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社交不安症を克服する認知行動療法のステップ~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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社交不安症を克服する認知行動療法のステップ

社交不安症を克服する認知行動療法のステップ

2026/07/18

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

社交不安症の方の多くは、人と関わることが嫌いなのではなく、「失敗した自分を見られること」や「否定的に評価されること」に強い恐怖を感じやすい傾向を持っています。

 

ただ、社交不安症は、認知行動療法によって症状の軽減や生活の回復が期待できる不安症です。

 

日本不安症学会と日本神経精神薬理学会が作成した診療ガイドラインでは、成人の社交不安症に対して、社交不安症の治療に特化した個人認知行動療法が提案されています。

 

また海外のNICEガイドラインでも、成人に対する最初の心理的治療として、個人認知行動療法が推奨されています。

 

そこでこの記事では、社交不安症の特徴と、認知行動療法で回復を目指す具体的なステップをシェアしたいと思います。

 

※本記事は、公認心理師として一般的な情報を提供するものであり、特定の方の診断や治療、効果を保証するものではありません。症状によって生活に大きな支障が出ている場合は、精神科・心療内科などの医療機関にご相談ください。

 

 

1-1.社交不安症とは何か

 

社交不安症は、他者から注目されたり、評価されたりする可能性のある場面に対して、強い恐怖や不安を感じるものです。

 

不安を感じやすい場面には、例えば次のようなものがあります。

 

✔人前で発表する。

 

✔会議で意見を述べる。

 

✔初対面の人と話す。

 

✔雑談に加わる。

 

✔電話をかける。

 

✔人前で食事をする。

 

✔店員に質問する。

 

✔職場や学校で誰かに話しかける。


✔人が見ているところで文字を書く。

 

社交不安症では、「緊張すること」そのものよりも、緊張している姿を見られ、否定的に評価されることが恐れられます。

 

たとえば、「顔が赤くなったら変な人だと思われる」「声が震えたら能力がないと思われる」「会話が途切れたらつまらない人だと思われる」といった不安です。

 

そのため、社交場面を避けたり、強い不安を感じながら何とか耐えたりするようになります。

 

医学的には、こうした恐怖、不安、回避が典型的には6か月以上続き、仕事、学業、人間関係などに明らかな苦痛や支障がある場合に、社交不安症として評価されます。

 

1-2.なぜ社交不安が続くのか

 

社交不安症では、ご本人が自分を守るために行っている対処が、結果として不安を維持していることがあります。

 

代表的な維持要因が、自己注目、安全行動、回避、否定的な自己イメージ、予期不安、事後の反芻です。

 

そこで、これらを1つずつ見ていきたいと思います。

 

(1)自分の状態を監視し続ける「自己注目」

 

不安が強くなると、人は相手とのやり取りよりも、自分自身の状態に注意を向けやすくなります。

 

例ええば、「顔が赤くなっていないか」「声が震えていないか」「変な表情になっていないか」「相手からどう見えているか」と、自分の身体反応や話し方を繰り返し確認するようになります。

 

このように、自分の状態を内側から監視し続けることを「自己注目」と呼びます。

 

自己注目が強くなると、相手の話や表情に注意を向けにくくなります。

 

その結果、会話に集中できず、「やはり自分は人とうまく話せない」と感じやすくなるという悪循環が生じます。

 

また、自分が強く不安を感じているため、「相手から見ても、ひどく緊張して見えているはずだ」と判断してしまうことにもつながってしまいます。

 

しかし、自分が内側で感じている不安と、他者から実際に見える姿は、必ずしも同じではありません。

 

つまり、「自己注目」によって状況をネガティブに解釈してしまう、あるいは不安が強くなるということが生じてしまいます。

 

(2)不安を隠そうとする「安全行動」

 

安全行動とは、失敗したり、相手から否定的に評価されたりすることを防ぐために行う対処のことです。

 

例えば、相手と目を合わせない、話す内容を頭の中で何度も練習する、できるだけ短く話す、自分からは話しかけない、小さな声で話すといった行動があります。

 

また、手の震えを隠すために強く握りしめたり、顔が赤くならないように下を向いたり、自分について話すことを避けたり、質問されたときの答えをあらかじめ準備したりすることも、安全行動に含まれます。

 

これらの行動は、その場では不安を和らげ、一時的な安心をもたらすことがあります。

 

