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大人のADHDの困りごととは~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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成人ADHDのリアルな困りごと~注意・感情・対人関係の苦しさ~

成人ADHDのリアルな困りごと~注意・感情・対人関係の苦しさ~

2026/06/04

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

大人のADHDは、単に「忘れっぽい」「落ち着きがない」「片づけが苦手」というだけでは説明できません。

 

実際には、仕事の段取り、人間関係、感情のコントロール、自己評価、生活管理など、日常のさまざまな場面に影響することが珍しくありません。

 

大人のADHDを理解するうえで大切なのは、ADHDは、注意、行動、感情、自己理解、人間関係に影響する発達特性として捉えることです。

 

そして、特性を理解したうえで、生活に合った工夫や支援を整えることが大切です。

 

そこで今回は「大人のADHDの『困りごと』」を中心にシェアしたいと思います。

 

※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものでも効果を保証するものでもありません。

※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1.大人のADHDの「生きづらさ」とは

 

 

繰り返しになりますが、大人のADHDは仕事、家事、人間関係、感情のコントロール、自己評価など、日常生活のさまざまな場面に影響することがあります。

 

そして大人のADHDの理解で大切なのは、本人が困っている背景には、注意の向け方、感情の調整、実行機能、環境との相性など、さまざまな要因が関係しているという点です。

 

そこで、以下では研究論文を踏まえつつ解説をしていきたいと思います

 

1-1.この論文は何を調べた研究なのか

 

いつものように論文をベースにしていますので、サラッと論文を解説しますね。

 

この論文では、成人ADHDの人たちが、診断を受けた経験、日常生活で感じる症状、症状に適応するための工夫、物質使用との関係、自己イメージ、社会との関わりなどについて、どのように語っているかが検討されました。

 

ADHDは子ども時代に注目されやすい一方で、大人になってからも続くことがあります。

 

しかも成人期には、仕事、家事、パートナーシップ、親としての役割、社会的責任などが増えます。

 

そのため、子どものころとは違った形で困りごとが表れやすくなります。

 

1-2.大人のADHDは「注意不足」だけでは説明できない

 

ADHDというと、「不注意が多い」「集中できない」というイメージを持たれやすいかもしれません。

 

もちろん、不注意はADHDの大切な特徴です。

 

しかし、大人のADHDでは、単に注意がないというより、注意の向け方を調整することが難しいと考えたほうが理解しやすい面もあります。

 

例えば、以下のようなものが具体例として挙げられます。

 

興味のない作業にはなかなか集中できない。


一方で、興味のあることには何時間も没頭してしまう。


やるべきことがあるのに、別の刺激に引っ張られる。


逆に、一つのことに入り込みすぎて、時間や予定を忘れてしまう。

 

このように、注意が常に不足しているというより、注意が向く方向や強さを自分で調整しにくいのです。

 

そのため、周囲からは「集中できるときはできるのに、なぜ大事なことはできないのか」という疑問を持たれることがあります。

 

しかしご本人の中では、興味、緊急性、刺激の強さによって、注意の向き方が大きく変わってしまっているんですね。

 

1-3.診断を受けることの意味

 

大人になってからADHDと診断される方も珍しくありません。


そのとき、診断は人によってさまざまな意味を持ちます。

 

ある方にとっては、「自分は怠けていたわけではなかった」と理解できるきっかけになります。


一方、別の方にとっては、「もっと早く知りたかった」という悔しさにつながることもあります。


また、「自分にラベルがついたようでつらい」と自責の念を感じる方もいます。

 

大人になってから診断を受ける方の中には、長年、自分を責め続けてきた方が少なくありません。

 

「なぜ普通にできないのか」


「なぜ同じミスを繰り返すのか」


「なぜ周りの人ができることが自分には難しいのか」

 

こうした問いを抱え続けてきた方にとって、ADHDという理解は、自己否定を少し和らげる手がかりになることがあります。

 

ただし、診断はゴールではありません。


大切なのは、診断名を得ることだけではなく、自分の困りごとのパターンを理解し、生活の中でどのような工夫や支援が必要なのかを考えていくことです。

 

