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うつ病を遠ざけるためにできることとは?:研究で明らかになった「心の回復力」と「危うさ」~神戸市、芦屋市、西宮市のカウンセリングの実例より~

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うつ病を遠ざけるためにできることとは?:研究で明らかになった「心の回復力」と「危うさ」

うつ病を遠ざけるためにできることとは?:研究で明らかになった「心の回復力」と「危うさ」

2025/04/30

みなさん、こんにちは。

神戸市や芦屋市、西宮市などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

さて現代社会では、ストレスや不安を抱えながら生活する人が増えており、抑うつ状態はもはや特別なことではなくなっています。

 

ですが、すべての人が同じように「うつ病」へと進行するわけではありません。

 

そこで今回は、心理学の縦断研究によって明らかにされた「うつ病の予防因子とリスク因子」に関する知見を踏まえて、どんな人がうつ病を発症しやすく、どんな人が心の健康を維持できるのかについてお伝えし、同時に私たちができる「予防」を考えてみたいと思います。

 

1.研究が明らかにした「3つのグループ」とは?


研究では、まず参加者を「日常的なストレスの頻度」と「抑うつ症状の強さ」に基づいて、以下の3つのグループに分類しました。

 

① 安定群


このグループの方々は、もともと抑うつ症状が低く、時間が経っても症状の悪化が見られなかった方たちです。

 

心理的にも社会的にも安定しており、特に以下の特徴が顕著でした

 

● 高い自己肯定感
→自分に対する信頼や満足感が強く、ストレスを受け流す力が備わっています。

 

● 適応的な人間関係
→家族や友人との良好な関係性が、心のバッファーとして機能しています。

 

● 無理のない対処スタイル
→問題解決型の対処は少なめですが、そもそも大きなストレスを抱え込む前にうまく流しています​。

 

② 回復力のある群


このグループは、最初は強い抑うつ症状が見られたにもかかわらず、時間の経過とともに自然に改善していった方たちです。

 

このグループは以下の特徴を持っていました。

 

● 問題解決能力の高さ
→積極的に困難に向き合う「問題解決型のコーピング(対処)スタイル」が、他のグループよりも高く評価されました​。

 

● 比較的高い自己肯定感
→安定群ほどではないにしても、自己評価は肯定的で、過去の経験から学ぶ力があります。

 

● 一部にリスク要因も
→一部には逸脱的な行動(たとえば不適切な対人関係)が見られることもあり、安定群との違いが示唆されました​。

 

③ 脆弱群


このグループは、抑うつ症状が高く、時間が経っても改善が見られなかった方たちです。

 

このグループは、以下のようなリスク因子が特徴です。

 

● 低い自己肯定感
→自分に自信が持てず、失敗や否定に対して敏感に反応してしまいます​。

 

● 回避的な対処スタイル
→「何も考えないようにする」「逃げる」「感情を押し殺す」といった回避戦略が中心で、問題解決にはつながりません。

 

● 社会的孤立・否定的な対人関係
→支えとなる人間関係が少なく、信頼感や安心感を得られない環境で生活している傾向があります。

 

2.うつを防ぐ「保護因子」とは?

 

うつ病の予防において非常に重要なのが、「保護因子」と呼ばれる心理的・社会的な強みです。

 

今回参照にしている研究では、安定群(うつになりにくい人)、回復力のある群(一時的に落ち込んでも回復する人)、脆弱群(うつが慢性化しやすい人)という3つのグループに分け、それぞれに見られた特徴を比較することで、こうした保護因子がどのように働いているのかが明らかになりました。

 

以下、それぞれの保護因子と3つのグループの関連性を解説します。

 

2-1.自己効力感:「私は乗り越えられる」という感覚


自己効力感とは、自分が困難な状況をうまく乗り切れるという確信のことです。

 

研究では、この自己効力感が高い人ほど、安定群や回復力のある群に多く見られたという結果が出ています。

 

安定群では、もともと自己効力感が高く、ストレス状況でも自分を見失わない特性が維持されていました。

 

回復力のある群では、一時的に抑うつ症状が出ても、「なんとかなる」と思える信念が回復を後押ししていました。

 

一方で、脆弱群の人々は、「自分には無理だ」「どうせ変えられない」という無力感を抱きやすく、それが慢性的な落ち込みを助長していました。

 

2-2.社会的サポート:ひとりじゃない、という実感


家族や友人、同僚などとのつながりは、心理的な免疫力を高めてくれます。

 

研究では、安定群に最も多く見られた特徴の一つがこの「社会的サポート」でした。

 

安定群の方は、困ったときに頼れる人がいること、日常の中に感情を共有できる相手がいることが、うつの発症を予防していました。

 

回復力のある群の方も、苦しい時期に誰かに話を聞いてもらう経験が、回復の転機になっていたとされています。

 