しかし、安全行動を続けていると、「安全行動をしたから失敗しなかった」と考えてしまい、安全行動をしなくても大丈夫だった可能性に気づけません。

 

また、話す内容を監視しすぎることで会話が不自然になったり、目を合わせないことで相手から関心がないように見えたりする場合もあります。

 

つまり、安全行動は本人を守るための行動でありながら、社交不安の悪循環を強めることになってしまうんですね。

 

(3)社交場面を避ける「回避」

 

苦手な場面を避けると、その場では不安が下がります。

 

しかし、避けることで「自分には対処できなかった」「あの場面は危険だった」という学習が強まりやすくなります。

 

その結果、以前は参加できていた場面にも不安が広がり、生活範囲が少しずつ狭くなることがあります。

 

これが「回避」と呼ばれる状態です。

 

回避には、完全にその場へ行かないことだけでなく、会話中に黙る、早く帰る、スマートフォンを見る、端の席に座るなどの部分的な回避も含まれます。

 

(4)否定的な自己イメージ

 

社交不安症では、自分が他者からどのように見えているのかについて、実際よりも否定的なイメージを持ちやすくなります。

 

例えば、「顔が真っ赤になり、みんなから笑われている」「何も話せず、気まずい空気を作っている」「身体や声を震わせながら、頼りなく話している」といった自分の姿を思い浮かべることがあります。

 

しかし、こうしたイメージは、必ずしも相手から実際に見えている姿を正確に表しているわけではありません。

 

自分の中で感じている顔の熱さ、動悸、震え、強い不安などの身体感覚をもとに、「他者からもひどく緊張して見えているはずだ」とイメージが作られている場合も珍しくありません。

 

そのため、自分が内側で感じている不安の強さと、周囲の人から見える姿との間には、大きな違いがあることも少なくありません。

 

つまり、不安が強いからといって、他者にも同じように見えているとは限らないということなんですね。

 

(5)出来事の前の予期不安

 

社交場面の数日前から、「うまく話せなかったらどうしよう」と考え続けることがあります。

 

これが社交不安症の「予期不安」です。

 

何度も会話をシミュレーションし、完璧な答えを用意しようとしますが、考えるほど失敗のイメージが増え、不安が強くなる場合があります。

 

しかし十分に準備できたという感覚が得られないため、さらにリハーサルを繰り返す悪循環に入ることも多々あります。

 

(6)出来事のあとの「一人反省会」

 

社交不安症の場合、社交場面が終わったあとに会話の内容を何度も思い返してしまうことがあります。

 

これも、社交不安症で見られやすい特徴の一つです。

 

「あの返事はおかしかったのではないか」「相手の表情が曇ったように見えた」「もっと別の言い方をすればよかった」と、実際には確かめられない相手の評価を否定的に推測し、自分の言動を繰り返し振り返ってしまいます。

 

このように、社交場面が終わったあとも頭の中で反省を続けることを「事後の反芻」といい、一般には「一人反省会」と表現されることもあります。

 

反芻をしていると、うまくできた部分よりも、失敗したと感じる部分に注意が向きやすくなります。

 

また、実際には確認できない相手の気持ちを、否定的に推測し続けてしまいます。

 

その結果、次の社交場面への不安が強くなります。

 

1-3.社交不安症を克服する認知行動療法のステップ

 

では、社交不安症(社交不安障害)を克服するためにはどのようなケアが有効なのでしょうか?

 

ここでは、私の専門である認知行動療法に基づいてケアの流れをお伝えしたいと思います。


ステップ1.困っている場面と治療目標を明確にする

 

最初に、どのような社交場面で不安が生じ、生活にどのような影響が出ているかを整理することから始まります。

 

「人前で緊張しないようになりたい」だけでは、目標が曖昧になりやすいため、実際の行動に置き換えて考えます。

 

例えば、「会議で月に一度は自分の意見を伝える」「職場の休憩時間に同僚と一緒に過ごす」「友人からの誘いを不安だけを理由に断らない」といった目標です。

 

ステップ2.現在の社交不安の悪循環を整理する

 

次に、典型的な社交場面を一つ選び、そこで起きていることを整理します。

 

例えば、会議で発言する場面では、まず「声が震えて、周囲から能力がないと思われるのではないか」という予測が浮かびます。

 

すると、心拍が速くなったり、顔が熱くなったりするなど、身体にも強い緊張反応が現れます。

 

さらに、震えながら話している自分の姿が頭の中に浮かび、そのイメージによって不安がいっそう強まることがあります。

 

