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不安症に対するケア~不確実性に対する耐性の大切さ~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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不安症のケアで大切な視点~不確実性への不耐性とは

不安症のケアで大切な視点~不確実性への不耐性とは

2026/05/23

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

不安が強いとき、私たちは「はっきりした答え」を求めたくなります。

 

そのため不安が続くと、何度も調べたり、確認したり、誰かに「大丈夫」と言ってもらいたくなることがあります。

 

しかし、一時的に安心しても、しばらくするとまた別の不安が出てくるのが、不安、特に不安症の厄介なところです。

 

その不安症や強迫症の支援では、不安の内容そのものだけでなく、「不確実さに耐えにくい心」、つまり将来の不確実性に耐えられないという問題に目を向けることが重要です。

 

Miller & McGuire(2023)のメタ分析では、不安関連症状へのエビデンスに基づく治療は、不確実性への不耐性を大きく改善することが重要だと示されました。

 

また、不確実性への不耐性の改善は、症状の改善とも関連していました。

 

そこでこのブログでは、将来の不確実性に対する「耐えられなさ」、つまり不安症における「不確実性に対する不耐性」についてシェアしたいと思います。

 

※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものでも効果を保証するものでもありません。

※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1.不安が強い人ほど「わからないこと」がつらくなる~不確実さに耐えにくい心と、不安・確認行動の関係~

 

不確実な状況での不安を改善し、曖昧さに耐える力を養うための「負のサイクル」と練習法を解説したインフォグラフィック。

 

不安が強いとき、人は「確実に大丈夫」と思える答えを探したくなります。


相手に嫌われていないか、病気ではないか、失敗しないか、確認し忘れていないか…。

 

こうした不安が続くと、何度も調べたり、確認したり、誰かに安心させてもらいたくなるという欲求が生じます。

 

しかし、安心を求める行動は、一時的には楽になっても、長期的には「確実でないと安心できない」という感覚を強めてしまうことにつながる可能性を高めてしまいます。


ここで大切になるのが、不確実性への不耐性という考え方です。

 

ここからはその「不確実性への不耐性」と不安症についてみていきたいと思います。

 

1-1.この論文は何を調べた研究なのか

 

またまた恒例の論文ミニ解説です。

 

Miller & McGuire(2023)の論文は、不安関連障害に対する治療が、不確実性への不耐性をどの程度改善するのかを調べた研究です。

 

この研究の対象となったのは、不安に関連する問題を持つ方々たちです。

 

この論文の特徴は、単に「不安症状が減ったか」を見るだけではなく、不確実さに耐えにくい心が治療によって変化するのかを調べている点です。

 

さらに、その変化が不安症状の改善とどのように関係するのかも検討されました。

 

1-2.不確実性への不耐性とは何か

 

不確実性への不耐性とは、簡単に言えば、結果がはっきりしないことや、十分な情報がない状態を強く苦痛に感じる傾向です。

 

たとえば、次のような形で現れます。

 

「大丈夫という確証がないと安心できない」


「少しでも悪い可能性があるなら、考え続けてしまう」


「曖昧な返事や予定変更がとても苦手」


「確認しないと落ち着かない」


「考えておかないと、悪いことが起きたときに対応できない気がする」

 

このような傾向が強いと、わからない状態そのものが大きな不安になってしまいます。


つまり、普通なら「まだわからないから保留にしよう」と思える場面でも、「わからない=危険」と感じやすくなるのです。

 

1-3.なぜ「わからないこと」が不安を強めるのか

 

不確実な状態は、誰にとっても多少は落ち着かないものです。


しかし、不確実性への不耐性が強い場合、「わからないこと」が単なる未確定の状態ではなく、危険のサインのように感じられます。

 

例えば、相手から返信がないとき、「忙しいのかもしれない」ではなく…


「嫌われたのではないか」


「何か悪いことをしたのではないか」


…と考えやすくなってしまうのです。

 

また別の例をだしますと、体調に違和感があるときも、「少し疲れているのかもしれない」ではなく…


「重大な病気かもしれない」


…と感じて、検索や確認が止まらなくなることがあります。

 

また、これが強迫症においては「確認しなくてもおそらく大丈夫」ではなく…


「100%確実でないなら危険だ」


…という感覚が強くなることにつながります。

 

このように、不確実さが脅威として受け取られると、心配、回避、安心確認、検索、確認行動が増えてしまいます。


これらは一時的には安心を与えますが、長期的には「確実でなければ安心できない」という感覚を強めてしまうことになってしまいます。

 

1-4.心理療法は不確実性への不耐性を改善する?

