うつ・不安の治療は「チーム」で向上する~多職種連携が回復を支える理由~
2026/02/23
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
うつ病などの心の不調を抱えているとき、どうしてもケアが主治医等に偏りがちになります。
確かに主治医による治療は非常に大切です。
しかし研究では、うつ病や不安などのメンタルヘルスの問題は複数の専門家が連携して支援する方が改善しやすい、ことが示されています。
つまりうつ病等の回復においては、「チームで支えること」が効果的なんですね。
そして日本の現場では、主治医による治療や症状が重たい場合に訪問看護が入ったり、あるいは就労移行支援や就労継続支援の利用、そして心理カウンセラーといった形の協働が自然に生まれやすい環境があります
これはうつ病をはじめとした心の病において、とても理にかなった支援体制だと言えます。
そこで今回は研究をもとに、なぜ協働が効果的なのかを解説します。
1.協働ケアとは何か~チームで支えるメンタルヘルス支援~
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心理臨床の分野では、多職種連携が重視されており、実際に私もクライエント様の主治医や訪問看護、就労移行支援や就労継続支援の方々とは色々な形で連携しています。
では、その多職種連携、つまり「協働ケア」とは何かを見ていきましょう。
1-1.多職種連携とは何か?
近年のメンタルヘルス研究では、「一人の専門家だけで支援する」よりも、「複数の専門職が連携して支援する」方が回復につながりやすいことが明らかになっています。
このような支援モデルは協働ケアと呼ばれています。
協働ケアとは簡単に言えば…
複数の専門家が役割分担しながら、一人のクライエントをチームとして支える支援方法
ということになります
今回参照にした研究では一般的に、医師や支援調整役(ソーシャルワーカー等)、精神保健の専門職(心理カウンセラー等)などが協力して関わる形が示されています。
このモデルには重要な特徴が4つあります。
① 多職種が関わること
② 計画的な治療・支援方針があること
③ 定期的なフォローが行われること
④ 専門職同士で情報共有がされること
これらが組み合わさることで、より包括的な支援が可能になります。
1-2.研究で示された協働ケアの効果
協働ケアに関する研究は多数ありますが、それらをまとめたレビュー研究では、次のような効果が確認されています。
✔うつ症状の改善
✔不安症状の改善
✔生活の質の向上
✔治療への満足度の向上
特に重要なのは、短期的な改善だけでなく、中長期でも効果が持続する点です。
メンタルヘルスの問題は一時的なものだけでなく、再発や波を伴うことも多いため、継続的な支援モデルが有効であることは臨床的にも非常に重要な意味を持ちます。
1-3.なぜ協働すると改善しやすいのか
協働ケアが効果的である理由はいくつかありますが、その中でも特に重要なのは次の3点です。
(1)支援の抜け漏れが減る
心の問題は単一の要因で生じているわけではなく、以下の問題が複雑に絡み合っています。
✔脳や身体の問題
✔感情や思考の問題
✔生活リズムの問題
✔社会的な問題(仕事・人間関係)
そのため、「薬物療法だけ」、「カウンセリングだけ」「生活支援だけ」では十分でないことがあります。
例えば…
✔薬の最適化 → 医師
✔生活の支援 → 訪問看護
✔就労の支援 → 就労移行支援・就労継続支援
✔心理的な課題 → 心理カウンセラー
というように役割が分かれることで、支援の抜け漏れが減ります。
そしてここで心理カウンセラーは、「内面の変化を扱う専門家」として極めて重要な位置を占めます。
(2)継続的な支援が可能になる
メンタルヘルスの問題には波があります。
調子が良い時期もあれば、落ち込む時期もあります。
そのため、一人の支援者だけでは、どうしても関わりに限界が生じることがありますが、複数の支援者がいることで支援の継続性が高まります。
心理カウンセラーは特に、感情の変化の早期察知やストレス増加のサインの理解、再発予防の支援という面で重要な役割を果たします。
(3)安心感が回復力を高める
「複数の専門家が自分を支えてくれている」という感覚は心理的安全性を高めます。
心理的安全性は回復の大きな要因です。
心理カウンセラーはその中でも、安心できる対人関係そのものを提供する役割を担います。
これは非常に重要です。
なぜなら、多くの心の問題は「関係の中で生じ」「関係の中で回復する」からです。
1-4.日本の現場でよく見られる協働の形
日本では制度的に…
✔主治医(精神科・心療内科)
✔訪問看護
✔就労移行支援・就労継続支援
✔心理カウンセリング
といった支援が連携するケースが多くあります。
これは研究で示されている協働ケアモデルと非常に近い構造です。
そして日本での協働ケアモデルでは医療や生活支援、社会参加支援、そして心理支援が同時に存在しています。
これは回復にとって非常に重要な意味を持ちます。
1-5.協働の中での心理カウンセラーの役割
心理カウンセラーは協働支援の中で、次のような重要な役割を担います。
✔感情と認知の整理
自分の気持ちや考えを理解することは回復の基盤になります。
✔対人関係の理解
人間関係のパターンを整理し、変化の可能性を見つけます。
✔ストレス対処の習得
具体的な対処スキルを身につける支援を行います。
✔自己理解の促進
「自分とは何か」を理解することは長期的な安定につながります。
✔再発予防
症状の前兆を理解し、早期対応を可能にします。
つまり心理カウンセリングは単なる「話を聞く場」ではなく、回復のプロセスを支える専門的介入なのです。
1-6.心の回復は多面的に進む
心の回復は、「薬だけ」「カウンセリングだけ」で完結するものではありません。
心の病には身体や心理、生活、そして社会等の全てが影響し合っています。
そのため協働ケアは非常に理にかなった方法なのです。
まとめ
研究から分かる重要なポイントは次の通りです。
✔多職種連携はメンタルヘルスの改善に有効
✔当事者の中長期的な回復を支える
✔当事者の安心感を高める
もし現在複数の支援を受けているなら、それは科学的に根拠のある回復の形の中にいると言えます。
そして必要であれば、支援先はサポートネットワークとしていくつかの支援先を持っていると心の回復に繋がります。
もしも心の病を抱えておられるのであれば、多職種連携の元、つまり「協働ケア」もぜひ検討に入れてみてください。
参考論文
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こころのケア心理カウンセリングRoom
兵庫県芦屋市浜芦屋町1-27 サニーコート浜芦屋302号
電話番号 : 090-5978-1871
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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