トラウマやPTSDを乗り越えるためのカウンセリングとは?
2026/07/13
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
トラウマやPTSDに悩んでいる方の中には、「過去のことなのに、今も突然思い出して苦しくなる」「似た場所や音に触れると、身体が固まってしまう」「自分が悪かったのではないかと考え続けてしまう」「人を信じたり、安心したりすることが難しい」と感じている方がおられます。
そして、その苦しさが続く中で、「いつまで引きずるのだろう」「自分が弱いから忘れられないのではないか」と、ご自分を責めてしまう方も大勢おられます。
しかし、こうした反応は強い恐怖や傷つきの体験のあとに、心と身体が今も危険から身を守ろうとしている反応として理解することが大切です。
結論から言うと、トラウマやPTSDによる苦しさは、専門的な心理カウンセリングを通して軽減し、回復を目指すことができます。
特に、トラウマに焦点を当てた認知行動療法、持続エクスポージャー療法、認知処理療法、EMDRなどには、PTSD症状を軽減する効果が多くの研究で示されています。
ただし、トラウマやPTSDの回復とは、体験を忘れたり、何も感じなくなったりすることではありません。
過去の記憶が突然現在に入り込む状態から、つらい出来事を「すでに終わった過去」として思い出せるようになること。
そして、その体験だけに人生を支配されず、自分で生活や人間関係を選べるようになることが、回復の方向です。
そこで、この記事ではトラウマやPTSDをまとめつつ、心理療法がどのように役立つのかをお伝えしたいと思います。
※本記事は、公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものです。特定の方の診断や治療を行うものではなく、効果を保証するものでもありません。症状が強い場合には、精神科や心療内科などの専門機関にご相談ください。

1-1.トラウマとは何か
トラウマは、日本語で「心的外傷」と訳されます。
一般的には、強い恐怖、無力感、苦痛を伴う出来事によって、その後も心身に影響が残っている状態を広くトラウマと呼ぶことがあります。
例えば、災害、事故、暴力、犯罪被害、性被害、虐待、身近な人の突然の死などは、医学的にも心的外傷となり得る出来事です。
一方、日常的には、いじめ、否定的な養育、裏切り、離婚、職場でのハラスメント、突然の解雇、重大な喪失などによって生じた心の傷も、トラウマと表現されることがあります。
ここで大切なのは、日常語としてのトラウマと、PTSDの診断に必要な医学的な心的外傷体験は、必ずしも同じ範囲ではないということです。
医学的なPTSDの診断では、実際の死または死の危険、重傷、性暴力にさらされた体験が重視されます。
しかし、PTSDの診断基準に当てはまらない体験であっても、本人の苦しさが軽いとは限りません。
過去の傷つきが現在の感情、身体、人間関係、自己評価に影響しているならば、心理的な支援が必要となってきます。
1-2.トラウマを経験しても、全員がPTSDになるわけではない
衝撃的な出来事を経験すると、しばらくの間、眠れない、怖い夢を見る、突然思い出す、気持ちが不安定になる、音に敏感になるといった反応が生じることがあります。
これらは、異常な出来事に対する自然なストレス反応である場合があります。
多くの方は、時間の経過、安全な環境、周囲からの支えなどによって、少しずつ落ち着きを取り戻していきます。
そのため、トラウマを経験したからといって、必ずPTSDになるわけではありません。
一方で、症状が長く続く、時間がたつほど苦しくなる、仕事や家事ができない、人との関係を避けるようになる場合には、PTSDやほかのトラウマ関連の問題が生じている可能性を考える必要があります。
当たりまですが、「いつまでも乗り越えられないのは、心が弱いから」ではありません。
というのは、出来事の性質、それ以前の傷つき体験、出来事の後に安全を得られたか、周囲から適切な支援を受けられたか、現在もストレスが続いているかなど、さまざまな要因が関係しているからです。
1-3.PTSDの医学的な定義
PTSDは、Posttraumatic Stress Disorderの略で、日本語では心的外傷後ストレス症、または心的外傷後ストレス障害と呼ばれます。
DSM-5-TRでは、死、死の危険、重傷、性暴力にさらされることが診断の前提になります。
また、これらは自分自身が直接経験した場合だけではありません。
他者が被害を受ける場面を目撃した場合、家族や親しい人に起きた暴力的または偶発的な出来事を知った場合、仕事として心的外傷の詳細に繰り返し触れた場合などでも発症する場合があります。
そのうえで、主に次の4つの症状群が確認されます。
