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パニック症(パニック発作)はなぜ起きる?~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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パニック発作はなぜ起こるのか~パニック症と「身体感覚の誤解釈」~

パニック発作はなぜ起こるのか~パニック症と「身体感覚の誤解釈」~

2026/05/01

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

パニック発作は、とても怖い体験です。


突然、心臓が強く打つ。息がしづらくなる。めまいがする。胸が苦しい…。


その瞬間、「このまま倒れるのではないか」「死んでしまうのではないか」「自分がおかしくなってしまうのではないか」と感じる方も少なくありません。

 

Clark(1986)の認知モデルでは、パニック発作は、動悸や息苦しさなどの身体感覚を「危険なことが起きている証拠」として解釈することで強まると説明されます。

 

つまりClarkは、パニック発作は主に正常な不安反応に含まれる身体感覚、たとえば動悸、息苦しさ、めまいなどを、実際より危険なものとして破局的に解釈することから生じるものであることを示しました。

 

そこで、今回はパニック症におけるパニック発作が生じるメカニズムをお伝えしたいと思います。

 

※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものでも効果を保証するものでもありません。

※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1.パニック発作はなぜ起きて、そして強くなるのか?~身体感覚と「危険だ」という解釈の悪循環~

 

 

パニック発作は、突然強い身体症状が起こるため、当事者の方にとっては非常につらい状態をもたらします。


パニック発作における動悸、息苦しさ、めまい、胸の違和感などが出ると、「このまま倒れるのではないか」「心臓に異常があるのではないか」と感じるのは自然なことです。

 

Clarkの認知モデルでは、パニック発作は、身体感覚そのものだけでなく、その身体感覚をどう受け取るかによって強まると考えます。


つまり、身体の反応を「危険なサイン」と解釈することで不安が増え、その不安がさらに身体反応を強める、という悪循環が起こるのです。

 

1-1.Clarkの論文は何を説明したものなのか

 

いつものように研究論文を参考にしているので、軽く研究内容に触れますね。

 

Clark(1986)の「A cognitive approach to panic」は、パニック発作を認知の視点から説明した重要な論文です。


この論文では、パニック発作は、身体感覚を破局的に誤って解釈することによって起こると説明されています。

 

ここでいう破局的な解釈とは、身体の感覚を実際以上に危険なものとして受け取ることです。


例えば…

 

「動悸がする」
→「心臓発作が起きるかもしれない」

 

「息苦しい」
→「窒息するかもしれない」

 

「めまいがする」
→「倒れてしまうかもしれない」

 

…というような受け取り方です。

 

つまり、この論文は、パニック発作を「理由なく突然起きるもの」として終わらせるのではなく、身体感覚への解釈がどのように恐怖を増幅させるのかを示したものです。

 

1-2.パニック発作で起こりやすい身体感覚

 

パニック発作では、非常に強い身体感覚が起こる場合が多々ありあります。


例えば、心拍が速くなる、息がしづらくなる、胸が苦しくなる、めまいがする、汗が出る、震える、吐き気がする、手足がしびれる、現実感が薄れる、といった症状です。

 

こうした症状が突然出ると、当然ですが多くの方は強い不安を感じます。


特に、動悸、胸の痛み、息苦しさ、めまいは、命に関わる病気を連想しやすい身体感覚です。

 

そのため、パニック発作を誘発しやすくなるのです。

 

ただ、ここで大切なのは身体感覚を軽く見ないことです(←超重要です!)。


胸痛や強い息苦しさがある場合に、すべてを「パニックだから大丈夫」と自己判断するのは危険です。

 

特に、初めて経験する症状、いつもと違う症状、強い痛みや持続する症状がある場合は、まずは医療機関に相談することが重要です。

 

そのうえで、医療的に大きな異常がないと確認されたあとも発作が繰り返される場合には、身体感覚の受け取り方に注目することが、心理的支援では重要になります。

 

1-3.パニック発作の中心にある「破局的な誤解釈」

 

Clarkモデルの中心にあるのが、破局的な誤解釈です。


これは、身体の自然な変化を、実際よりも危険なものとして受け取ることです。

 

