不安で悩み続けてしまう…から抜け出すための心理学
2026/07/19
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
不安を抱え続けながら毎日を過ごすというものは、とてもしんどいものです。
不安になると、人は未来の問題をあらかじめ解決しようとします。
しかし、答えの出ないことを考え続けると安心が手に入るとは限りません。
むしろ、次々と悪い展開が浮かび、今の生活まで手につかなくなることの方が多いと言えるでしょう。
そのため、未来への不安が強いときに大切なのは、将来すべての問題を一度に解決しようとしないことです。
それよりも、未来の重荷をいったん下ろし、今この瞬間に対処できることを一つ選ぶことです。

1-1.不安は「未来をまとめて背負う」と大きくなる
不安が強くなると、私たちは目の前で起きている問題だけでなく、その先に起こるかもしれない悪い出来事まで、次々と想像してしまいます。
例えば、仕事でミスをしたとき、「評価が下がるかもしれない」と心配するだけでなく、「評価が下がったら職場に居場所がなくなる」「仕事を失ったら生活できなくなる」「この先、何もかもうまくいかなくなる」と、考えが連鎖していくことがあります。
このように、最初は一つの具体的な心配だったものが、まだ起きていない未来の問題と結びつき、いつの間にか人生全体が危機に陥っているように感じられてしまうのです。
このように、ある特定の不安に人生全体をすべて背負うと耐え難く感じますが、現在の問題だけに分けると、対応できる部分が見つかりやすくなります。
そうすることで、「不安」が「対処可能な問題」に代わっていくのです。
1-2.「今の問題」と「もしもの心配」を分ける
認知行動療法では、心配を次の二つに分けて考えることがあります。
一つは、いま現実に起きていて、具体的に対処できる問題です。
例えば、支払い期限が迫っている、仕事の準備が終わっていない、体調不良が続いているといった問題です。
この場合は、予定を確認する、作業を小分けにする、医療機関へ相談するなどの対応ができます。
もう一つは、いまは答えが出ない「もしもの心配」です。
✔「将来、大きな病気になったらどうしよう」
✔「いつか関係が終わるかもしれない」
✔「何年後も回復していなかったらどうしよう」
こうした心配は、考えるほど確実な答えが出るものではありません。
そこで、不安になったら、まず次のように尋ねてみてください。
「これは今起きている問題だろうか。それとも、未来についての予測だろうか」
1-3.事実と頭の中の予測を切り分ける
不安が強いと、頭に浮かんだ予測を事実のように感じることは珍しくありません。
例えば、「相手から半日返信がない」は事実です。
一方で、「嫌われた」「関係を終わらせようとしている」は予測です。
「仕事で注意された」は事実ですが、「自分は必要とされていない」「いずれ解雇される」は、現時点では確定していない考えです。
そこで不安なときは、次の4点を書き分けてみましょう。
① 実際に起きたこと
② 頭に浮かんだ予測
③ 感じている感情
④ 現在できる行動
例えば「きっと悪いことが起きる」ではなく、「悪いことが起きるかもしれない、という考えが浮かんでいる」と言い換えるだけでも、予測と現実の間に少し距離ができます。
これによって不安への巻き込まれが防げるようになっていきます。
1-4.今できる最小の一歩を決める
また不安が現実に対処できる問題であれば、すべてを解決しようとせず、最初の一歩だけを決めることも効果的です。
✔仕事が不安なら、資料を5分だけ確認する。
✔健康が不安なら、受診先を調べる。
✔お金が心配なら、今月の支出を一項目だけ確認する。
✔人間関係が不安なら、感情的な連絡を送らず、伝えたい内容をメモする。
小さな行動では不十分に感じるかもしれません。
しかし、目的は一度に安心を得ることではありません。
「自分には何もできない」という感覚から、「今できることが一つある」という状態へ戻ることです。
この「自分は無力ではない」という感覚は、不安を軽減してくれます。
1-5.答えが出ない不安は、考える時間を区切る
いま考えても答えが出ない問題を、一日中考え続ける必要はありませんし、それはあまり健康的とは言えません。
そのため、不安が浮かんだらメモをして、「このことは夕方の15分間に考える」と時間を決める方法が有効です。
具体的には、決めた時間になったら、次の点を確認します。
✔新しい事実は増えたか
✔今できる行動はあるか
✔同じ予測を繰り返しているだけではないか
行動できることがあれば一つ決めます。
何もできないなら、その日は一度考えることを終え、食事、入浴、家事、休息など現在の生活へ注意を戻します。
1-6.身体の感覚を使って現在へ戻る
不安が強くなると、心はまだ起きていない未来へ向かい、悪い出来事を何度も予測するようになります。
そのようなときは、身体の感覚を手がかりにして、意識を「今、ここ」へ戻してみましょう。
足裏が床に触れている感覚、椅子に身体を支えられている感覚、周囲から聞こえてくる音、呼吸とともに空気が出入りする感覚などに、ゆっくりと注意を向けます。
このとき、「不安を消さなければ」と頑張る必要はありません。
「今、私は不安を感じている」
「心が悪い未来を予測している」
「それでも、私は今ここに座り、呼吸をしている」
このように、不安があることを認めながら、実際に自分がいる場所や身体の感覚も同時に確認します。
そうすることで、未来へ向かっていた意識を、少しずつ現在へ戻していくことが出来るようになっていき、それによって不安も軽減されて行きます。
1-7.不安があっても、今日の生活を続ける
不安への対処で重要なのは、不安が完全になくなるまで生活を止めないことです。
不安を感じながらでも、食事をする、入浴する、仕事を一つ進める、大切な人と時間を過ごす…。
このように、今できる生活上の行動を続けていきましょう。