1-4.感情の調整のむつかしさ

 

大人のADHDでは、注意や行動だけでなく、感情の調整が難しいことがあります。

 

怒りが急に強くなる。


不安が一気に高まる。


小さな指摘でも強く落ち込む。


失敗したあとに自分を激しく責める。


気持ちの切り替えに時間がかかる。

 

このような感情の揺れは、周囲からは否定的に解されることが珍しくありません。

 

しかし、ご本人にとっては感情が急激に立ち上がり、自分でも扱いにくい状態になっている場合もあります。

 

特に、これまでに失敗や叱責を多く経験してきた方は、ちょっとした注意や否定的な反応にも敏感になりやすいです。

 

「また怒られる」


「やっぱり自分はだめだ」


「また迷惑をかけた」

 

このような思考が一気に出てくることがあります。

 

そのため、大人のADHDの支援では、時間管理や片づけだけでなく、感情の扱い方を支援することも重要です。

 

1-5.自己評価が低くなりやすい理由

 

ADHDの方の中には、自己評価の低さに苦しむ方も数多くおられます。


これは、当然ですが性格がネガティブだからではありません。

 

長年にわたって、忘れ物、遅刻、先延ばし、ミス、片づけの苦手さ、対人関係のすれ違いを経験していたため、「自分はだめだ」という感覚が強まってしまった結果なのです。

 

例えば、周囲から…


「ちゃんとしなさい」


「何度言えばわかるの」


「やる気がないだけでしょう」


「普通の人はできることだよ」


…と言われ続けると、自分の困りごとを特性として理解する前に、性格や人格の問題として受け取ってしまうことにつながりやすくなります。

 

その結果、成人期には、ADHDの症状そのものだけでなく、長年の自己否定が大きな苦しさになります。

 

ここで大切なのは、「できないこと」をすべてADHDのせいにすることではありません。


しかし、「できないこと」をすべて人格の問題にする必要もありません。

 

大人のADHDでは、自分の特性を理解したうえで、責めるのではなく、仕組みで支えることが大切になってくるのです。

 

1-6.仕事で困りやすいこと

 

大人のADHDでは、仕事の場面で困りごとが表れやすくなります。

 

この「仕事上の困りごと」がきっかけで病院を受診し、ADHDの診断がなされるというケースは多々あります。

 

例えば…

 

タスクの優先順位をつけるのが難しい。


締め切り管理が苦手。


メールや書類の処理がたまる。


会議中に集中が切れる。


口頭指示を忘れてしまう。


複数の業務を同時に進めると混乱する。


細かい確認作業が苦手。

 

こうした困りごとは、本人の能力が低いという意味ではありません。


むしろ、仕事のやり方や環境が、本人の注意や実行機能の特性と合っていないと解するのが妥当です。

 

例えば…

 

曖昧な指示が多い職場では混乱しやすくなります。


締め切りが明確でないと、いつ始めればよいかわからなくなります。


口頭での指示だけだと、後から抜け落ちやすくなります。


刺激が多い環境では、集中が続きにくくなります。

 

このような場合、必要なのは「その方に合った工夫」です。

 

タスクを見える化する。


指示をメモに残す。


締め切りを細かく分ける。


通知やリマインダーを使う。


作業環境を整える。

 

このように、本人の努力だけに頼るのではなく、仕組みを作ることが重要です。

 

1-7.人間関係で誤解されやすいこと

 

大人のADHDでは、人間関係でも誤解が起こりやすくなります。

 

典型例なのが…

 

話を遮ってしまう。


相手の話を聞いているつもりなのに、途中で注意がそれる。


約束を忘れてしまう。


返信を後回しにして、そのまま忘れる。


感情が高ぶって、強い言い方をしてしまう。


急に連絡が途絶えたように見えてしまう。

 

これらは、相手から見ると「自分を軽く見ている」「話を聞いていない」「大切にされていない」と受け取られることがあります。


しかし、本人に悪意があるとは限りません。

 

ADHDの方は、相手を大切に思っていても、注意の切り替え、記憶、感情の調整が難しいために、結果として誤解される行動になってしまうことになってしまうのです。

 