例えば、不安や緊張があると、心臓は速く打ちやすくなります。


ここで、その動悸を「心臓発作の前触れだ」と受け取ると、不安は一気に高まります。

 

また、不安が強くなると呼吸が浅くなったり、速くなったりすることがあります。


その結果、息苦しさやめまいが出ることがあります。


その時、それを「窒息する」「倒れる」と解釈すると、さらに恐怖が強まります。

 

ここで起きているのは、身体反応そのものだけの問題ではありません。


重要なのは、その身体反応にどんな意味を与えているかです。

 

動悸は、不安、緊張、運動、カフェイン、寝不足でも起こります。


息苦しさやめまいも、緊張や呼吸の乱れで生じることがあります。


しかし、それを「危険な病気のサイン」と受け取ると、不安が急激に増え、身体症状もさらに強まってしまうのです。

 

1-4.パニック発作の悪循環

 

Clarkのモデルを日常的な言葉で説明すると、パニック発作は次のような悪循環で強まります。

 

(1)まず、何らかの身体感覚が起こります。


例えば、動悸、息苦しさ、胸の違和感、めまいなどです。

 

(2)次に、その感覚を危険なものとして解釈します。


「心臓発作かもしれない」


「倒れるかもしれない」


「呼吸が止まるかもしれない」


「自分がおかしくなってしまうかもしれない」

 

(3)すると、不安が急激に強くなります。


不安が強くなると、交感神経が働き、心拍が上がり、呼吸が浅くなり、身体が緊張します。

 

(4)そして、強くなった身体感覚を見て、さらに「やっぱり危険だ」と感じます。

 

このように…


身体感覚 → 危険な解釈 → 不安の増加 → 身体感覚の増加 → さらに危険に感じる


…という循環が起こります。

 

パニック発作のつらさは、この循環がほとんど瞬時に、非常に速く進むところにあります。


そのため頭では「落ち着こう」と思っても、身体感覚が強くなるため、危険が本当に迫っているように感じられてしまうのです。

 

1-5.「突然起きた」と感じる発作とは?

 

パニック発作は、「何もないのに突然起きた」と感じられることがあります。


しかしClarkのモデルでは、その背景にも身体感覚への注意と解釈が関わっていることがあると示しています

 

私たちはは日常の中で、さまざまな身体感覚を経験しています。


寝不足、疲労、カフェイン、緊張、ストレス、暑さ、空腹、姿勢、呼吸の変化などによって、動悸や息苦しさ、めまいが起こることがあります。

 

普段なら見過ごすような小さな身体感覚でも、パニックへの不安が強いと、その感覚に強く注意が向きます。


そして…


「これは発作の始まりかもしれない」


「またあの怖い状態になるかもしれない」


…と解釈した瞬間、不安が一気に高まります。

 

その不安によって身体反応がさらに強まり、結果として本格的なパニック発作につながることがあります。

 

つまり、「突然起きた」と感じる発作も、よく見ていくと…

 

身体感覚への注意→危険な解釈→不安の高まり、という流れで理解できることがあるのです。

 

1-6.安全行動がかえって不安を長引かせることがある

 

パニック発作が怖くなると、人は当然、安全を確保しようとします。

 

これは自然な反応です。

 

例えば…


すぐに座る。


水を飲む。


逃げ道を確認する。


人の多い場所を避ける。


電車や高速道路を避ける。


病院の近くでないと外出できない。


体調を何度も確認する。

 

こうした行動は、その場では安心感を与えてくれます。


しかし、長期的には不安を維持してしまうことがあります。

 

たとえば、「水を持っていたから発作を乗り切れた」と感じると、水がない場所が怖くなるかもしれません。


「すぐ逃げたから助かった」と感じると、逃げられない場所がますます苦手になるかもしれません。


「何度も体調確認をしたから大丈夫だった」と思うと、確認しないことが不安になるかもしれません。

 

このように、安全行動は短期的には安心を与えますが、長期的には「それをしなければ危険だった」という学習につながることがあります。

 

しかし、心理的支援では、安全行動を一方的に否定するわけではありません。


大切なのは、何が短期的な安心になっていて、何が長期的に不安を維持しているのかを丁寧に見ていくことです。

 

