大切

 

この研究でとても大事なのは、認知機能の低下を示した研究がある一方で、はっきりした低下が見つからなかった研究もあるという点です。

 

これは、双極症Ⅱ型の方の中でも、認知面の困りごとがかなり目立つ方もいれば、あまり目立たない方もいることを意味しています。


つまり、双極症Ⅱ型=認知機能が低下すると単純には言えません。

 

しかし一方で、本人が困っているのに、「検査で必ず異常が出るわけではないから気のせい」と片づけるのも適切ではありません。

 

1-6.日常生活では、どんな困りごととして表れやすいのか

 

研究は主に検査結果をもとにしていますが、それを生活場面に置き換えると、双極症Ⅱ型では次のような悩みが起こりえます。

 

話を聞きながら整理するのが疲れる。


仕事や家事の手順を頭の中で保ちにくい。


途中で気が散ると、元の流れに戻りにくい。


考えを切り替えるのに時間がかかる。


以前より「頭が鈍い」「回転が遅い」と感じる。

 

こうした困りごとは、ご本人にとってとても切実です。


しかも外からは見えにくいため、ご本人も周囲の方々も「やる気が落ちているのでは」と誤解されることもあります。


ですが、本人の中では、気分の落ち込みだけでは説明しにくい「頭の働かせにくさ」として感じられていることがあります。

 

2.セルフケアで大切にしたい視点

 

 

この論文を踏まえると、双極症II型のセルフケアでは、気分の波だけでなく、認知面のしんどさにも目を向けることが大切です。


研究が示しているのは、双極症II型でも認知機能の困りごとが起こりうること、ただしその出方や強さは人によって違うということです。

 

そのためセルフケアでは「今の気分はどうか」だけでなく…


「考えがまとまりやすいか」


「覚えにくさはないか」


「段取りを立てにくくなっていないか」


「気持ちや考えの切り替えがしづらくなっていないか」


…と言う面も一緒に見ていくことが役立ちます。

 

また、認知面のしんどさがあると、自分を責めやすくなります。

 

というのは、「前よりできない」、「こんなに忘れるのは自分がだめだからだ」と考えてしまいやすいからです。


しかし、こうした困りごとは、性格や努力不足だけで片づけるものではありません。

 

症状の一部、あるいは今の心身の状態に関係する困難として理解することが、自分を守る助けになります。

 

2-1.シンプルにできるセルフケアの方法


(1)気分だけでなく「頭の働き」も一緒に確認する

 

ここでは、その日の気分だけを見るのではなく…


「今日は集中しやすいか」


「考えがまとまりやすいか」


「忘れやすさは強いか」


という観点で自分を軽く振り返ってみます。


今の自分自身の頭の働きの変化に気づけると、無理をしすぎる前に調整しやすくなります。

 

(2)段取りは頭の中だけで抱えない

 

誰だってそうですが、やることを頭の中だけで整理しようとすると疲れやすくなります。

 

特に双極症Ⅱ型の場合は、頭の中だけの整理は思っている以上に負荷が生じてしまいます。


そのため…

 

メモに書く


やることを1つずつ分ける


順番を見える形にする


…といった工夫が役立ちます。


「覚えておく」より「書いて外に出す」ことがポイントです。

 

そうすると、脳の負荷が下がるので、脳の認知的機能が回復しやすくなっていきます。

 

(3)予定を詰め込みすぎない

 

考える力や切り替える力が落ちているときは、普段より消耗しやすくなってしまいます。


そのため、1日の予定を少なめにし、休む時間を先に入れておくことも大切なセルフケアです。

 

(4)うまくできない日は「能力の低下」ではなく「状態の波」と考える

 

これは超重要です!

 

調子が悪い日に何かがうまくいかないと、自分を責めたくなります。


でもその日は、能力の不足というより、認知機能の一次的な低下の影響でやりにくくなっていると考える方が自然です。


まずは「今日は頭も疲れているのかもしれない」と受け止めることが大切です。

 

(5)困りごとを具体的にする

 

自分自身の状態を、「なんとなくしんどい」だけだと対処が難しくなります。

 

そのため、困りごとをある程度具体化することが役立ちます。


例えば…

 

覚えにくい


集中しにくい


切り替えに時間がかかる


段取りが立てにくい


…というように、困りごとを具体的にすると、対策も立てやすくなります。

 

まとめ

 