その結果、失敗しないように話す内容を頭の中で何度も確認し、できるだけ短く話そうとしたり、発言が終わるとすぐに下を向いたりするようになります。

 

そして会議が終わったあとも、「相手はどう思ったのだろう」「変に見えなかっただろうか」と、周囲の反応を繰り返し思い返してしまいます。

 

このように、予測、身体反応、否定的な自己イメージ、安全行動、発言後の振り返りを一つずつ整理して結びつけることで、自分の社交不安がどのような仕組みで維持されているのかが見えやすくなります。

 

そして悪循環がわかると、「自分が弱いから不安になる」のではなく、変えられる具体的な要素があることに気づくことができるようになります。

 

ステップ3.安全行動と自己注目を見つける

 

社交不安症の認知行動療法では、安全行動と自己注目に着目します。

 

安全行動とは、失敗や否定的な評価を防ぐために行う対処です。

 

例えば、話す内容を長時間練習する、目を合わせない、できるだけ短く話すといった行動があります。

 

一見すると安全行動は健全なものに見えるかもしれません。

 

しかし安全行動によって一時的に安心できても、「この対処をしたから失敗しなかった」と考えるため、何もしなくても大丈夫だった可能性を脳が理解することができません。

 

その結果、社交不安症がそのまま維持されてしまいます。

 

また、自分の話し方や身体反応への注意が強まり、かえって会話が不自然になることもあります。

 

カウンセリングでは、安全行動を少しずつ控え、相手との会話に注意を向けます。

 

一時的に不安が増えても、思っていたより自然に話せることや、安全行動がなくても対処できることを確かめていきます。

 

ステップ4.注意を自分から相手とのやり取りへ戻す

 

社交不安症では、「顔が赤くなっていないか」「声が不自然ではないか」と、自分の状態を強く意識することで、相手の話に集中しにくくなることがあります。

 

そのため、認知行動療法では、自分の身体反応ばかりに注意を向けるのではなく、相手とのやり取りに意識を戻す練習を行います。

 

例えば、相手が何を話しているのかを丁寧に聞き、表情や声の調子に注意を向けます。

 

また、話の中で自分が興味を持った部分を探し、「自分がどう見られているか」ではなく、「この会話で何を伝えたいのか」「相手とどのようなやり取りをしたいのか」を意識することが大切です。

 

これは、相手の表情から自分への評価を探し続けるという意味ではありません。

 

「自分はどう見られているか」という評価モードから、「相手と何をやり取りしているか」というコミュニケーションモードへ移る練習です。

 

ステップ5.否定的な自己イメージを現実と比較する

 

社交不安症では、自分が実際よりもひどく緊張して見えていると考えることがあります。

 

そのため認知行動療法では、ロールプレイを実施し、あとから客観的に確認するフィードバックを用いる場合があります。

 

ただし、実施する前に「どのくらい赤く見えると思うか」「どの程度声が震えていると思うか」を具体的に予測します。

 

そのうえでロールプレイによるフィードバックを見ると、「内側では強く震えているように感じたが、外からはほとんどわからなかった」「思っていたより普通に会話できていた」と気づくことがあります。

 

このように心理カウンセラーや協力者から具体的なフィードバックを受け、自分のイメージと他者から見える姿の違いを検討できます。

 

ステップ6.否定的な予測を具体的にする

 

行動実験を行う前に、自分が何を恐れているのかを明確にします。

 

「人と話すのが怖い」だけでは、検証ができません。

 

「会話が3秒途切れると、相手は自分をつまらない人だと思い、その後話しかけてこなくなる」のように、予測を具体的にします。

 

そして、何が起きればその予測が正しかったと言えるのか、外から観察できる基準を決めます。

 

相手の心の中を完全に知ることはできません。

 

そのため、「嫌われた気がする」ではなく、「相手が会話を打ち切って離れる」「質問に答えなくなる」など、確認可能な反応に置き換えます。

 

ステップ7.行動実験で現実を確かめる

 

行動実験とは、否定的な予測が実際に起こるかを、現実の場面で確かめる方法です。

 

これは、単に苦手な場面を我慢することとは異なります。

 

例えば、「自分から話題を出すと、変な人だと思われる」と予測している場合、職場の休憩時間に自分から短い話題を一つ出してみます。

 

このとき、目を合わせない、早口で話す、すぐに会話を終わらせるといった安全行動を可能な範囲で控えます。

 