● 侵入症状・再体験
これは、本人の意思とは関係なく、出来事の記憶やイメージが突然よみがえってしまうことです。
具体的には、フラッシュバック、悪夢、身体感覚の再現、強い動悸や恐怖などが生じることがあります。
これは単に過去を思い出しているのではなく、「今、もう一度起きている」ように感じられることが特徴です。
● 回避
PTSDでは、出来事を思い出させる場所、人、会話、感情、身体感覚などを避けるようになります。
回避すると一時的には楽になりますが、避ける範囲が広がることで、生活が次第に狭くなることがあります。
● 認知や気分の否定的な変化
PTSDがある場合、「自分が悪かった」「誰も信用できない」「世界はどこも危険だ」と考えるようになることが珍しくありません。
これらは罪悪感、羞恥感、抑うつ、孤立感、喜びを感じにくい状態、出来事の一部を思い出せない状態なども含まれます。
● 覚醒度や反応性の変化
常に周囲を警戒する、少しの音にも驚く、眠れない、集中できない、イライラする、怒りが爆発するといった状態です。
これは危険が終わっているにもかかわらず、身体の警報装置が作動し続けているような状態と考えると、わかりやすいかもしれません。
これらの症状が1か月以上続き、日常生活や仕事、人間関係に大きな苦痛や支障が生じている場合に、PTSDが検討されます。
診断では、薬物や身体疾患の影響、うつ病、不安症、解離症、複雑性PTSDなどとの区別も必要になるため、医師による評価が重要です。
1-4.複雑性PTSDとは何か
WHOの国際疾病分類であるICD-11では、PTSDとは別に「複雑性PTSD」が設けられています。
複雑性PTSDでは、PTSDの中核症状に加えて、次のような問題が見られます。
感情を落ち着かせることが難しい。
自分には価値がないと感じる。
強い羞恥感や罪悪感が続く。
人を信じたり、親しい関係を維持したりすることが難しい。
感情が激しくなる、または何も感じられなくなる。
対人関係の中で、見捨てられ不安や過度な警戒が生じる。
複雑性PTSDは、幼少期の虐待、家庭内暴力、長期的な性被害、監禁など、逃げることが難しい状況で繰り返し被害を受けた場合に生じやすいと考えられています。
ただし、長期的なトラウマがあるからといって、必ず複雑性PTSDになるわけではありません。
1-5.PTSDではないトラウマ反応も
トラウマの影響は、PTSDの症状だけに限られるものではありません。
トラウマ体験のあと、不安や抑うつが強くなったり、人を信用することが難しくなったり、自分を強く責め続けてしまうことがあります。
また、感情が麻痺したように感じられたり、身体の痛みや緊張が続いたり、理由のわからない動悸や吐き気が生じることもあります。
さらに、人間関係の中で拒絶に敏感になったり、お酒や過食などでつらい気持ちを紛らわせようとしたり、自傷行為や危険な行動が増えたりする場合もあります。
加えて、現実感がなくなり、ぼんやりした状態が続くこともあります。
ただし、このような状態があるからといって、必ずしもPTSDの診断基準を満たすとは限りません。
トラウマの影響は人によってさまざまであり、PTSDとして現れる場合もあれば、不安、抑うつ、身体症状、対人関係の困難、感情調整の難しさとして現れる場合もあります。
しかし、診断がつかないから支援を受ける必要がない、という意味では決してありません。
現在の生活に支障が出ている場合には、症状の診断名だけではなく、過去の傷つきが今の生活にどのような影響を与えているかを整理しケアすることが大切です。
1-6.なぜトラウマやPTSDは過去にならないのか
通常の記憶は、時間や場所の情報とともに整理され、「過去に起きたこと」として保存されていきます。
しかし、生命の危険を感じるほどの状況では、落ち着いて出来事を整理する余裕がありません。
その結果、映像、音、匂い、身体感覚、恐怖などが、断片的な形で残ることがあります。
似た音や匂い、場所、表情などに触れると、記憶の一部が突然作動し、身体は「また危険が起きている」と反応します。
そして頭では「今は安全」とわかっていても、心身はそう感じられないのです。
さらに、トラウマやPTSDの後には、出来事に対する意味づけが大きく変化することがあります。
つまり「自分が止められなかったから悪い」「人を信じるとまた傷つく」「自分には何か欠陥がある」「世界には安全な場所がない」といった考えが強くなるリスクを高めてしまいます。
こうした考えは、二度と同じように傷つかないために、自分を守ろうとして生じたものかもしれません。
しかし、その考えが強く固定されると、現在は安全な状況であっても警戒や回避が続き、人とのつながりや安心感を取り戻しにくくなることがあります。
