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近づきたいのに怖い~大人の無秩序愛着と未解決状態とは~

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近づきたいのに怖い~大人の無秩序愛着と未解決状態とは~

近づきたいのに怖い~大人の無秩序愛着と未解決状態とは~

2026/04/22

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

愛着障害には色々なタイプがあるのですが、その中の1つである「無秩序愛着」とは、「安心したい」「近づきたい」という気持ちと、「怖い」「離れたい」という気持ちが同時に動きやすい状態です。

 

また愛着障害を抱えている方は成育歴の中で逆境体験を経ており、それが「未解決状態」を作り出すという問題を生じさせます。

 

未解決状態とは、その背景にある喪失や虐待の体験が十分に整理されず、特定の話題で心や語りのまとまりが一時的に崩れやすい状態を指します。

 

そこで今回のブログでは、対人関係に大きな影響を与える無秩序愛着と未解決状態についてシェアしたいと思います。

 

1.無秩序愛着と未解決状態とは? 大人の対人関係のしんどさの理解

 

 

人との関係で、「近づきたいのに怖い」「大事な話になると急に気持ちが乱れる」と感じることはないでしょうか。


こうした揺れは、単に性格や感情の問題として片づけてしまうと、本当の理解から遠ざかってしまうことがあります。

 

そのため、大人の愛着を考えるうえで大切なのが、無秩序愛着と未解決状態という視点です。


この二つは同じものではありませんが、切り離して考えるより、一緒に見ることで関係のしんどさが理解しやすくなることがあります。


そして、その背景には、感情・記憶・考え・対人関係の体験をひとまとまりに保つ統合能力の問題が関わっていると考えると、とても整理しやすくなります。

 

1-1.無秩序愛着と未解決状態の違いについて

 

まず、そもそも「無秩序愛着」と「未解決状態」とは何かについて触れたいと思います。


無秩序愛着は、人との関係の中で、近づきたい気持ちと恐れがぶつかり、心や行動がまとまりにくくなる状態を指します。


一方、未解決状態は、特に喪失や虐待などのつらい体験について触れたときに、思考や語りのまとまりが一時的に崩れやすくなる状態です。

 

違った観点で言うと…

 

無秩序愛着は、関係の中で起こりやすい混乱のパターン


未解決状態は、未整理の体験が心のまとまり方に影響している状態

 

…と考えることができるでしょう。

 

つまり、無秩序愛着は「今の関係の中でどう揺れるか」を見やすくする概念であり、未解決状態は「その背景に何があるのか」を見やすくする概念だと言えます。

 

1-2.なぜ、この二つを同時に扱う必要があるのか?

 

無秩序愛着だけを見ると、対人関係の混乱は見えても、その背景にあるつらい体験や未整理な記憶が見えにくくなります。


逆に、未解決状態だけを見ると、過去の体験が整理されていないことは見えても、それが現在の人間関係の中でどのように表れているのかが見えにくくなります。

 

そのため、この二つを一緒に見ることで、以下のものがつながって理解しやすくなります。

 

過去のつらい体験が今の対人関係にどう影響しているのか


なぜ「つながりたいのに怖い」という揺れが起こるのか


なぜ特定の話題になると急にまとまりが崩れるのか

 

つまり、未解決状態は背景、無秩序愛着は現在の関係での現れとして見るとイメージしやすいと思います。

 

1-3.統合能力の問題とは何か

 

この二つをつなぐうえで重要なのが、統合能力という視点です。


統合能力とは、記憶、感情、考え、身体の反応、人との関係の体験を、ばらばらにせず、ある程度ひとまとまりに保つ力のことです。

 

例えば、人は本来なら…

 

「あのときは怖かった。でも今はあの時とは違う」


「この人に腹が立つけれど、大切な相手でもある」


「つらい体験だったけれど、今はそれを振り返ることができる」

 

…というように、複数の感情や体験を同時に抱えながら整理していくことができます。

 

ところが、この統合する力が大きく揺らぐと…

 

相手を「安心できる人」としても「怖い人」としても同時に感じてしまう


つらい話題で記憶、感情、言葉がうまくつながらなくなる


気持ちや考えが極端に揺れやすくなる

 

…といったことが起こりやすくなります。

 

そして無秩序愛着も未解決状態も、統合する力がうまく働きにくいときの別々の現れということができるでしょう。

 

1-4.無秩序愛着とは何か~「近づきたい」と「怖い」が同時に動く状態~

 

無秩序愛着をイメージしやすく言うと、安心したい相手が、同時に恐れの対象にもなりやすい状態です。

 

そのため、対人関係では次のような揺れが起こりやすくなります。

 

「わかってほしい」と強く求める


でも、相手が近づくと急に身構える


助けてほしいのに、差し出された支えを受け取れない


関係を大事にしたいのに、衝動的に壊すような反応をしてしまう

 

このような状態は、表面だけ見ると「依存的」「不安定」と見られてしまうことがあります。


しかし本質は、安心したい気持ちそのものが恐れによってかき乱されているところにあります。

 

これを統合能力の視点から見ると、本来なら…


「この人は大事な相手だ」


「でも今は少し怖さもある」


という両方をひとまとまりに持てるはずのところが、うまくまとまらず、近づくか離れるかが極端になりやすいのです。

 

1-5.未解決状態とは何か~つらい体験が「過去のこと」としてまとまりきっていない状態~

 

未解決状態は、特に喪失や虐待などの体験に関係して考えられます。


ここでいう「未解決」とは、単に悲しみが残っているとか、つらかった記憶があるという意味ではありません。

 

もっと正確に言えば、その体験が心の中で十分に整理されておらず、触れたときに思考や言葉のまとまりが一時的に崩れやすい状態です。

 

つまり、未解決状態とは…

 

つらい出来事が完全に「終わった過去」になりきっていない


記憶や感情や意味づけが、まだばらばらに残っている


特定の話題で、そのばらつきが表に出やすい

 

…という状態だと考えるとわかりやすいと思います。

 

1-6.未解決状態はどのように現れるのか?

