怒りや不安を抑えられないときの対処法~考え方と行動を整える4ステップ~
2026/07/14
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
人間関係で不安や怒りを感じ、そしてそのコントールに苦慮されている方は決して珍しくありません。
そして、そうした方々の少なくない方が、自身の感情のコントロールができないことで自分を責めたり自己否定に陥ってしまっています。
しかし結論から言えば、感情を安定させるために必要なのは、感情そのものを思い通りに消すことではありません。
感情が生じた背景にある考え方を整理し、その場で取る行動を選び直すことです。
感情の最初の反応は、完全には選べません。
しかし、その感情をどう受け止め、次に何をするかは、少しずつ変えていくことができます。
そこで今回は、怒りや不安と言ったネガティブな感情と、どう向き合えばよいのかをシェアしたいと思います。

1-1.感情を無理に抑えようとすると、かえって苦しくなる
感情のコントロール…と聞くと、怒りや不安を無理に抑え込むことをイメージされる方も多いのではないでしょうか。
しかし、感情を消そうと強く意識するほど、かえってその感情に注意が向き続け、怒りや不安、悲しみが頭から離れにくくなるリスクが高まります。
例えば、恋人からの返信が遅いとき、「気にしてはいけない」と思うほどスマートフォンを確認したくなることがありますよね。
また家族やパートナーに対して腹が立ったときも、「怒ってはいけない」と我慢するほど、相手の言葉を何度も思い出すことがあります。
このように、感情は抑え込もうとすると、注意がその感情に向いてしまうため、逆に感情が高まるという問題が生じやすくなるんですね。
1-2.感情を持つこと自体は問題ではない
しかし、全ての感情には特有の機能があり、それによって私たちの円滑な生活が支えられているという側面を見落とすべきではありません。
怒りは、自分の境界線が侵害されたことを知らせている場合があります。
不安は、大切な関係や将来を失いたくない気持ちから生じている可能性があります。
悲しみは、自分にとって大切だったものを示しています。
そのため感情を敵として追い払うのではなく、「今、自分の中で何が起きているのか」を確認することが非常に重要となります。
1-3.認知行動療法では「状況・考え・感情・行動」を分けて考える
私の専門である認知行動療法では、感情は出来事だけで決まるのではなく、その出来事をどのように受け取ったかによって変化すると考えます。
例えば、友人から連絡が来ないという同じ出来事でも、受け取り方によって感情は変わります。
「忙しいのかもしれない」と考えれば、不安は比較的小さいかもしれません。
一方で、「嫌われた」「関係を切ろうとしている」と考えれば、不安や悲しみは強くなります。
感情の生起と結果は、次のような流れで発生します。
● 状況
相手から返信が来ない
↓ ↓ ↓
●頭に浮かんだ考え
「嫌われたに違いない」
↓ ↓ ↓
● 感情
不安、寂しさ、怒り
↓ ↓ ↓
● 行動
何度も連絡する、相手を責める、急に距離を置く
こうした状況では、「不安をなくそう」とするだけでは、根本的な変化につながりにくいのが実情です。
必要なのは、「嫌われたに違いない」という考えが事実なのかを確認し、関係を悪化させにくい行動を選ぶことです。
つまり大切なのは、自動的に頭に浮かんだ思考が、そもそも事実なのかどうか、ということです。
1-4.感情を扱うための4ステップ
ここからは、感情を上手くコントロールする方法をお伝えいたします。
(1)感情を短い言葉で表す
まずは、感情をなくそうとせず、名前をつけます。
「不安になっている」
「腹が立っている」
「断るのが怖い」
「分かってもらえず悲しい」
そして「私はダメだ」「自己肯定感が低いからこうなるんだ」と人格を責めるのではなく、「ただ単純に今、この感情がある」と状態として捉えます。
感情はあなたではありません。
感情は「あなた自身」ではなく「あなたの一部」でしかなく、そして状況に対する単純な反応です。
そのため、「あなたと感情を分ける(同一視しない)」ということが大切になります。
このように感情に名前をつけると、感情と自分を完全に同一視しにくくなります。
(2)頭に浮かんだ考えを見つける
次に、感情が強くなった直前に、どのような考えが浮かんだかを確認します。
「断ったら嫌われる」
「普通なら引き受けるべきだ」
「返信が遅いのは、私を軽く見ているからだ」
「反論されたということは、全部否定されたということだ」
こうした考えは、感情が強いときには事実のように感じられます。
しかし、頭に浮かんだ考えと、確認された事実は別です。
つまり、「嫌われる」ではなく、「断ったら嫌われるかもしれない、と予測している」と言い換えてみましょう。
(3)別の見方がないか検討する
無理に前向きになる必要はありません。
ただ、事実に合った、少し幅のある考え方を探します。
「断れば必ず嫌われるのか」
「相手が不機嫌でも、それはすべて自分の責任なのか」