そのためカウンセリングでは、過去の体験によって作られた意味づけを丁寧に見直し、現在の生活に合った、より柔軟な見方を少しずつ取り戻していくことが大切になります。
1-7.回避は自分を守るための反応
トラウマやPTSDを思い出させるものから距離を取ることは、直後の時期には自分を守るための自然な反応です。
しかし、長期間にわたってすべてを避け続けると、「向き合ったら耐えられない」「避けているから安全でいられる」という学習が強くなります。
その結果、外出できる場所が減る、人との関係を避ける、仕事ができなくなるなど、生活範囲が狭くなることがあります。
心理療法では、この回避を責めることはしません。
過去には必要だった反応として理解したうえで、現在の生活に合う、より柔軟な対処へと少しずつ変えていくというアプローチをとることになります。
1-8.トラウマやPTSDに対するカウンセリングの効果
トラウマやPTSDに対する心理カウンセリングには、さまざまな役割があります。
安全な場所で体験や感情を言葉にすることも大切ですが、PTSDの改善に関する研究では、単に話を聞くだけではなく、一定の理論と手順に基づいた心理療法に、より明確な効果が示されています。
トラウマやPTSDに対する心理療法の効果に関する研究は様々あります。
そして、心理療法がトラウマやPTSDの回復に対して効果が期待できるという研究結果が出ています。
一方で、トラウマやPTSDに焦点を当てる治療では、治療を中断する方がやや多いという結果もあります。
これは、トラウマやPTSDの治療に効果がないという意味ではありません。
これは、つらい記憶に向き合うことには一定の負担があるため、治療方法の説明、本人の同意、治療者との信頼関係、無理のない進め方が重要であることを意味します。
では、以下にトラウマやPTSDに関して効果が示されている心理療法をご紹介します。
● 持続エクスポージャー療法
持続エクスポージャー療法は、PTSDに特化した認知行動療法の一つです。
主に、トラウマやPTSDの記憶を安全な治療場面で振り返ることと、トラウマやPTSD以降に避けてきた安全な場所や活動に少しずつ取り組むこと、つまり暴露から構成されます。
ここでいう曝露とは、苦しさに無理やり耐えることではありません。
トラウマやPTSDの記憶に触れても、現在は同じ被害が起きていないこと、不安はずっと高まり続けるわけではないこと、自分には感情に対処する力があることを体験的に理解するための方法です。
トラウマ焦点化認知行動療法は、短期、中期、長期のいずれでも、トラウマに焦点を当てない心理療法よりやや高い効果を示しています。
この心理療法では治療を続ける中で、「記憶があること」と「今、危険が起きていること」を区別しやすくなり、回避や過剰な警戒が減ることが期待できます。
● 認知処理療法
認知処理療法は、トラウマやPTSDによって生じた考えや信念を見直す心理療法です。
たとえば、性被害を受けた方が「自分が抵抗できなかったから悪い」と考えていたり、事故を経験した方が「自分がもっと注意していれば防げた」と責め続けていたりすることがあります。
認知処理療法では、その考えをすぐに否定するのではなく、出来事の状況、本人が実際にできたこと、現在の視点などを丁寧に検討します。
そして、安全、信頼、力やコントロール、自分の価値、人との親密さなどに関する考えを、より現実に合った形に整えていきます。
日本で行われたランダム化比較試験では、PTSDのある成人60名を対象に、通常治療へ認知処理療法を加えた群と、通常治療のみの群が比較されました。
認知処理療法を加えた群では、PTSD症状だけでなく、うつ症状、最悪の選択肢を考える、生活の質、生活機能にも、より大きな改善が認められました。
また、治療を完遂した人の割合は93.1%であり、治療終了から4か月後にも改善が維持されていました。
この研究は、海外だけでなく、日本の医療環境でも専門的な心理療法による改善が期待できることを示しています。
● EMDR
EMDRは、眼球運動による脱感作と再処理法と呼ばれる、トラウマやPTSDに焦点を当てた心理療法です。
トラウマやPTSDに関する記憶や考え、感情、身体感覚を思い浮かべながら、左右交互の眼球運動や音、触覚などの刺激に注意を向けます。
治療は段階的に行われ、いきなり最もつらい記憶を扱うわけではありません。
現在の状態を確認し、感情を落ち着かせる方法や治療の準備を行ったうえで、対象となる記憶を扱います。
EMDRは、複数の治療ガイドラインでPTSDへの有効な心理療法として推奨されています。
ただ、2024年の個人データを用いたメタ分析では、EMDRとほかの心理療法との間に、症状の軽減、寛解、治療反応、中断率の明確な差は認められませんでした。
これはEMDRに効果がないという意味ではなく、ほかの有効な心理療法と同程度の改善が期待できる可能性を示しています。