 

Miller & McGuire(2023)のメタ分析では、不安関連障害に対する治療は、不確実性への不耐性を大きく改善することが示されました。

 

治療群は対照条件と比べて、不確実性への不耐性に対して大きな効果を示し、非常に高い効果量が報告されています。

 

さらに、不確実性への不耐性の改善は、不安関連症状の改善とも関連していました。

 

症状改善の分散の36%を説明したとされており、不確実性への不耐性は、単なる周辺的な問題ではなく、症状改善と関係する重要な要素である可能性があります。

 

1-5.どのような心理療法が関係するのか

 

この論文では、認知行動療法、曝露療法、マインドフルネスに基づく介入など、不安関連障害に対する治療が検討されています。

 

不確実性への不耐性を直接扱う認知行動療法では、たとえば次のような取り組みが行われます。

 

「心配は本当に役立っているのか」を見直す。


不確実な状況を避けずに、少しずつ経験する。


問題解決できる心配と、考え続けても答えが出ない心配を分ける。


「絶対に大丈夫」と確認しなくても行動する。


不安なイメージや予測に向き合う。

 

これは単なる前向き思考ではありません。


「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせることではなく、不確実さが残っていても行動できる経験を増やすことが中心になります。

 

1-6.「確認するほど安心できなくなる」ことがある

 

不確実さが苦手な方は、安心するために確認を増やしやすくなってしまいます。


しかし、確認は短期的には安心につながっても、長期的には逆に不安を維持してしまうことは珍しくありません。

 

例えば…

 

体調不安で検索を繰り返す。


人間関係で相手の表情や返信を何度も読み返す。


仕事でミスがないか何度も確認する。


強迫症で鍵やガスを繰り返し確認する。


家族や友人に「大丈夫だよね」と何度も聞く。

 

これらは、その場では少し安心できます。


しかし、脳は「確認したから安心できた」「確認しなければ危険だった」と学習しやすくなります。

 

その結果、次に不安が出たときも、また確認しないと落ち着かなくなってしまいます。


つまり、確認は安心のための行動である一方で、不確実さに耐える力を弱めてしまうことがあるのです。

 

1-7.不確実さに慣れるとは、無理に平気になることではない

 

不確実さに向き合うというと、「怖いことを我慢しなければならない」と感じる方もいるかもしれません。


しかし、大切なのは、無理に我慢することではありません。

 

大切なのは、少しずつ…


「わからないままでも、その場をやり過ごせた」


「確認しなくても、生活は続けられた」


「不安があっても、行動を選べた」


…という経験を増やすことです。

 

こうした小さな練習を積み重ねることで、不確実さに対する反応は少しずつ変わっていきます。

 

1-8.うつ状態がある人にも重要な視点

 

Miller & McGuire(2023)の分析では、併存するうつ症状があることや、いくつかの治療アプローチが、不確実性への不耐性のより大きな改善と関連していました。

 

これは、不確実性への不耐性が不安だけでなく、抑うつとも関わる可能性を示しています。

 

具体的には…


将来が見えない。


自分が回復するかどうかわからない。


仕事や人間関係がどうなるかわからない。

 

このような不確実さが強いと、心配だけでなく、無力感や絶望感にもつながりやすくなります。

 

そのため、不安症状だけでなく抑うつがある方にとっても、「わからない状態をどう抱えるか」は大切なテーマになります。

 

まとめ

 

Miller & McGuire(2023)の研究は、不安関連障害への治療が、不確実性への不耐性を改善する可能性を示したものです。


不確実性への不耐性とは、結果がはっきりしないことや十分な情報がない状態を強く苦痛に感じる傾向です。

 

不安が強いとき、人は「確実に大丈夫」と思えるまで確認したくなります。


しかし、確認や安心探しを繰り返すほど、「確実でなければ安心できない」という感覚が強まることがあります。

 

大切なのは、不安を完全になくすことではありません。


不確実さが残っていても、確認や回避に支配されず、今できる行動を選べるようになることです。


その積み重ねが、不安との関係を少しずつ変えていく助けになります。

 

よくある質問


Q1. 不確実性への不耐性とは何ですか?

 

不確実性への不耐性とは、結果がはっきりしないことや、十分な情報がない状態を強く苦痛に感じる傾向です。

 

「確実に大丈夫」とわからないと安心できず、心配や確認が増えやすくなる状態を指します。

 

Q2. 不確実性への不耐性は不安症と関係しますか?

 

関係します。

 

Miller & McGuire(2023)は、不確実性への不耐性が不安関連障害の発生、維持、症状の重さに関わる重要な要因であると整理しています。

 

Q3. 心理療法で不確実性への不耐性は改善しますか?

 

改善する可能性があります。

 

Miller & McGuire(2023)のメタ分析では、不安関連障害への治療は、不確実性への不耐性に対して大きな改善効果を示しました。

 

Q4. 確認行動はやめたほうがよいのですか?

 

すべての確認が悪いわけではありません。

 

ただし、不安を下げるために何度も確認する場合、長期的には「確認しないと安心できない」という感覚を強めることがあります。

 

そのため心理的支援では、必要な確認と不安を維持する確認を分けて考えることを重視します。

 

Q5. 不確実さに耐える練習とは何をするのですか?

 

たとえば、スマホ確認の回数を減らす、体調検索の時間を決める、仕事の確認を一回で終える、不安が残っていても次の行動に進む、といった練習です。

 

目的は、無理に不安を消すことではなく、不確実さがあっても行動できる力を育てることです。

 

参考論文

Miller, M. L., & McGuire, J. F. (2023). Targeting intolerance of uncertainty in treatment: A meta-analysis of therapeutic effects, treatment moderators, and underlying mechanisms. Journal of Affective Disorders.

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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