 

未解決状態は、普段からずっと混乱して見えるとは限りません。


むしろ普段は普通に会話できる方も少なくありません。


ただ、ある喪失や被害体験に触れた途端、その話だけ急にまとまりが崩れることがあります。

 

例えば、次のような現れ方です。

 

亡くなった人のことを、今もそこにいるように話す


とてもつらい出来事なのに、気持ちにまったく触れず事実だけを並べる


逆に、細部だけを不自然なほど詳しく語り、全体の流れが見えなくなる


話し方が急に変わる


文が途中で切れる


何を言おうとしていたのか、自分でも見失う


大事な話題なのに、急に別の話に飛ぶ

 

日常に近い言い方をすると、その話題に触れた瞬間だけ、心の整理の糸がほどけるような感じです。

 

統合能力の視点から見ると、これは記憶・感情・言葉・意味づけが一つにつながらず、部分的にちぎれたような状態になっていると言えるでしょう。

 

1-7.なぜ未解決状態は対人関係に影響しやすいのか

 

未解決状態があると、過去の恐れや混乱が十分に整理されていないため、現在の関係の中でもそれが刺激されやすくなります。


その結果、本来は安心できるはずの関係でも、戸惑い、不安、怒り、身構えが混ざりやすくなります。

 

ここで大切なのは、未解決状態があるからといって「人を愛せない」という意味ではないことです。


むしろ多くの場合は、つながりたいのに、つながろうとすると恐れが動いてしまうという苦しさがあります。

 

だからこそ、無秩序愛着や未解決状態は責める対象ではなく、理解し、支援していく対象として見ていく必要があります。

 

まとめ~無秩序愛着と未解決状態を一緒に理解することの意味~

 

無秩序愛着は、関係の中で近づきたい気持ちと恐れがぶつかり、まとまりにくくなる状態です。


一方、未解決状態は、喪失や虐待などの体験が十分に整理されず、特定の話題で思考や語りのまとまりが崩れやすい状態です。

 

この二つは同じではありません。


しかし、別々に扱いすぎると、本当の理解から遠ざかってしまいます。


両方をあわせて見ることで、過去の未整理な体験と今の関係の中での揺れがつながって理解しやすくなります。

 

そして、その背景には、記憶・感情・意味づけ・対人関係をひとまとまりに保つ統合能力の問題があります。


この視点を持つことで、「なぜこんなに揺れるのか」を性格の問題として責めるのではなく、理解と支援の対象として丁寧に見ていくことができます。

 

よくある質問


Q1. 無秩序愛着と未解決状態は同じものですか?

 

いいえ、同じではありません。


無秩序愛着は、人との関係の中で起こりやすい混乱のパターンです。


未解決状態は、喪失や虐待などの体験が十分に整理されず、特定の話題で思考や語りのまとまりが崩れやすい状態です。


ただし、この二つは関係していることがあり、一緒に見ることで理解しやすくなります。

 

Q2. なぜ無秩序愛着と未解決状態を同時に考える必要があるのですか?

 

無秩序愛着だけを見ると、現在の対人関係の混乱は見えても、その背景が見えにくくなります。


また未解決状態だけを見ると、過去の体験は見えても、それが今の関係にどう表れているかが見えにくくなります。


そのため、両方をあわせて見ることで、過去の体験と現在の関係の揺れがつながって理解しやすくなります。

 

Q3. 統合能力とは、簡単に言うと何ですか?

 

統合能力とは、記憶、感情、考え、人との関係の体験を、ばらばらにせずひとまとまりに保つ力のことです。


この力が揺らぐと、「近づきたいのに怖い」「つらい話になると急にまとまらない」といったことが起こりやすくなります。

 

Q4. 未解決状態がある方は、普段の会話に特徴はありますか?

 

そうとは限りません。


普段は普通に話せることも多いです。


ただし、ある喪失や被害体験に触れたときだけ、話が急に飛んだり、文が途中で切れたり、感情や意味づけが抜け落ちたりすることがあります。

 

Q5. 無秩序愛着があると、恋愛や人間関係は必ずうまくいかないのでしょうか?

 

必ずそうなるわけではありません。


ただ、近づきたい気持ちと恐れがぶつかりやすいため、関係の中で揺れやすさが出ることがあります。


大切なのは、「自分はだめだ」と決めつけることではなく、どんな場面で恐れが強く動きやすいのかを理解していくことです。

 

Q6. 「自分は未解決状態かもしれない」と感じたらどうすればいいですか?

 

まず大前提として、自己判断で決めつけるべきではありません。


そして、どんな話題になると気持ちや言葉のまとまりが崩れやすいのか、どんな関係で近づきたいのに怖くなりやすいのかを丁寧に振り返ることが役立ちます。


必要があれば、愛着やトラウマに理解のある心理カウンセラーに相談することも一つの方法です。

 

参考論文

Jacobvitz, D., & Reisz, S. (2019). Disorganized and unresolved states in adulthood

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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