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「なりたい自分」と「いまの自分」のギャップが抑うつや不安につながる理由とは?

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「なりたい自分」と「いまの自分」のギャップが抑うつや不安につながる理由とは?

「なりたい自分」と「いまの自分」のギャップが抑うつや不安につながる理由とは?

2026/01/21

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

抑うつや不安という悩みを抱えておられる方は少なくないのですが、心理学では、うつと不安が似たように見えることが多い一方で、その経験の仕方や心理的な基盤には違いがあることが知られています。

 

具体的には、うつ病では、「落ち込み」や「自己評価の低さ」が強く出やすい一方、不安では、「恐れ・脅威感・緊張」が中心になりやすいというものです。

 

そして、この違いは「自己概念のズレ」という観点から整理すると、色々な発見があります

 

そこで今回は、研究論文を参考に「自己概念のズレ」がどのように感情に関係するかを見ていきたいと思います。

 

※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものではありません。

※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1.自己概念不一致の基本構造と抑うつ・不安の仕組み

 

 

この理論の基盤になっているのは、自己に関する複数の「自己像」です。

 

具体的には、3つの自己像(自己表象)があります。

 

1-1.そもそも「自己概念不一致理論」って何?

 

では、「自己不一致理論」における「自己像(自分へのイメージ)を具体的に見ていきましょう。

 

(1)現実自己:実際の自分
→「いまの自分は、こんな感じ」という自己認識

 

実際の自分とは、今この時点で「自分はこうだ」と感じている姿です。

 

特徴としては、事実や体験に近く、自分自身の良い面も苦手な面も含みます。

 

また実際の自分という感覚は感情や行動の実感に基づいています。

 

● 具体例

 

「仕事でミスが多くて、自信がない自分」

 

「人前だと緊張しやすい自分」

 

「最近は疲れていて、やる気が出にくい自分」

 

「家では優しいけど、外では無理をしている自分」

 

ポイントとしては、自分に対する評価というよりも、「今そう感じている自分」という事実に近い自己像です。

 

(2)理想自己:理想の自分
→「本当は、こうなりたい」という願いの姿

 

理想の自分とは、自分の中にある「こうありたい」「こうなれたらいいな」という願望の姿です。

 

この自己像の特徴としては、ポジティブな目標だったり自分の価値観や憧れが反映されるというものです。

 

また、喜び・達成感と結びつきやすいのも、この自己像の特徴です。

 

● 具体例

 

「自信をもって人と話せる自分」

 

「仕事を楽しみながら、余裕をもって働ける自分」

 

「感情に振り回されず、穏やかでいられる自分」

 

「人に頼りながら、安心して生きている自分」

 

ここでのポイントとして押さえておきたいのは、理想の自分を持つというのは、決して悪いものではありません。


ただ、今の自分と比べすぎると落ち込みにつながりやすいという側面があります。

 

(3)義務自己:あるべき自分
→「こうしなければならない」という義務や期待の姿

 

あるべき自分とは、「~すべき」「~でなければならない」という形で心の中にある自己像です。

 

特徴として、義務感・責任感が強く他人や社会の期待が入りやすいという性質を持っています。

 

また、どうしても義務感が入り込んできますので、不安・緊張・罪悪感と結びつきやすいという側面もあります。

 

● 具体例

 

「社会人なんだから、ちゃんとしなきゃいけない」

 

「親なんだから、弱音を吐くべきじゃない」

 

「迷惑をかけない人間でいるべきだ」

 

「失敗しないよう、常に気をつけるべきだ」

 

ポイントとしては、あるべき自分とは秩序や責任を守る役割もありますが、強くなりすぎると自分を追い詰める声になってしまいます。

 

また、上記の3つの自己像は自分自身の観点だけでなく、他者の視点からも成立する、ということが重要です。


例えば「他者から望まれる自分(他者からの理想の自分)」や「他者が期待するべき自分(他者からのあるべき自分)」というものがあるんですね。

 

1-2.どんなズレがどんな感情を生むの?

 

自己概念不一致理論では、ズレの種類によって、感じられる感情の質が変わると考えられています。

 

(1)実際の自分と理想の自分のズレ

 

このズレが大きいと、「自分は理想の自分から遠い」と感じる状態になってしまいます。


そのとき現れやすい感情としては、失望や自分への不満、自己評価の低下などで、これは抑うつの感情に近い体験と結びつきやすいという特性を持っています。

 

なぜなら、理想とのギャップは「ポジティブな結果の欠如」を示し、「もっとできるはずなのに…」という考えが強くなってしまうからです。

 

(2)実際の自分とあるべき自分のズレ

 

一方で、実際の自分が「あるべき自分」とずれていると、責任・義務を果たせていないように感じる状態になってしまいます。


ここでは義務を果たしていないという不安や恐れ、緊張やそわそわ感といった、不安の感情につながる体験が生じやすくなります。

 

これは、あるべき自分が「やるべきこと」や「避けるべき悪い結果」を内側に持っているため、「失敗したらどうしよう」といった未来への危機意識を強めてしまうからなんですね。

 

1-3.なぜズレが苦しみにつながるの?