● トラウマ焦点化認知行動療法
トラウマ焦点化認知行動療法は、トラウマやPTSDに関連した考え、感情、身体反応、回避行動に働きかける心理療法の総称です。
この心理療法では心理教育によって症状の仕組みを理解し、感情を調整する方法を身につけ、トラウマやPTSDに関連する認知を見直し、安全な範囲で回避を減らしていくことを目指します。
また子どもや若者に対しては、年齢や発達段階に合わせ、保護者の支援を組み合わせることもあります。
PTSDに対する心理療法の研究では、トラウマ焦点化認知行動療法の有効性が示されています。
Lewis et al.(2020)のシステマティックレビュー/メタ分析では、成人のPTSDに対する心理療法の中でも、トラウマ焦点化認知行動療法とEMDRが第一選択の治療としてより強く支持される結果が示されました。
また、Mavranezouli et al.(2020)のネットワークメタ分析でも、トラウマ焦点化認知行動療法とEMDRは、成人PTSDの症状軽減や寛解率の改善において有効性が高い心理療法として報告されています。
1-9.医療機関と心理カウンセリングの連携
PTSDでは、うつ病、パニック症、睡眠障害、アルコールや薬物の問題、慢性疼痛などが同時に生じることがあります。
強い不眠、食事が取れない状態、自傷行為、最悪の選択肢を取りたい気持ち、現実感の著しい低下などがある場合には、精神科や心療内科での評価が必要です。
そして医療機関では、診断、薬物療法、身体疾患との鑑別、最悪の選択肢のリスクの評価、休職や入院の判断などを行います。
心理カウンセリングでは、トラウマやPTSDの反応の整理、感情や認知への働きかけ、回避の軽減、人間関係や生活の回復、再発予防などを行います。
医療とカウンセリングは、どちらか一方を選ぶものではありません。
症状が強い場合には、医師による治療で睡眠や気分の土台を整えながら、心理療法に取り組むことが大きな意味を持ちます。
1-10.相談したほうがよい目安
次のような状態が続く場合には、医療機関やトラウマやPTSDに対応できる心理職へ相談することをおすすめします。
✔フラッシュバックや悪夢が続いている。
✔出来事を思い出させる場所や人を避けている。
✔常に警戒し、安心できない。
✔眠れない、集中できない状態が続いている。
✔罪悪感や羞恥感から自分を責め続けている。
✔人を信頼できず、孤立している。
✔飲酒、過食、自傷などで感情を紛らわせている。
✔仕事、家事、学業、人間関係に支障が出ている。
✔最悪の選択肢を取りたい、消えたいという気持ちがある。
最悪の選択肢を取りたい、気持ちや自傷衝動が強い場合、一人では安全を保てない場合には、カウンセリングの予約を待たず、精神科救急や救急医療などへ早急につながる必要があります。
1-11.トラウマやPTSDを乗り越えるとは
トラウマやPTSDを乗り越えることは、その出来事を肯定することでも、無理に許すことでもありません。
また、記憶を完全に消すことでもありません。
出来事を思い出したとしても、当時と同じ恐怖にのみ込まれにくくなり、「あれは過去に起きたことであり、今の自分はその場にはいない」と、過去と現在を区別できるようになることが回復の一つです。
また、自分だけを責める考えから少しずつ距離を取り、避けていた生活を取り戻していくことも大切です。
そして、人とのつながりや自分自身の価値を再び感じられるようになっていくことが、トラウマやPTSDからの回復につながります。
過去に起きたことを変えることはできません。
しかし、その出来事が現在と未来に与える影響は、心理療法を通して変えていくことができます。
まとめ
トラウマ体験のあとに、不安、悪夢、フラッシュバック、回避、自己否定、対人不安などが生じるのは自然な反応です。
そして危険から身を守ろうとした心身の反応が、危険が去ったあとも続いている状態としてトラウマやPTSDを理解することが大切です
すべてのトラウマ体験がPTSDになるわけではありませんが、診断基準に当てはまらなくても、生活に苦しさがあるなら心理的支援を受ける理由になります。
そしてPTSDに対しては、持続エクスポージャー療法、認知処理療法、トラウマ焦点化認知行動療法、EMDRなど、効果が研究されている心理療法があります。
ただし、本人の準備や同意を無視して、無理に過去を話すことは適切ではありません。
安全性を確認し、本人に合った方法を選び、必要に応じて医療機関と連携しながら進めることが大切です。
過去の記憶があることと、その記憶に人生を支配されることは同じではありません。
適切な支援を受けながら、少しずつ現在の安全と生活を取り戻していきましょう。
よくある質問
Q1. トラウマやPTSDは、話すだけで治りますか?
