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反すう思考(ぐるぐる思考)の影響とは~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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ぐるぐる思考が止まらない!~反すう思考と抑うつ・不安の影響とは~

ぐるぐる思考が止まらない!~反すう思考と抑うつ・不安の影響とは~

2025/10/27

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

今日はうつ病だけではなく、抑うつや不安障害等において生じやすい「反すう思考(反芻思考・ぐるぐる思考)の影響について考えてみたいと思います。

 

うつ病等においては、多くの方が「ぐるぐるとした考えが止まらない」という悩みや苦しさを抱えておられます。

 

そして臨床的に見た時に、そこに共通して見えてくる構図があります。

 

それが、「反応様式理論(Response Styles Theory)」です。


この理論によると、「抑うつ的な気分になったときに、どう『反応』するか」が、その後の回復や深刻化に大きく影響を与えるとされています。

 

実際に「くり返し考え続ける (ぐるぐる考える)→ ますますつらくなる」というパターンに陥ると、気分が沈んだまま出られなくなる傾向が強くなってしまいます。

 

そこで、この記事ではNolen-Hoeksemaらの研究をもとに…

 

①「反すう思考(反芻思考・ぐるぐる思考)とは何か」

②「それがなぜ抑うつにつながるのか」

③「どのように支援・自分でのケアを進めていけばいいか」

 

という内容をシェアしたいと思います。

 

1. 反応様式理論(Response Styles Theory)と「考え込み」のメカニズム

 

 

私たちは誰でも、落ち込んだり悲しくなったりする瞬間があります。


しかし同じように悲しい出来事を経験しても…

 

「時間とともに立ち直れる方」

「いつまでも気分が晴れず、気づけば頭の中で同じことを考え続けている方」

 

という2つに分かれがちです。

 

この違いを説明するために、心理学者Nolen-Hoeksemaが提唱したのが、「反応様式理論」です。


この理論では、落ち込んだときの「考え方」や「行動の仕方」そのものが、気分の回復スピードや抑うつの深さを左右する、とされています。

 

1-1.気分に対する「反応の仕方」がその後を決める

 

この研究によれば、人は抑うつ的な気分になったとき、大きく分けて次のような3つの反応パターンを示します。

 

(1)考え込み型

→気分の落ち込みやその原因について、繰り返し考え続けてしまうタイプ(いわゆる『反すう思考:ぐるぐる思考)。
→たとえば「どうして自分はこうなったのか」「あの時ああしていれば」と頭の中でぐるぐる考えが止まらない。

 

(2)回避・逸脱型
→気分の悪さを感じないように、他の行動(仕事・SNS・飲酒など)に逃げ込むタイプ。
→一時的には気分が紛れるものの、根本的な感情の整理にはつながらない

 

(3)問題解決・行動型
→気分を整理しながら、現実的にできる対処や行動を探していくタイプ。
→例えば、「気分が沈んでいるけれど、少し散歩してみよう」「友人に話してみよう」といった行動

 

このうち、最も注意が必要なのが「考え込み型」です。


この思考のクセが強いと反すう思考が生じるため、気分が自然に回復するまでの時間が長くなってしまいます。

 

その結果、気づかないうちに抑うつが慢性化してしまうことが研究で確認されています。

 

1-2.「考え込み」が起こる仕組み

 

この「考え込み型」の思考は、一見すると「自分の気持ちを見つめている」「分析している」ようにも思えます。


しかし実際には、「建設的な省察」ではなく、同じ思考を何度も反復する「心の負のループ」なのです。

 

例えば…

 

✔「どうして私ばかりこんな目にあうんだろう」

✔「もっと上手にやれたはずなのに」

✔「また失敗するんじゃないか」

 

といった思考が頭の中で繰り返されるとき、私たちは一見「問題を考えている」ように思えます。

 

しかし実際には問題を考えていても、こうした問いに対する答えが存在しないことは珍しくありません。

 

そのため、「解決を考える」ではなく、「感情を再体験し続けている状態」になっています。

 