そのため大切なのは、関係を守るための工夫を持つことです。

 

例えば…

 

約束はその場でカレンダーに入れる。


返信が必要なものは未読に戻す、またはメモに残す。


感情が高ぶったときは、すぐに結論を出さず時間を置く。


相手に「忘れやすいので、予定は文字で残したい」と伝える。

 

このような工夫は、人間関係を安定させる助けになります。

 

1-8.ADHDにある強み

 

ADHDは困りごとだけで語られることが多いのですが、当事者の中には、自分の特性に良い面を見出している方も珍しくありません。

 

例えば…

 

興味を持ったことへの集中力。


新しい発想。


行動力。


エネルギーの高さ。


直感的な判断。


柔軟な考え方。


人と違う視点。

 

もちろん、「ADHDには強みがある」と言うだけで、困りごとが消えるわけではありません。

 

忘れ物や先延ばし、感情の波、仕事上の困難は現実の問題です。

 

ただ、ADHDを「欠点の集まり」としてだけ見るのは正しい理解ではありません。

 

大切なのは、困りごとを現実的に支援しながら、その人が持つ資源や強みも見落とさないことです。

 

まとめ

 

Ginappら(2022)のレビューは、大人のADHDを当事者の体験から理解する重要性を示しています。

 

大人のADHDでは、不注意や多動性だけでなく、注意の調整、感情調整、自己評価、仕事上の困難、人間関係のすれ違い、社会的な偏見など、さまざまなテーマが関わります。

 

ADHDは、単なる努力不足や性格の問題ではありません。

 

ご本人の特性と、環境や社会的な期待とのずれの中で、困りごとが生じることがあります。

 

大切なのは、どの場面で困りごとが起きるのかを理解し、生活に合った工夫や支援を整えていくことです。

 

ADHDを正しく理解することは、自己否定を減らし、自分らしく生活するための第一歩になります。

 

よくある質問


Q1. 大人のADHDとは何ですか?

 

大人のADHDとは、不注意、衝動性、多動性、注意の調整の難しさ、感情のコントロールの難しさなどが、仕事・家事・人間関係・生活管理に影響している状態です。

 

子どものころだけでなく、大人になってからも困りごとが続くことがあります。

 

Q2. 大人のADHDは「集中できない人」という意味ですか?

 

いいえ。大人のADHDは、単に集中力がないというより、注意の向け方を調整しにくい状態と考えるとわかりやすいでしょう。

 

興味のない作業には集中しにくい一方で、興味のあることには長時間没頭してしまうこともあります。

 

そのため、「集中できるときはできるのに、必要な場面で集中できない」という困りごとが起こりやすくなります。

 

Q3. 大人になってからADHDと診断されることはありますか?

 

珍しくありません。

 

子どものころには見過ごされ、大人になってから仕事、家事、人間関係、生活管理の困りごとをきっかけにADHDがわかる方もいます。

 

診断は「自分にラベルを貼ること」ではなく、これまでの困りごとの背景を理解し、必要な工夫や支援につなげるための手がかりになります。

 

Q4. ADHDの人は感情の波が強くなりやすいですか?

 

強くなりやすい場合があります。

 

大人のADHDでは、怒り、不安、焦り、落ち込みなどが急に強くなったり、気持ちの切り替えに時間がかかったりすることがあります。

 

周囲からは「短気」「感情的」と誤解されることもありますが、本人の中では感情が急激に立ち上がり、自分でも扱いにくくなっていることがあります。

 

Q5. 大人のADHDにはどのような対処が役立ちますか?

 

大切なのは、努力だけで何とかしようとするのではなく、仕組みで支えることです。

 

例えば、予定をカレンダーに入れる、タスクを見える化する、締め切りを細かく分ける、口頭指示をメモに残す、リマインダーを使う、作業環境を整えるなどが役立つことがあります。

 

また、自己否定が強い場合や感情の波、人間関係の悩みがある場合は、カウンセリングでケアすることも有効です。

 

参考論文

Ginapp, C. M., et al. (2022). The lived experiences of adults with attention-eficit/hyperactivity disorder: A rapid review of qualitative evidence.

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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