うつ病は「薬+心理療法」でよくなる?続けやすく、戻りにくくするケアへ
2025/08/23
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
さて…
「薬は飲んでいるけれど、気分の波が戻ってしまう」
「復職・家事・対人関係の不安が残っている」
…こうしたクライエント様のお声を耳にすることは珍しくありません。
うつ病に対する薬物療法に対して抵抗を感じる方がおられるのも事実ですし、それは尊重されるべきものであると思います。
しかし、薬物療法はうつ病治療の大切な柱であり、エビデンス(科学的根拠)のある、効果を見込めるケアでもあります。
ただ、「症状を下げる」だけでなく「元の生活や役割に戻る」ためには、感情・行動・人間関係の扱い方を身につける心理療法の助けが有効です。
そこで今回は、うつ病に対する研究結果を踏まえ、最適なケアとは何かと言うことについて考えてみたいと思います。
※うつ病に対する薬物療法については、自己判断はせず、必ず主治医の先生とよくご相談なさってください。
1.薬+心理療法は、薬単独より「改善率」が高い

1-1.どんな研究?
過去に行われたうつ病治療の臨床試験をまとめて、大きな視点から効果を比べ直した「系統的レビュー&メタ分析」という研究があります(AMA Psychiatryに掲載)。
シンプルにまとめますと、複数の良質な研究を寄せ集めて、全体としての傾向をはっきりさせる方法です。
この分析では…
✔薬だけで治療した人:932人
✔薬に加えて心理療法も受けた人:910人
という16件の臨床試験の結果を合算して、どちらが良くなりやすいかを比べました。
1-2.結果はどうだった?
研究では「薬+心理療法」のグループのほうが、改善しやすい傾向がはっきりしました。
つまり、「薬だけより心理療法を加えた方が、良くなるチャンスがだいぶ高い」という結果でした。
また、治療期間が12週間(約3ヶ月)を超えると、その差はさらに分かりやすくなりました。
つまり、ある程度の期間、心理療法を薬物療法に「足して」続けることは有効であることが示唆されました。
さらに、途中で治療をやめてしまう方(ドロップアウト)が少なかったことも報告されています。
これは現実の通院ではとても重要です。
なぜなら、「続けられる治療=効果が出やすい治療」だからです。
1-3.なぜ「薬+心理療法」の足し算が効くの?
(1)症状を「下げるだけ」で終わらない
薬物療法は、気分の落ち込みや不眠、食欲の乱れなど身体・脳の調整に強みがあります。
一方で…
✔物事を先延ばししてしまう
✔人づきあいで自信をなくす
✔自分を責める考えがぐるぐる回る
…といった生活の大変さは、うつ病の結果によって生じた考え方や行動のクセとも結びついています。
心理療法は、この「クセ」を丁寧に扱うものです。
たとえば、行動を少しずつ取り戻す練習(行動活性化)、考えの偏りに気づく練習(認知の整理)、対人関係のやり取りを整える練習(対人関係療法)などがあります。
つまり、薬物療法が「症状の熱」を下げ、心理療法が「ぶり返しのクセ」に対処するという構図です。
このように役割が補い合うから、改善しやすく・続けやすくなるのです。
(2)「続けられる仕組み」が増える
心理療法には、目標を小分けにして達成する工夫や、記録を使って進み具合を見える化する工夫がたくさんあります。
特に私の専門である認知行動療法では、ケアを通して改善の見通しが立つようにサポートを行います。
この「進み方のコツ」を一緒に作ることが、通院や服薬を続けやすくする助けになり、結果として効果が出やすくなるんですね。
2.うつ病のケアは、「組み合わせ」が大切

うつ病のケアでは、薬物療法による症状(生理・脳)の回復と、うつ病によって生じた生活のクセ(考え方・行動パターン)の変化は、別々のリズムで進みます。
そのため、薬物療法と心理療法(カウンセリング)を「かみ合わせる」ことが、グッと効いてくる…
これが臨床現場で実感されるリアルです。
2-1.「組わせの期間」が広がることによる効果
(1)心が整うには「助走期間」が必要
✔薬の効き方は段階的
薬物療法の効果が出る時期は人ぞれぞれですが、一般的にはある程度の時間が必要になります。眠りや食欲などの生理のリズムが整ってくるまで、粘り強く薬物療法を進めることが大切です。
✔毎日の暮らしに戻す時間
体調の「底上げ」が進むほど、薬物療法の効果や生活リズムの再構築がやりやすくなります。
ここで焦らず、心理療法を通して小さな達成感を積むことが、のちの伸びにつながりやすくなります。
(2) 生活のクセを変えるには「ケアの積み重ね」が大切
✔心理療法の継続
行動活性化、認知の整理、対人関係の調整、マインドフルネス…
いずれも効果を期待できますが、反復することが大切です。
✔「クセ」の置き換え
先延ばし、自己否定、過剰な配慮などのクセは、「刺激→ 自動反応 → 結果のループになりがちになります。ここを別の反応に置き換える練習に、だいたい6〜12週間かかると考えるとリアルです。
(3)ふたつがかみ合うポイント
薬物療法で体調の土台が安定していくにつれて、心理療法の効果が「実生活でまわり始める」ケースは珍しくありません。
その結果、生活面での困りごとが減少し始め、それが意欲につながり、好循環を生み出すことが期待されます。
まとめ:治療は「引き算」だけでなく「足し算」で設計する
薬物療法は大切な柱です。
その上に行動・認知・対人関係のケアを「足していく」ことで、改善率が上がり、治療が続き、再発が減る…。
これが今回参照にした論文が導き出した結果です。
大切なのは、ご自身の生活と価値(大切にしたいこと)に合う形で治療を「組み合わせる」ことです。
迷ったら、主治医・カウンセラーと一緒に無理のない範囲で併用計画から始めることを検討してみてくださいね。
参考論文
Combined pharmacotherapy and psychological treatment for depression: a systematic review
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こころのケア心理カウンセリングRoom
兵庫県芦屋市浜芦屋町1-27 サニーコート浜芦屋302号
電話番号 : 090-5978-1871
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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