このような思考パターンが続くと、脳は常に「失敗」や「不安」に関連する記憶ネットワークを活性化させます。

 

そのネットワークが出来上がると本当に厄介で、自然とネガティブな記憶が生起するようになるために、ネガティブな出来事に対して脆弱になってしまいます。

 

そして、その脆弱性はうつ病や不安症を引き起こす原因となったり、あるいはそうした精神疾患を維持したり悪化させる原因となります。

 

2. 研究結果のポイント~反すう思考(ぐるぐる思考)の影響~

 

 

では、ここでは研究論文に立ち返って、実際に反すう思考(ぐるぐる思考)がどのようなもので、どのような影響を及ぼすかについて考えてみたいと思います。


2-1.主な研究結果

 

Nolen-Hoeksema(2000)の研究は、「気分が落ち込んだときに人がどのように反応するか(反応様式)」が、その後の抑うつの深まり方にどのような影響を与えるかを検証したものです。

 

研究の中で最も注目されたのは、「思考を繰り返し続ける傾向(反すう思考)」が抑うつの維持や悪化に深く関係しているという結果です。

 

つまり、「反すう思考(ぐるぐる思考)」によって抑うつが維持され、そして悪化するということが示されたのです。

 

具体的な発見は次の3点に整理できます。

 

(1)反すう思考が長く続くほど、抑うつ気分も長引く


この研究では、落ち込みを感じたときに「なぜ自分はこうなったのか」「どうすれば良くなるのか」と考え続ける方ほど、気分の回復が遅く、抑うつ症状が慢性化しやすい傾向がありました。

 

(2)反すう思考の繰り返しが、行動や問題解決を妨げる


反すう思考の最中は、どうしても現実的な行動を取ることが難しくなります。

 

たとえば「外に出て気分転換をする」「信頼できる人に話す」といった行動が後回しになりがちになります。

 

その結果として、抑うつ等の気分が固定されてしまうことが確認されました。

 

(3)思考の習慣化が再発リスクを高める


こうした反すう思考が繰り返されるうちに、それ自体が「自動的に起こる思考パターン」として脳に定着します。

 

つまり、反すう思考(ぐるぐる思考)を脳が覚えてしまうんですね。

 

その結果、ストレスを感じたときに再び同じ思考ループ(反すう思考)が立ち上がり、抑うつの再発を招きやすくなると報告されています。

 

上記の内容からNolen-Hoeksemaの研究は、うつ病を単に「気分の問題」としてではなく、「思考の反応パターンの問題」として捉えることの重要性を示しているといえるでしょう。

 

2-2.反すう思考(ぐるぐる思考)が抑うつにつながるメカニズム

 

Nolen-Hoeksemaは、「なぜ反すう思考(ぐるぐる思考)が抑うつを悪化させるのか」という問いについて、その心理的プロセスを以下のように説明しています。

 

(1)思考の反復による気分の固定化

 

落ち込んだ気分の原因を「なぜ」「どうして」と繰り返し考えることで、思考と感情が強く結びつき、悲しみや自己否定の感情が脳内で維持され続けます。


その結果、気分が自然に変化するための余地が少なくなり、心が「動かなくなる」状態が生じます。

 

(2)行動の停滞と問題解決の遅れ

 

反すう思考が続くと、思考が内側に向かいすぎて、実際に問題を解決する行動が取れなくなります。


「どうにかしたい」と思っているのに、頭の中で考えることばかりに時間を費やしてしまい、気づけば行動する気力が失われている…

 

これはまさに、抑うつを維持する典型的なプロセスです。

 

(3)思考の自動化

 

反すう思考が習慣化すると、それが無意識的な反応として定着します。


たとえば、ストレスを感じた瞬間に自動的に「自分が悪いんだ」「またうまくいかない」と考えてしまうようになります。


この自動化された反応は、ストレスのたびに心の痛みを呼び起こし、抑うつを慢性的にする一因となります。

 

3. 反すう思考へのセルフケア

 

 