そして、相手が実際にどのように反応したかを観察します。

 

行動実験では、会話を成功させることが目的ではありません。

 

自分の予測と現実の結果にどのような違いがあるのかを確かめることが目的です。

 

予測どおりに少し気まずくなることもあります。

 

しかし、気まずい時間があっても関係が壊れないことや、思っていたより対処できることを得る機会でもあります。

 

ステップ8.避けてきた場面に段階的に取り組む

 

社交不安症では、避けてきた場面に少しずつ取り組む曝露(エクスポージャー)も行います。

 

しかし、いきなり最も怖い場面に挑戦する必要はありません。

 

「店員に質問する」「同僚にあいさつする」「少人数で意見を述べる」「会議で短く発言する」など、不安の程度を考慮して段階を作ります。

 

重要なのは、不安がなくなってから行動するのではなく、不安があっても必要な行動ができたという経験を増やすことです。

 

また、曝露中に安全行動を続けていると、「安全行動があったから乗り切れた」と理解してしまう場合があります。

 

そのため、安全行動を少しずつ減らしながら取り組むことが大切になってきます。

 

ステップ9.予期不安と一人反省会を見直す

 

社交場面の前に行う過剰なリハーサルや、終了後の一人反省会についても扱います。

 

まず、予期不安や反芻にどのようなメリットとデメリットがあるかを整理します。

 

確かに、準備によって必要な情報を確認できるというメリットはあります。

 

一方で、何時間も失敗を想像し続けると、不安や疲労が増え、本番に集中できなくなることがあります。

 

そこで、準備に使う時間を決め、完璧な台本を作るのではなく、要点だけを確認する方法へ変えていきます。

 

そして出来事のあとには、頭の中だけで評価を下すのではなく、「実際に確認できた事実」を振り返ります。

 

「緊張したから失敗した」ではなく、「緊張はしたが、質問には答えられた」「相手は会話を続けていた」と、観察できる事実を記録します。

 

ステップ10.根底にある信念や過去の記憶を扱う

 

社交不安の背景に、「失敗したら価値がない」「弱さを見せたら拒絶される」「人から好かれなければならない」といった信念がある場合があります。

 

また、過去に人前で笑われた、発表で強く批判された、仲間外れにされたといった記憶が、現在の否定的な自己イメージと結びついていることもあります。

 

この場合は、認知的な検討やイメージの書き換えなどを用いて、過去の経験が現在に持つ意味を見直します。

 

これは、過去の出来事をなかったことにするのではありません。

 

「あのとき否定されたから、今もすべての人に否定される」という結びつきを弱め、現在の自分が持っている情報や選択肢を加えていきます。

 

ステップ11.再発予防を行う

 

治療の終盤では、自分の社交不安がどのような悪循環によって続いていたのかを振り返り、再び不安が強くなったときに気づけるサインと、その際の対処法を整理していきます。

 

例えば、安全行動が増えていないか、社交場面を避けることが多くなっていないか、自分の表情や身体反応ばかりに注意が向いていないか、会話のあとの一人反省会が長くなっていないかを確認します。

 

また、生活上のストレスや睡眠不足が重なっていないかを見直すことも大切です。

 

社交不安が一時的に強くなったからといって、治療が失敗したわけではありません。

 

不安が強まる前兆や悪循環に早めに気づき、認知行動療法で身につけた方法を改めて活用できるようになることが、再発の予防につながります。

 

1-3.薬物療法と認知行動療法

 

社交不安症には、認知行動療法だけでなく薬物療法もあります。

 

具体的には日本の診療ガイドラインでは、SSRIやSNRIの一部が治療選択肢として提案されています。

 

薬物療法のメリットは、それによって不安の強さが下がり、避けていた場面に取り組みやすくなることが期待できるというものです。

 

一方で、認知行動療法では、社交不安を維持する考え方、自己注目、安全行動、回避などを直接扱います。

 

薬とカウンセリングのどちらか一方が常に正解というわけではありません。

 

症状の重さ、うつ病などの併存症、生活への影響、本人の希望、治療を受けられる環境などを踏まえ、医師や心理職と相談して決めることが大切です。

 

そのため、薬の開始、変更、中止は、自己判断ではなく必ず医師と相談してくださいね。

 

1-4.受診や相談を検討したい目安

 

人前で緊張すること自体は自然ですが、次のような状態が続いている場合は、精神科・心療内科や心理カウンセリングへの相談を検討してください。

 