一方脆弱群は、孤独感や支援の乏しさが顕著で、「話しても分かってもらえない」「迷惑をかけたくない」と思ってしまい、支援を遠ざけてしまう傾向がありました。

 

2-3.楽観性:物事を前向きに捉える力


楽観性は、困難な状況でも「きっと好転する」と考えられる心のスタンスです。

 

これもまた、回復力のある群の方々に顕著でした。

 

回復力のある群では、どんなに落ち込んでも「この状況はずっとは続かない」「出口はある」と信じる力が、感情の持ち直しに役立っていました。

 

安定群もまた、日頃から楽観的な視点で出来事を解釈していたため、ストレスの影響を受けにくい傾向がありました。

 

一方、脆弱群の方は、出来事を悲観的に捉えがちで、「自分が悪い」「未来はきっともっと悪くなる」といった思考が、自身をより深く追い込んでいたのです。

 

2-4.意味のある目標:「私は生きる理由を持っている」


自分の生活に意味や目的を見いだせている人は、心の安定を保ちやすいということも研究から分かっています。

 

安定群の方々は、仕事や趣味、人との関係といった中に「自分らしさ」や「役割感」を持っており、それがうつの予防に寄与していました。

 

回復力のある群でも、落ち込んでいる間も「もう一度、あの場所に戻りたい」「また人の役に立ちたい」と思うことが、回復への道しるべになっていたのです。

 

対して、脆弱群では、「何のために生きているのかわからない」「日々が意味を持たない」といった空虚感が深く、感情の回復を妨げていました。

 

3.脆弱性を高める要因(リスク因子)


予防のためには、「何がリスクになるのか」を知っておくことも大切です。

 

✔否定的な自己イメージ(「自分には価値がない」と思う傾向)

✔回避的な対処(問題を直視せず、避け続けてしまう)

✔慢性的なストレス(孤独感、経済的困難など)

 

これらの要因が重なることで、回復のスピードが遅くなる、あるいは悪化のリスクが高まることがわかっています。

 

4.脆弱群から抜け出す方法~「こころの筋力」は育てられる~

 

研究で示された「脆弱群」とは、ストレスや困難に直面したときに、抑うつ症状が慢性化しやすく、回復しにくい傾向がある方々を指します。

 

しかし、この状態は「固定された運命」ではありません。

 

私たちの心の柔軟性や回復力は、意識的な取り組みと支援によって育てていくことができるのです。

 

以下に、脆弱群から抜け出すための具体的な方法を解説します。

 

4-1.自己効力感を高める小さな成功体験


「どうせできない」「また失敗する」という無力感が強い場合、まずは小さな達成体験を積み重ねることが大切です。

 

例:「今日は散歩に行けた」「予定通りに起きられた」

 

成功体験を記録する・言葉にする・人に共有することで、自信を少しずつ取り戻せます。

 

4-2.社会的サポートの再構築


孤立は、うつ症状を悪化させる大きなリスクです。

 

まずは安全だと感じられる関係性からつながり直すことを目指しましょう。

 

✔家族や旧友との再接触

✔専門医やカウンセリングなど専門家との信頼関係の構築

 

このようにして「ひとりで抱えなくていい」と感じられる環境は、心の回復を大きく促進します。

 

4-3.認知(思考、考え)のクセを見直す


脆弱群の人は、出来事を悲観的に捉えやすく、「全て自分のせい」「未来は真っ暗」といった極端な思考に陥りやすい傾向があります。

 

そのため…

 

✔認知行動療法(CBT)を用いて、思考の偏りを見直し

✔「証拠に基づいて考える」「他の見方はあるか?」を検討する

 

こうした柔軟な思考法の獲得は、再発の予防にもつながります。

 

4-4.自分にとって意味のある目標を再設定する


「生きる意味がわからない」「毎日が空っぽ」…。

 

これは脆弱群の方の多くが抱える感覚です。

 

ここでは、小さくても「意味のあること」を自分の生活に取り戻すことが重要です。

 

✔ボランティアや趣味、簡単な手伝いなど、「人や社会とつながること」

✔自分の価値観を見直し、「何を大切にしたいか?」を見つける

 

4-5.一人では難しいときは「支援を求めること」も行動


回復の道は、決して一人で歩く必要はありません。

 

むしろ、「助けて」と言える力こそが、脆弱さからの脱出の第一歩です。

 

そのため、必要に応じては早い段階で専門医や心理カウンセラーのサポートを得ることを検討してみてください。

 

専門医や心理カウンセラーは、こうした脆弱さに悩む方々を対象に、予防・回復・再発防止までを含めたトータルな支援を行っています。

 

今のあなたのままで大丈夫。

 

一緒に、心の力を少しずつ育てていきましょう。

 

参考論文

Resilience in Adolescents: Protective Role of Social Support, Coping Strategies, Self-Esteem, and Social Activities on Experience of Stress and Depression

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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