これまで、反すう思考が抑うつを維持し悪化させるメカニズムを解説してきました。

 

反すう思考は、ただ「考えすぎ」だから悪いのではなく、気分の落ち込みを固定化させ、行動する力を奪ってしまうから問題となります。


そのため、この思考のクセに気づき、少しずつ「今ここ」に戻っていくことが、セルフケアの第一歩になります。

 

そのセルフケアを詳細解説しますね。

 

1-1.「考えすぎている自分」に気づく

 

まずは、「いま、同じことを何度も考えているな」と気づくことから始めましょう。


私の専門であるACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)では、思考と自分を同一視せず、「いま、私の頭に「考えが浮かんでいる」という形で、「考えそのもの」を観察する練習を行います。

 

この観察する姿勢があることで思考との距離が生まれます。


この「距離を取る視点(脱フュージョン)」が、思考の渦から抜け出す鍵になります。

 

3-2. 頭の中から外へ出してみる

 

反すう思考は、頭の中だけで延々と行われているので維持されやすくなります。


そのため、紙に書き出す、声に出して話す、散歩をするなど、思考を外の世界に出すことで、「考え」と「現実」との間に空間が生まれます。

 

つまり、反すう思考の中身である中身は単なる「考え」であって「現実」ではありません。

 

実際、反すう思考の場合は、純粋に抑うつのきっかけとなった「事実そのもの」ではなく、その事実に対して「どうして?」「なぜ?」という問いかけが延々と流れ続けます。

 

しかしそれは事実ではないので単なる考えということができるでしょう。

 

そのため、反すう思考の中にあるものが「単なる考えである」ということを明確にするために「外に出す」という作業が大切になるんですね。

 

3-3.行動へ小さく動く

 

反すう思考のループの中にいるとき、どうしても私たちは「どうしたらいいのだろう?」という思考を繰り返します。

 

しかし、「どうすればよいか」を考え続けるより、「いま、できる小さなこと」に意識を向けるのが実は効果的です。

 

というのは「どうすればいいか?」という問いは多くの場合答えはなく、考え続けても解決が見込めないからです。


そのため、考え込むよりも「1分だけ深呼吸をする」「外の空気を吸う」「体を伸ばす」といった
「行動のスイッチ」を押すことで、思考のループを断ち切ることができます。

 

3-4. 感情を変えようとせず、受け入れてみる

 

ACTでは、「不快な感情をなくす」ことよりも、「その感情を持ちながらも生きる」ことを目指します。

 

なぜなら、不快な感情をなくそうとすればするほど、実は不快な感情は強く、そして大きくなるからです。


そのため、「今、私は悲しみを感じている」「焦っている自分がここにいる」と認めてあげると、心の抵抗が和らぎ、反すうの勢いも自然に弱まっていきます。

 

3-5. 自分に優しく語りかける

 

反すう思考の背景には、「自分を責める声」が潜んでいる場合が多々あります。


「また考えてしまった」「私はダメだ」と言いたくなったときに…

 

「考えが浮かぶのは自然なこと」

「私はいま頑張っている」

 

というように、「セルフ・コンパッション(自己への思いやり)」を意識してみましょう。

 

3-6. 「考えること」から「生きること」へ

 

反すう思考は、頭の中で答えを探そうとする行為です。


でも本当の答えは、「考えること」ではなく、「生きること」の中にあります。


そのため、自分が大切にしたい価値(例:優しさ・挑戦・つながり)を思い出し、その価値に沿って小さな行動を積み重ねていくことが大切になってきます。

 

まとめ

 

反すう思考は「止める」ものではなく、「距離を取って、扱い方を学ぶ」ものです。


思考の渦に気づき、受け入れ、行動へと焦点を移してみてください。


それが、心を少しずつ反すう思考の渦の中から「今ここへ」と取り戻すセルフケアのプロセスです。

 

どうか、うまく反すう思考を距離を取って心の健康を守ってくださいね。

 

参考論文

The Role of Rumination in Depressive Disorders and Mixed Anxiety/Depressive Symptoms

 

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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