✔人との会話や会食を避け続けている。

 

✔学校や仕事に行くことが難しくなっている。

 

✔発表や面接への不安で進学や就職を諦めている。

 

✔アルコールを飲まなければ人と話せなくなっている。

 

✔うつ状態や強い自己否定がある。

 

✔孤立が進み、生活範囲が狭くなっている。

 

✔自分を傷つけたい、最悪の選択肢を考えてしまう。

 

特に、自傷・最悪の選択肢、重いうつ状態、アルコールなどへの依存がある場合は、カウンセリングだけで対応するのではなく、医療機関との連携も重要になってきます。

 

まとめ

 

社交不安症は、人から注目されたり、否定的に評価されたりすることに強い恐怖を感じ、社交場面を避けるようになる不安症です。

 

その背景には、自己注目、否定的な自己イメージ、安全行動、回避、予期不安、事後の一人反省会などが関係しています。

 

認知行動療法では、まず自分の悪循環を整理し、安全行動と自己注目を見つけます。

 

そのうえで、注意を相手とのやり取りに戻し、否定的な予測を具体化して、行動実験や段階的な曝露によって現実を確かめていきます。

 

社交不安症を克服するということは、緊張や不安を完全になくすことではありません。

 

緊張していても人と話せる、不安があっても会議に参加できる、会話がうまくいかなかったとしても自分を強く責めすぎない。

 

さらに、人からどう思われるかだけを基準に、進学や仕事、人間関係などの大切な選択を決めなくなることも、回復の一つです。

 

このように、不安を感じながらも、自分が望む行動を少しずつ選べるようになり、不安に支配されていた生活を取り戻していくことが、社交不安症からの回復だといえます。

 

よくある質問


Q1.社交不安症は性格の問題でしょうか?

 

社交不安症は、単なる性格の問題ではありません。

 

もともとの慎重さや不安の感じやすさが関係する場合はありますが、自己注目、安全行動、回避などによって症状が維持されていることがあります。

 

これらのパターンは認知行動療法で見直すことができ、症状の軽減や生活の回復が期待できます。

 

Q2.人前で緊張してしまうということは、改善されたとは言えないのでしょうか?

 

緊張がまったくなくなる必要はありません。

 

人前で緊張することは自然な反応です。認知行動療法では、緊張があっても必要な行動ができること、緊張している自分を過度に否定しないこと、回避によって生活を狭めないことを目指します。

 

Q3.曝露をしても不安が下がらないのは失敗ですか

 

不安がその場で十分に下がらなくても、失敗とは限りません。

 

曝露や行動実験の目的は、必ずリラックスすることではなく、「不安があってもその場にいられた」「安全行動をしなくても対処できた」「予想したほど悪い結果にはならなかった」と理解することです。

 

つまり、不安の強さだけでなく、何を理解したかを確認することが大切です。

 

Q4.会話のあとに何度も反省してしまいます。どうすればよいですか?

 

まず、一人反省会をしていることに気づき、頭の中の推測と実際に確認できた事実を分けてみましょう。

 

「相手は退屈していたはず」ではなく、「相手は質問を一つして会話を続けた」のように、観察可能な事実を確認します。

 

そして反芻する時間を決め、それ以外の時間は別の活動に注意を戻すことも役立ちます。

 

Q5.薬を飲まずに、カウンセリングだけで改善できますか?

 

認知行動療法だけで改善が期待できる場合もあります。

 

ただし、症状が強い場合、うつ病やパニック症状を併発している場合、生活への支障が大きい場合には、心理療法と薬物療法との併用が選択肢になります。

 

そして、どの治療が適しているかは、医師や心理職と相談して決めることが大切です。

 

参考文献・参考資料

日本不安症学会・日本神経精神薬理学会(2021)『社交不安症の診療ガイドライン 第1版』

厚生労働省『社交不安障害(社交不安症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)』

National Institute for Health and Care Excellence(NICE). Social anxiety disorder: recognition, assessment and treatment. CG159.

Mayo-Wilson et al.(2014). Psychological and pharmacological interventions for social anxiety disorder in adults: a systematic review and network meta-analysis. The Lancet Psychiatry, 1(5), 368–376.

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Sun et al.(2025). Psychotherapies for social anxiety disorder in adults: A systematic review and Bayesian network meta-analysis. Journal of Affective Disorders, 378, 301–319.

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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