これは、不安を無視したり、無理に我慢したりすることではありません。
不安に一日のすべてを明け渡さず、支配させず、自分の生活を守るための行動です。
不安が消えてから生活を再開するのではなく、不安があっても現在を生きる時間を少しずつ増やしていきましょう。
その積み重ねが、不安に振り回されにくくなるための土台になります。
1-8.不安な自分を責めなくてよい
不安があるとどうしても自己否定的になり、自分を責めがちになってしまいます。
しかし、自分を責めると、最初の不安に自己否定が加わります。
不安は、大切なものを失いたくないときや、先が見えないときに起こる自然な反応です。
また、疲労や抑うつがある時期には、普段より悪い未来を想像しやすくなることもあります。
不安を感じたときは、「ダメだからではなく、今は心が危険に過剰に反応しているのだ」と理解してみてください。
1-9.専門家へ相談した方がよい目安
次のような状態が続く場合は、一人で対処しようとせず、心理カウンセラーや医療機関などへ相談してください。
✔不安が長期間続いている
✔眠れない、食事が取れない
✔仕事や家事に支障が出ている
✔不安を避けるために外出や人づき合いが減っている
✔動悸や息苦しさが繰り返される
✔抑うつ気分や強い疲労が続いている
✔「消えたい」「生きていたくない」と感じる
不安があること自体ではなく、生活への影響が大きくなっているかどうかが、相談を検討する目安です。
まとめ:未来全体ではなく、今の一歩だけを背負う
未来への不安が強いとき、私たちは、まだ起きていない問題まで一度に背負おうとしてしまいます。
その結果、何から手をつければよいのか分からなくなり、かえって不安が強くなることがあります。
そのようなときは、まず、現在起きている問題と「もしこうなったら」という未来の心配を分けてみましょう。
次に、実際に確認できている事実と、頭の中で予測していることを区別します。
そのうえで、今の自分にできる行動を一つだけ選んでください。
すぐに答えが出ない心配については、考える時間をあらかじめ区切り、それ以外の時間は、食事や入浴、仕事、家事、休息など、目の前の生活へ意識を戻していきましょう。
未来のすべてを今すぐ解決しようとするのではなく、身体と注意を現在へ戻し、今できる一歩に取り組むことが、不安に振り回されにくくなるために大切です。
未来のすべてに今すぐ備える必要はありません。
今日の食事、目の前の作業、必要な連絡、少しの休息など、現在の一歩に注意を戻すという、その積み重ねによって、未来への不安に奪われていた生活を少しずつ取り戻すことができます。
よくある質問
Q1.まだ何も起きていないのに、悪い未来ばかり考えてしまいます。どうすればよいですか?
A.まず、「実際に起きていること」と「頭の中で予測していること」を分けてみてください。
例えば、「相手から返信が来ていない」は事実ですが、「嫌われた」「関係が終わる」は、まだ確認されていない予測です。
不安が強いと、予測が事実のように感じられます。
そのようなときは、「悪いことが起きる」ではなく、「悪いことが起きるかもしれない、という考えが浮かんでいる」と言い換えてみてください。
不安をなくすことよりも、現実と予測の間に少し距離をつくることが大切です。
Q2.不安について考え続ければ、問題を防げるような気がします。
A.考えることが具体的な行動につながっているかを確認してみましょう。
受診の予約をする、必要な情報を調べる、仕事の準備をするといった行動につながるなら、それは問題解決です。
一方で、同じ悪い場面を何度も想像しているだけで、具体的な対応が進んでいない場合は、心配の繰り返しになっている可能性があります。
「今できることはあるか」と問いかけ、できることがあれば一つだけ行います。
今は何もできないなら、考える時間を区切り、食事や家事、休息など目の前の生活へ戻ることが役立ちます。
Q3.不安を考えないようにしても、何度も頭に浮かんできます。
A.不安を無理に追い払おうとすると、かえって意識が向き続けることがあります。
「考えてはいけない」と抑え込むのではなく、「今、不安が浮かんでいる」「未来の危険を予測している」と認識してみてください。
そのうえで、足裏の感覚、周囲の音、呼吸の動きなど、現在の身体感覚へ注意を戻します。
不安が消えてから生活を始めるのではありません。
不安があっても、食事をする、入浴する、短い作業を行うなど、今の生活を続けることが大切です。
Q4.不安が強いときは、人に「大丈夫」と確認してしまいます。
A.相談することは大切ですが、安心の確認を繰り返すと、不安が一時的に下がっても、また確認したくなることがあります。
相談するときは、「大丈夫だと言ってほしい」と安心だけを求めるよりも、「事実と予測を整理したい」「今できることを一緒に考えてほしい」と伝える方法があります。
相手に不安をすべて解決してもらうのではなく、自分がどのように対処するかを整理することで、「不安があっても対応できる」という感覚が育ちやすくなります。
Q5.不安があるときは、無理に行動せず休んだ方がよいのでしょうか?
A.休むか動くかではなく、今の自分にとって回復につながる行動かどうかで考えてみてください。
睡眠不足や強い疲労がある場合は、休息が必要です。
一方で、不安について長時間考え込み、生活が止まっている場合は、小さな行動が助けになることがあります。
カーテンを開ける、温かい飲み物を飲む、5分だけ外に出る、必要な連絡を一つ行うなど、負担の少ない行動から始めてください。
ただ、不安によって眠れない、食事が取れない、仕事や家事ができない状態が続く場合や、「消えたい」と感じる場合は、医療機関や心理カウンセラーなどへの相談を優先することが大切です。
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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