1-7.心理カウンセリングでは何を目指すのか

 

Clarkの認知モデルをもとにした支援では、まずパニック発作の仕組みを理解することが大切です。

 

つまり…

 

「身体が危険だから発作が起きている」


…と感じている状態から…


「身体感覚を危険と解釈することで不安が強まり、発作が悪循環になっているかもしれない」


…と理解できるようになることが出発点になります。

 

カウンセリングでは、たとえば次のような点を整理します。

 

どの身体感覚が一番怖いのか。


その感覚を何のサインだと感じているのか。


発作中にどんな考えが浮かぶのか。


どんな安全行動をしているのか。


避けている場所や行動は何か。


本当に危険だった証拠と、そうとは言えない証拠は何か。

 

このように整理していくと、パニック発作は「意味不明な恐怖」から、少しずつ「理解できる悪循環」へと変わっていきます。

 

そして、理解できるようになると、対処の方向性も見えやすくなります。


つまり、身体感覚を完全になくすことだけを目指すのではなく、身体感覚が起こったときに、すぐに「危険だ」と結びつけない習慣づけが大切になります。

 

1-8.パニック発作で自己否定をする必要はありません

 

パニック発作で苦しむ方は、自分を責めてしまうことがあります。


「こんなことで怖くなる自分はおかしい」


「また迷惑をかけてしまう」


「普通の人なら平気なのに」

 

けれど、Clarkのモデルから見ると、パニック発作は自分を責めるべきものではありません。


身体感覚を危険として受け取り、不安が身体反応をさらに強めるという、非常に強い悪循環が起きている状態です。

 

大切なのは、自分を責めることではありません。


自分の中で何が起きているのかを理解し、身体感覚と解釈の関係を見つめ、少しずつ悪循環を弱めていくことです。

 

繰り返しになりますが、パニック発作は、とても怖い体験です。


だからこそ、「怖がってはいけない」と無理に抑え込むよりも、まずは仕組みを理解することが大切です。

 

よくある質問(FAQ)


Q1. パニック発作はなぜ突然起こるのですか?

 

パニック発作は突然起こるように感じられますが、Clarkの認知モデルでは、小さな身体感覚を危険なサインとして解釈することで不安が急激に高まり、発作につながることがあると考えます。

 

動悸や息苦しさ、めまいなどに注意が向き、「危ない」と感じることで悪循環が始まることがほとんどです。

 

Q2. パニック発作の「破局的な誤解釈」とは何ですか?

 

破局的な誤解釈とは、身体感覚を実際よりも危険なものとして受け取ることです。

 

例えば、動悸を「心臓発作の前兆」、息苦しさを「窒息するサイン」、めまいを「倒れる前兆」と解釈することです。

 

Clarkは、こうした解釈がパニック発作を強めると説明しました。

 

Q3. パニック発作は気のせいなのですか?

 

いいえ、気のせいではありません。

 

動悸、息苦しさ、めまい、震えなどの身体感覚は実際に起きています。

 

大切なのは、その身体感覚を「危険なもの」と解釈することで不安が増え、さらに身体反応が強くなる悪循環が起こるという点です。

 

Q4. パニック発作と心臓の病気はどう見分ければよいですか?

 

自己判断だけで見分けるのは危険です!

 

胸痛や強い息苦しさがある場合、特に初めての症状やいつもと違う症状では、医療機関に相談することが大切です。

 

NHS(National Health Service:イギリスの公的医療制度・公的医療機関)も、胸痛は医療相談を受け、心臓発作が疑われる場合はすぐに医療的援助を求めるよう勧めています。

 

Q5. パニック発作のカウンセリングでは何をしますか?

 

カウンセリングでは、どの身体感覚が怖いのか、その感覚を何のサインだと解釈しているのか、発作中にどんな考えや行動が起こるのかを整理します。

 

そのうえで、身体感覚への恐怖、安全行動、回避の悪循環を少しずつ弱めていくことを目指します。


理解することは、回復への大事な一歩になります。

 

参考論文

Clark, D. M. (1986). A cognitive approach to panic. Behaviour Research and Therapy

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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