双極症II型のセルフケアでは、気分だけでなく、考える力、覚えるチカラ、段取りや切り替えのしやすさにも目を向けることが大切です。


そして、うまくいかないときに自分を責めるのではなく、今の状態の影響かもしれないと理解することが、自分を守る助けになります。

 

双極症Ⅱ型で発生する「頭が上手く働かない」という困りごとは、双極症Ⅱ型の治療やケアを行う中できちんと回復していきます。

 

どうか、自分に合ったセルフケアを続けてくださいね。

 

よくある質問|双極症Ⅱ型と認知機能の関係

 

双極症Ⅱ型では、気分の波だけでなく、集中力や記憶、段取りのしづらさが気になることがあります。


ここでは、双極症Ⅱ型の認知機能低下、物忘れ、仕事への影響など、よくある疑問をわかりやすくまとめました。

 

Q1. 双極症Ⅱ型では認知機能が低下することがありますか?

 

はい、あります。


双極症Ⅱ型では、気分の波だけでなく、考えにくさ、集中しにくさ、覚えにくさといった認知機能の負担がみられることがあります。


ただし、すべての人に同じように起こるわけではなく、困りごとの出方には個人差があります。

 

Q2. 双極症Ⅱ型の認知機能低下とは、どんな症状ですか?

 

双極症Ⅱ型でみられる認知機能の困りごとには、たとえば次のようなものがあります。

 

話を聞きながら整理するのがしんどい


仕事や家事の手順を頭に保ちにくい


気が散りやすい


考えを切り替えにくい


以前より頭が回りにくいと感じる

 

このような状態は、日常生活や仕事のしづらさにつながることがあります。

 

Q3. 双極症Ⅱ型の物忘れや集中力低下はよくあることですか?

 

はい、そうした悩みを感じる方はいます。


双極症Ⅱ型では、物忘れ、集中力の低下、考えのまとまりにくさが気になることがあります。


ただし、それが必ず起こるわけではありませんし、強さも人によって異なります。

 

Q4. 双極症Ⅱ型で気分が安定していても、頭の働きにくさは残りますか?

 

残ることがあります。


気分の落ち込みや軽躁が目立たない時期でも、集中しにくい、段取りしにくい、覚えにくいといった感覚が続く方はいます。


そのため、双極症Ⅱ型では、気分だけでなく認知機能の状態もあわせて見ていくことが大切です。

 

Q5. 双極症Ⅱ型の認知機能低下は仕事に影響しますか?

 

影響することがあります。


たとえば、段取りを立てにくい、複数のことを同時に考えにくい、説明を聞いても頭に入りにくいといったことがあると、仕事の負担は大きくなりやすいです。


周囲には見えにくいため、本人がひとりで無理をしやすい点にも注意が必要です。

 

Q6. 双極症Ⅱ型の認知機能の問題は、性格や努力不足なのでしょうか?

 

それは決してありません。


「集中できない」「忘れやすい」「考えがまとまらない」といったことは、性格や甘えの問題ではなく、双極症Ⅱ型の状態や心身の負担と関係している可能性があります。


自分を責めすぎず、まずは困りごとを具体的に整理することが大切です。

 

Q7. 双極症Ⅱ型の認知機能低下は、周囲にどう伝えればよいですか?

 

「気分の波だけでなく、頭の働かせにくさもある」と具体的に伝えると、理解されやすくなることがあります。


例えば…

 

集中しづらい


情報を整理するのに時間がかかる


急にたくさん言われると混乱しやすい

 

といった形で伝えると、相手にもイメージしてもらいやすくなります。

 

Q8. 双極症Ⅱ型の認知機能の悩みは、カウンセリングで相談できますか?

 

はい、相談できます。


カウンセリングでは、気分のつらさだけでなく、物忘れ、集中力低下、仕事や生活での困りごとも大切なテーマです。


何に負担がかかっているのかを整理し、生活を少し楽にする工夫を一緒に考えていくことができます。

 

Q9. 双極症Ⅱ型で「前よりできなくなった」と感じるときはどう考えればよいですか?

 

とてもつらい感覚だと思います。


ただ、その変化をすべて「自分がだめになった」と受け取るべきではありません。


双極症Ⅱ型では、気分の波や認知機能の負担によって、以前のようにできないと感じることがあります。


大切なのは、自分を責めることではなく、今どこに負担がかかっているのかを見つけていくことです。

 

参考論文

Solé, B., et al. (2011). Are bipolar II patients cognitively impaired? A systematic review.

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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