 

自己概念不一致理論では「ただズレがあるだけ」ではなく、そのズレが感情的な緊張や動機づけにどう影響するのかという分析がなされています。

 

具体的には、ズレによる感情のしくみというのは…

 

理想とのズレ → 「もっとよくありたいのに…」 → 悲しみ・落胆

 

あるべきとのズレ → 「やらなくてはいけないのに…」 → 不安・緊張

 

どちらも、心が理想や義務という「内的な基準」に追いつこうとしているがうまくいかない状態として感じられます。


この状態が慢性的になると、気分が落ち込みやすくなったり、緊張や不安が抜けにくくなったりしてしまいます。

 

1-4.実際の生活でこんなとき、ズレが働いているかも

 

自己概念のズレは、次のような日常的な体験でも気づきやすくなるものです。

 

●  理想とのズレ(抑うつに近い)

 

この場合は、「こんな自分じゃだめだ」と感じてしまう、あるいは達成したい目標にいつも届いていないという感覚、自分の良い面より欠点ばかり見るクセという形で生じます。

 

● あるべきとのズレ(不安・緊張に近い)

 

このズレは、「ちゃんとしなきゃ」といつも思ってしまい、また失敗することへの恐れが強いという特徴を持ちます。

 

また他人の期待が重く感じるというのも、このズレによって生じるものです。

 

2.自己不一致理論をセルフケアに活かすには?

 

 

自己概念不一致理論は、自分の苦しみの背景を理解するための視点として役に立ちます。


そこで、具体的なセルフケアの方法をシェアしたいと思います。

 

2-1.自分の「理想」や「あるべき像」を見える化する

 

手書きノートに、「理想の自分ってどんな姿?」「ここで『あるべきだ』と思いがちなルールは?」と書き出してみてください。

 

そうするとズレが可視化されやすくなりますので、抑うつや不安といった感情の根っこが見えてきます。

 

2-2.ズレを「完全に埋めよう」としない

 

理想と実際が一致しないとき、どうしても自己否定の感情が生まれやすくなります。

 

その際、「自分はダメだ」と評価するのではなく、「今はこの段階なんだ」と受け止める視点が大切になってきます。


大切なのはズレそのものをなすくというよりも、そのズレによって生じた抑うつや不安といった感情の扱い方や付き合い方を工夫することが現実的ですし、また効果的です。

 

2-3.「あるべき自分」へのプレッシャーを見直す

 

他人の期待や社会的な基準が、自分自身の中で「ルール化」されるということは、よくあることです。


しかしそれは社会や環境、他者の期待が「ルール」として内在化されただけで合って、自分自身の価値観とは異なる場合も珍しくありません。

 

そのため、自分にとって大切な価値基準を見直すことで、ズレの感情負担は軽くなることが期待できます。

 

2-4.専門的な支援を検討するべきタイミング

 

次のようなときは、自己概念のズレがとても強く影響し、日常生活に支障が出ている可能性があります。

 

こうした場合は、精神科医や心療内科医、心理カウンセラーによるサポートを検討されることをお勧めします。

 

✔ズレによって生じる抑うつや不安といった感情が長期間続いている

 

✔うつや不安の症状が日常生活を妨げている

 

✔自己評価が極端に低い、自己嫌悪が強い

 

✔将来への希望が全く持てない

 

まとめ~ズレを理解することは、心を知ること~

 

自己概念不一致理論は、「なぜ自分はしんどいのか」を、自分の感情の奥にある「自己像のズレ」という視点から説明してくれる理論です。

 

ズレが苦しみを生むのは、心が理想や義務という内的な基準を基に、自分を評価しているからです。


しかし、理想や義務感がルール化され、そして自分自身を否定する基準になっているという理解が深まれば、ズレそのものを責めるのではなく、心の動きを丁寧に扱えるようになります。

 

まずは、自分の「実際」「理想」「あるべき」を言葉にしてみましょう。


それが感情を理解し、日常のセルフケアにつなげる一歩です。

 

参考論文

SELF-CONCEPT DISCREPANCYTHEORY: A PSYCHOLOGICALMODEL FOR DISTINGUISHINGAMONG DIFFERENT ASPECTS OF DEPRESSION AND ANXIETY

 

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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