そのしんどさ、不安と抑うつの悪循環では?
2026/01/13
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みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
日々、臨床を行う中で抑うつと不安を同時に抱えておられる方は珍しくありません。
基本的に抑うつと不安というものは個別のカテゴリーなのですが、しかし臨床的には同時に生じる場合も多々あるんですね。
これに対してKalin, N. H. (2020)は「臨床レベルの抑うつ状態」と「不安」が同時に生じる、つまり「共存率が高い」ことを示しています。
そうなると不安と抑うつがどれほど共通のリスクや背景を持ち、互いに影響しあうかが焦点となります。
そこでこのブログでは、その内容を元に、実生活で感じる不安や抑うつのメカニズム、そして日常的な対処のヒントをシェアしたいと思います。
※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものではありません。
※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。
1.不安と抑うつ~その深い関係性を理解すると見えるもの~
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不安と抑うつは診断名としては異なるカテゴリーですが、臨床的には「強い合併性(同時に現れること)という特徴を持っています。
この共通性は、脳の中の「情報処理の仕方」や「身体のストレス反応システム」など、脳・身体・心理の複数レベルにわたる共通のメカニズムが背景にあると考えられています。
1-1.どうして不安が抑うつにつながるのか?~心理の視点より~
ここで、不安と抑うつの違いを見てみましょう。
まず不安というものは、未来に対する不確実性や危険を予期した際に生じる反応です。
一方、抑うつは、過去や現在の状況に対する絶望や失望感という特徴を持ちます。
この違いは「時間軸の違い」として整理できるように思えます。
確かに、その整理も間違いないのですが、不安や抑うつを抱えているご本人にとっては区別されるものではなく、両者は連続性を持って体験されます。
つまり、不安が抑うつに、そして抑うつが不安につながるため、両者を同時に感じるということになるんですね。
具体的には、以下のようなものです
不安が強い → 未来への不確実性による疲弊 → 自信が低下 → 抑うつ傾向へ
抑うつがある → 活動性が低下 → 回避傾向が強まる → 不安が増強
このように、抑うつと不安は双方が共存することで悪循環を生じさせます。
このような絡み合いは、今回参照にした論文でも「不安と抑うつは重なりやすく、それぞれの障害をケアするには両方の理解が必要である」と指摘されています。
1-2.心理的・神経生物学的な観点
ちょっとマニアックですが、不安と抑うつが生じているときに脳に何が起きているのかをお伝えしますね。
精神医学では、不安と抑うつが単一の神経回路ではなく、複数のシステムを通じて重なり合っていると考えられるという視点があります。
例えばストレスホルモンの反応性や情動調整を司る前頭前野と扁桃体のネットワーク、そしてセロトニン・ノルアドレナリンなどの神経伝達物質システム等が、不安と抑うつの両方に関与していることが示唆されています。
このように神経・心理の両面から見ると、「不安と抑うつは共存している」という観点から、いまのツラさやしんどさを理解することが役立つと言えるでしょう。
1-3.日常での感じ方~不安と抑うつが一緒に現れるとき、何が起きるのか?~
不安と抑うつが関わる状態では、次のような体験が増えてくるようになります。
例えば…
✔気持ちが落ち込んで眠れない時、先回りの心配が頭の中でぐるぐるしている
✔未来への不安が消えない中で抑うつがひどくなる。
こうした体験がある場合、「単なる気分の波」と捉えるより、不安と抑うつという二つの側面から自分の反応を整理すると救いが見えることがあります。
2.セルフケアと専門的な支援の視点~不安と抑うつの両方に寄り添う大切さ~
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ここからは、日常生活でできるセルフケアのヒントと専門的な支援をご紹介しますね。
まず先述しましたように不安と抑うつは別々のものではなく、互いに影響し合う関係性にあります。
そのため、セルフケアも両方の側面から捉える必要があります。
2-1.感情の「分け書き」をしてみる
不安と抑うつが重なっているとき、感情は入り混じって感じられます。そこで、この両者を区別するだけでも気持ちが整理されていきます。
「何に不安を感じているのだろう」
「何を考えて落ち込んでいるのだろう」
これらの内容を紙に別々に書き出してみることが役立ちます。
2-2.小さな安心体験を意識的に積む
一日の中で、体験した安心できる、ホッとした出来事に意識を向けます。
この場合のコツは決して大きなものではなく、小さなものでも問題ありません。
いや、むしろ小さなものに対して意識を向けるということが大切です。
例えば少しほっとした瞬間や安心感を得た場面、ありがたかった出来事などをを3つ書き留めてみてください。
それだけでも、「不安→抑うつ・抑うつ→不安」という悪循環を断ち切る一助になります。
これは、神経が過剰な恐れ・悲嘆に偏っているときに、脳に「正反対の情報」を届けることになり、不安や抑うつへの対処に繋がっていきます。
2-3.信頼できる人との対話
不安や抑うつがある場合、まず避けるべきは抱え込みです。
そのため、信頼できる方に話を聞いてもらうこともセルフケアに繋がります。
信頼できる誰かに思っていることを言葉にして共有してもらうという体験は、安心感が脳にフィードバックされやすくなります。
こうした体験は心理的安全性を育てることになり、ストレス反応を和らげる助けになります。
2-4.専門的支援の視点
不安と抑うつが強く、日常生活に影響が大きいと感じる場合には、専門家による治療やケアの検討は非常に大切です。
精神化や心療内科の受診や薬物療法、そして心理カウンセラーによる心理療法は、不安や抑うつの軽減に役立ちます。
心理療法の場合、症状の重なりの理解や身体症状がある場合は感情の関係、そして日常生活への具体的な影響などがを総合的に検討され、個別的に最適なケアをおこなうことになります。
まとめ
不安と抑うつは別々の症状として語られがちですが、重なり合う部分が大きいという特徴を持ちます。
そのため、いま経験しているしんどさを「不安」と「抑うつ」という観点から見直して、区別した上でのケアが気持ちの整理につながっていきます。
不安や抑うつに巻き込まれた状態は本当にツラいものです。
そのため、セルフケアや医師や心理カウンセラーの支援も必要に応じて活用しながら乗り越えてくださいね。
参考論文
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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電話番号 : 090-5978-1871
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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