安心できる相手に話し、感情を整理することは回復の助けになります。
ただし、PTSDの症状が強い場合には、話を聞いてもらうだけでは十分に改善しないことがあります。
持続エクスポージャー療法、認知処理療法、EMDRなど、一定の手順に基づく心理療法を受けることで、より具体的な症状改善が期待できます。
Q2. カウンセリングでは、つらい体験をすべて話さなければなりませんか?
最初からすべてを詳しく話す必要はありません。
まず現在の安全や症状を確認し、どこまで話すかを本人と相談しながら進めます。
心理療法によってはトラウマ記憶を扱いますが、本人の同意を無視して無理に話させるものではありません。
Q3. 何十年も前のトラウマやPTSDでも改善できますか?
長い年月が経過していても、心理療法による改善は期待できます。
実際に、長期間PTSDを抱えてきた方を対象とした研究でも、症状の軽減が報告されています。
ただし、複数のトラウマやPTSDに関連する併存症がある場合には、治療に時間を要することがあります。
Q4. PTSDと診断されていなくてもカウンセリングを受けられますか?
受けることができます。
診断基準を満たさなくても、過去の体験による不安、自己否定、対人関係の難しさ、身体反応などに苦しんでいる場合は、カウンセリングの対象になります。
ただ、必要に応じて、医療機関で診断や身体面の評価を受けることも大切です。
Q5. トラウマやPTSD治療をすると、かえって悪化しませんか?
トラウマの記憶を扱うと、一時的に不安や苦痛が高まることはあります。
しかし、適切な訓練を受けた治療者が、安全性を確認しながら段階的に進めることで、長期的には症状の軽減が期待できます。
進め方に不安がある場合は、治療方法、予想される負担、中止や調整の方法について、事前に担当者へ確認することが大切です。
Q6. トラウマやPTSDを乗り越えるには、加害者や相手を許す必要がありますか?
許すことは、回復の必須条件ではありません。
トラウマやPTSD治療の目的は、加害行為を正当化したり、無理に相手を許したりすることではなく、過去の出来事が現在の生活に与える影響を小さくすることです。
そのため怒りや悲しみを尊重しながら、自分の生活と選択肢を取り戻していくことが大切です。
参考論文・資料
厚生労働省「こころの耳」.トラウマ(心的外傷)体験:用語解説.
国立精神・神経医療研究センター.PTSD|こころの情報サイト.
厚生労働省・国立精神・神経医療研究センター.『心理的応急処置(PFA)フィールド・ガイド』.
厚生労働省.『PTSDの認知行動療法マニュアル――持続エクスポージャー療法』.
American Psychiatric Association(2022).DSM-5-TR.
Lewis et al.(2020).Psychological Therapies for Post-Traumatic Stress Disorder in Adults.
Watkins et al.(2018)Treating PTSD: A Review of Evidence-Based Psychotherapy Interventions.
Bisson et al.(2021)Prevention and treatment of PTSD: the current evidence base.
----------------------------------------------------------------------
こころのケア心理カウンセリングRoom
兵庫県芦屋市浜芦屋町1-27 サニーコート浜芦屋302号
電話番号 : 090-5978-1871
----------------------------------------------------------------------
この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
プロフィールはこちら