「今回の意見の違いは、関係全体の否定なのか」
「自分の希望を伝えても続く関係の方が、長期的には安定するのではないか」
例えば、「断ったら嫌われる」を、「残念に思われる可能性はあるが、丁寧に伝えれば関係が終わるとは限らない」と言い換えます。
これは楽観的に考えることではなく、極端な結論を現実的な範囲へ戻す作業です。
(4)感情ではなく、目的に合った行動を選ぶ
最後に、「この感情を消すために何をするか」ではなく、「この関係でどのような行動を大切にしたいか」を考えます。
例えば、
不安だから何度も連絡するのではなく、必要な連絡を一度だけ送る。
怒りのまま責めるのではなく、「その言い方をされるとつらい」と具体的に伝える。
嫌われるのが怖くても、「今日は余裕がないので難しい」と断る。
感情が残っていても、行動は選べます。
そして、選んだ行動によって感情は変化していきます。
つまり、感情のコントロールは感情そのものを変えようとするのではなく、行動を変えることが感情のコントロールという観点では重要なのです。
1-5.感情のコントロールとは「感情をなくすこと」ではない
感情のコントロールが上手な人も、怒りや不安を感じています。
違いは、感情が生じないことではなく、その感情をそのまま行動の命令にしないことです。
怒りがあっても、攻撃せずに要望を伝える。
不安があっても、何度も確認せずに少し待つ。
寂しさがあっても、相手を責めるのではなく「話す時間がほしい」と伝える。
こうした経験を重ねることで、「感情が強くなっても、自分は対処できる」という感覚が育ちます。
まとめ:感情を消すより、考え方と行動を選び直す
感情を安定させるために必要なのは、怒りや不安を完全になくすことではありません。
感情に気づき、その直前に浮かんだ考えを確認し、別の見方を検討し、自分と相手の両方を尊重できる行動を選ぶことです。
特に、人の目を気にして必要以上に親切にしてしまう方は、「嫌われないために行動していないか」を振り返ってみてください。
感情は自由には選べません。
しかし、感情をどう理解し、次に何をするかは選び直せます。
この小さな選択の積み重ねが、感情に振り回されにくく、安定した人間関係を築くための土台になります。
よくある質問
Q1.感情をコントロールできないのは、自己肯定感が低いからですか?
感情のコントロールと性格や自己肯定感の低さは分けて考えるのが妥当です。
怒りや不安が強くなる背景には、疲労、睡眠不足、抑うつ、不安の強さ、過去の人間関係、相手に対する期待など、さまざまな要因があります。
まずは「感情的になる自分はダメだ」と責めるのではなく、「どのような場面で、どの感情が強くなるのか」を整理してみましょう。
感情が生じる仕組みを理解することが、対処の第一歩です。
Q2.怒りが湧いた瞬間に、すぐ言い返してしまいます。どうすれば止められますか?
怒りを消そうとするより、反応するまでの時間を少し延ばすことが大切です。
怒りを感じたら、その場で結論を出さず、「今は腹が立っている」「責められたように感じている」と言葉にします。
可能であれば、「今は冷静に話せないので、少し時間を置きたい」と伝え、その場を離れます。怒りが完全に消えなくても、すぐに言い返さないだけで、後悔する行動を減らしやすくなります。
Q3.相手の返信が遅いだけで不安になり、何度も連絡したくなります。
事実と、自分の予測や解釈を分けて考えてみてください。
「返信が来ていない」は事実ですが、「嫌われた」「見捨てられた」は、現時点では予測や解釈かもしれません。
そのため、「嫌われた」ではなく、「嫌われたかもしれないという考えが浮かんでいる」と言い換えてみましょう。
そのうえで、追加の連絡を送るまで30分待つなど、確認行動を少し遅らせることが役立ちます。
Q4.嫌われるのが怖くて断れず、あとから怒りや不満で苦しくなります。
この場合は、我慢を続ける前に、小さな境界線を伝える必要があります。
断ることは、相手そのものを拒絶することではありません。
特定の依頼や条件に応じられないと伝えることです。
「今日は余裕がありません」「今回は難しいです」「10分なら話を聞けます」など、できる範囲を具体的に示してみてください。
人の目を気にして無理を続けるより、早めに限界を伝える方が、感情や人間関係は安定しやすくなります。
Q5.感情をコントロールするには、ネガティブな考えを前向きに変えるべきですか?
無理に前向きに変える必要はありません。現実に合った考え方へ整えることが大切です。
例えば、「断ったら絶対に嫌われる」を、「残念に思われる可能性はあるが、関係が終わるとは限らない」と捉え直します。
目的は、楽観的になることではありません。
極端かつ悲観的な考えを少し現実的な範囲へ戻すことで、ネガティブな感情を緩和するというアプローチが効果的です
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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