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職場環境とうつ病の関係~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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職場環境とうつ病との関係~どんな環境がこころを削るのか~

職場環境とうつ病との関係~どんな環境がこころを削るのか~

2025/12/23

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

「仕事のストレスは、ただ『疲れる』だけではなく、心も削ってしまう」


これは、私がカウンセリングの臨床での実感です。

 

実際、多くの方々が、朝起きてもだるさが残っている、夜眠っても気持ちが休まらない、また休みの日でも心がざわついてしまう、ということを訴えられます。

 

このような「気分の不調」は、職場の仕事量も確かに関係していますが、それと同じくらい、あるいはそれ以上に心理的・社会的な環境と深く関係しています。

 

そこでこのブログでは、研究論文で示された知見をベースに…

 

✔「なぜ職場のことがこころの状態に影響するのか」

✔「どんな環境がリスクになるのか」


というテーマをシェアしたいと思います。

 

1.今回参考にする論文について

 

 

今回参考にする論文は、過去の多くの研究を統合した システマティックレビュー+メタアナリシスです。


ここでは、仕事環境のさまざまな側面が、うつ症状とどのように関連するのかが評価されました。
 

対象となった研究は、①仕事環境の評価、②うつ症状の測定/うつの発症、③長期的な観察データなどを持つ、質の高い研究から成り立っています。

 

そして結果として、これからお話しする職場の心理的特徴が、「このままではうつ症状が出やすい」という結果と関係していると示されました。

 

2.職場における抑うつ・うつ病の発症リスク

 

 

さて、ここからは職場におけるどのような要因が抑うつやうつ病のリスクを高めるのかを見ていきましょう。

 

2-1.「仕事の要求が高い」+「判断やコントロールが低い」状態

 

研究で繰り返し示されているのが、「仕事の要求度」と「裁量・コントロール」の組み合わせが、メンタルヘルスに大きな影響を与えるという点です。

 

● 心理的負担とは何か

 

「仕事の心理的負担」が高い状態とは、「忙しい」という単純なものではありません。

 

具体的には「仕事量や締切、責任、プレッシャーが大きい」という一方で、「やり方を自分で選べない」「ペースを調整できない」「判断や改善の余地がない」という 「要求は高いが、裁量が低い」状態 を指します。

 

この状態では、①やらされている感覚、②どう頑張っても状況を変えられない感じ、③自分の工夫が活かされない無力感、というものが蓄積していくことになります。

 

● なぜ抑うつ反応が起こりやすくなるのか

 

心理学的には、人は「自分の行動が結果に影響していると感じられるとき、ストレスに耐えやすくなる」ことが分かっています。

 

逆に、努力しても評価や結果が変わらない、あるいは判断を任されていない、さらには失敗の責任だけが個人に帰属するといった状況では、無力感が形成されやすくなります。

 

その結果、気分の落ち込みや意欲低下、「どうせ何をしても無駄」という思考といった抑うつ的反応が生じやすくなることが、多くの研究で示されています。

 

2-2. 決定権の少なさが「こころの栄養不足」を生む理由

 

次に影響してくるのが、仕事における意思決定の自由度、つまり裁量権という要因です。


● 決定の自由度とは

 

決定の自由度とは、①仕事の進め方を選べるか、②自分の意見や工夫を反映できるか、③自分のペースをある程度調整できるかといった、「主体性を発揮できる余地」を指します。

 

研究では、この自由度が低い環境ほどモチベーションの低下や自己有能感(『自分は役に立っている』という感覚)の低下、感情的な消耗が起こりやすいことが確認されています。

 

● 決定権に関するものは心理的にどのように影響するのか

 

心理的視点で見ると決定権が少ない環境は…

 

✔「自分は歯車の一部にすぎない」

✔「自分の判断は求められていない」

✔「それなのに、ミスだけは責められる」

 

…というメッセージを、無意識のうちに当事者に送り続けることになります。

 

これは、人が本来必要とする①自律性、②有能感、③影響感(自分の存在が環境に影響している感覚)といった「こころの栄養」が慢性的に不足する状態を作り出してしまいます。

 

その結果、焦燥感や孤立感、空虚感が積み重なり、抑うつ傾向が強まるリスクを高くしてしまいます。

 

2-3. 職場でのいじめ・ハラスメントが与える深刻な影響

 

研究の中で、特に強い予測因子として一貫して示されているのが、職場での いじめ・嫌がらせです。

 

これは誰しもが納得できるものだと思いますが、 なぜ影響がこれほど大きいのでしょうか。

 

職場でのいじめ・ハラスメントは叱責や無視、人格否定的な言動、さらには社会的排除や不公平な扱いの繰り返しなどを通して、職場を当事者にとって「危険な場所」に変えてしまうからです。

 

心理学的には、人は安全が確保されていない環境では、慢性的な警戒モード(過覚醒)に入りやすいことが知られています。

 

この状態では、①常に緊張が抜けない、②小さな刺激にも強く反応する、③回復する余地がないといった状態が続き、抑うつや不安が深刻化しやすくなる温床となります。

 

● 「人間関係の問題」では片づけられない理由

 

論文が示唆する重要点は、職場でのいじめやハラスメントが個人の性格的要因や人間関係の相性の問題ではなく、明確なメンタルヘルスリスク要因であるという点です。

 

安全感を奪われた環境では、当事者の方がどれほど努力しても、こころは回復しにくくなりまってしまうんですね。

 

2-4. 社会的支援と環境の質が果たす役割

 

研究ではさらに、以下の要因も抑うつ症状と関連する可能性が示されています。

 

✔上司や同僚からのサポートの乏しさ

✔不公平な評価や扱い

✔努力と報酬の不均衡

 

● なぜこれらが重要なのか

 

これらはいずれも、「自分は大切に扱われているか」「公正に評価されているか」「この場に居てよい存在か」という 安心感・所属感・納得感に直結します。

 

心理学では、人は環境を通して「自分はどんな価値を持つ存在か」を理解していくことが知られています。

 

その環境が、冷淡さや不公平、努力が報われないというものであれば、自己評価が下がり、こころが消耗していくのは自然な反応といえるでしょう。

 

まとめ:職場の問題は「性格」「メンタルの弱さ」で片づけられるものではない

 

研究全体から導かれる重要なメッセージは明確であり…

 

✔「抑うつは、職場環境によって強く影響される」

✔「高要求・低裁量・安全感の欠如は大きなリスク」

 

…というものです。

 

そして、そうした職場でこころがすり減ってしまった場合、回復には、個人への努力要求だけでなく、環境調整の視点が不可欠です。

 

つまり、職場環境のつらさやしんどさは、性格でも能力でもなく、心が耐え続けなければならない構造に置かれているから生じている可能性が高いんですね。

 

この理解は、自分を責めすぎず、適切な支援や調整を考えるための大切な出発点になります。

 

もしも、仕事でこころが消耗している、削られているという状況にあるならば、一度職場環境の問題を確認してみてください。

 

そして、職場に改善を求めるか、あるいは抑うつ等を解決するために医師や心理カウンセラーのサポートも検討してください。

 

職場は、ある意味で「人生で最も時間を使う場所」といえます。

 

その環境が安全でないならば、こころが削られ消耗することは当然です。

 

しっかりと、こころの健康を守ってくださいね。

 

A systematic review including meta-analysis of work environment and depressive symptoms

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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