不安症で心配が止まらないメカニズム~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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全般不安症で心配が止まらないのはなぜ?「心配の心配」を生む心理的な仕組み

全般不安症で心配が止まらないのはなぜ?「心配の心配」を生む心理的な仕組み

2026/10/30

全般不安症で心配が止まらないのはなぜ?「心配の心配」を生む心理的な仕組み

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

「考えても仕方がない」と分かっているのに、仕事や健康、家族のことが次々に心配になったり、あるいはようやくひとつの不安が落ち着いても、今度は別の心配が浮かんでくる…。

 

このような状態に疲れ切っていませんか。

 

全般不安症(全般性不安障害)による苦しさを理解するには、心配の内容だけでなく、「心配には役に立つ働きがある」「心配は止められず危険だ」といった、心配に対する信念に目を向けることが重要になってきます。

 

大切なのは、心配が浮かばない人になることではありません。

 

心配にどう反応するかの選択肢を広げ、日常生活を取り戻していくことです。

 

そこでこのブログでは、心理カウンセラーの立場から、全般不安症における二つの心配と、不安の悪循環を抜け出すための考え方をシェアしたいと思います。

 

※本記事は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関等の専門機関にご相談ください。

 

1:全般不安症とは?心配が生活の中心になる状態

 

将来を心配することは自然な反応です。

 

試験の準備をしたり、家計を見直したりする際、心配が具体的な行動のきっかけになることもあります。

 

一方、全般不安症では仕事、健康、家族、お金など幅広い事柄への心配が長期間続き、自分で調整することが難しくなってしまいます。

 

具体的には、落ち着かなさや疲れやすさ、集中しにくさ、筋肉の緊張、睡眠の問題を伴い、生活に支障が生じる場合も珍しくありません。

 

2:「何を心配しているか」だけでは説明できない

 

「子どもが事故に遭ったらどうしよう」「仕事で失敗したらどうしよう」…。

 

こうした考えの内容は違っていても、心配が続く仕組みには共通点があるかもしれません。

 

そこで今回参照にしている論文の著者であるウェルズが注目したのは「メタ認知」です。

 

メタ認知とは、簡単にいえば自分の考え方や心配の働きについて、どのように考えているかということです。

 

例えば、「心配すれば万一の事態に備えられる」と信じていれば、安心するために考え続けることになりますよね。

 

反対に「心配し続けると心がおかしくなる」と信じていれば、今度は心配そのものを恐れるかもしれません。

 

こうした心配についての信念を「メタ認知的信念」と呼びます。

 

そして心配には「タイプ1」と「タイプ2」があります。

 

3:タイプ1の心配~身の回りの出来事を心配する~

 

タイプ1の心配は、仕事、家庭、健康、金銭などの出来事や、身体の症状などについての心配です。

 

例えば、上司から「明日、少し話がある」と言われた場合、「ミスを指摘されるのでは」「評価が下がったらどうしよう」「仕事を失ったら家族はどうなるだろう」と、まだ起きていない出来事を次々と想像することがあります。

 

このとき心の中には、「最悪の場合まで考えておけば準備できる」「心配をやめると油断する」という信念があるかもしれません。

 

これを「肯定的なメタ認知的信念」と呼びます。

 

ただし、「肯定的」という言葉は、心配が健康によいという意味ではありません。

 

ご本人が「心配することには利益や意味がある」と評価しているという意味です。

 

もちろん、問題を整理して必要な準備をすることは役立ちます。

 

しかし、具体的な行動が決まった後も「もしも」を繰り返していると、問題解決よりも心配そのものに時間を使うことになります。

 

タイプ1の心配は、それ自体が全般不安症に特有というわけではありません。

 

この場合、誰にでも起こり得る心配が、どのような信念によって長引くのかが重要となってきます。

 

4:タイプ2の心配~「心配している自分」が心配になる~

 

タイプ2の心配は、心配すること自体についての心配です。

 

これは「メタ心配(Meta-worry)」とも呼ばれます。

 

例えば、仕事のことを考え続けた夜に、「また眠れなくなる」「このまま心配が止まらなかったら、精神的におかしくなるかもしれない」「私は自分の考えを制御できない」と不安になる場合が、まさにそれです。

 

タイプ1では「仕事がどうなるか」を心配していたのに対し、タイプ2では「心配し続ける自分がどうなるか」が問題になっています。

 

背景にあるのは「否定的なメタ認知的信念」です。

 

ウェルズは特に、「心配はコントロールできない」という制御不能性への信念と、「心配は心身に危険な結果をもたらす」という危険性への信念を重視しました。

 

すると、心配によって生じた動悸や緊張まで、「やはり心配は危険だ」という証拠のように感じられることがあります。

 

そして心配を怖がるほど、自分が今どれほど心配しているかを監視し、さらに心配が気になってしまいます。

 

ただし、単に「また心配しているな」と気づくことがタイプ2というわけではありません。

 

タイプ2の場合、心配を危険で制御不能なものとして評価し、そこからさらに心配が生じることがポイントです。

 

5:「心配しないと危険、心配しても危険」という矛盾

 

二つのタイプは、必ず順番に現れるとは限りません。

 

同じ場面で重なり合うこともあります。

 

例えば、「家族の安全のためには、あらゆる危険を考えておかなければならない」と思う一方で、「考えすぎている私はおかしいのでは」と恐れる場合です。

 

心配することが必要だと感じながら、心配すること自体も怖い…。

 

この板挟みが不安を強めるというのが、ウェルズのモデルの重要な特徴です。

 

そこで、家族に何度も大丈夫か尋ねる、ニュースを繰り返し調べる、不安になる話題を避ける、嫌な考えを無理に追い払うといった対応を取ることがあります。

 

こうした安心確認、回避、思考抑制は一時的に楽になる場合があります。

 

しかし、心配があっても対処できるという経験を得にくくし、「やはり心配は止められない、危険だ」という信念を保ってしまうことがあります。

 

6:心配との付き合い方を変えるために

 

では、全般性不安症の場合、どのような対処があるのかを見ていきたいと思います。

 

(1)二つの心配を区別する

 

まず「今、何を心配しているのか」と「心配すること自体をどう考えているのか」を分けることが有効です。

 

「仕事で失敗するかもしれない」はタイプ1、「こんなに心配したら自分がダメになってしまう」はタイプ2です。

 

混ざっていることに気づくだけでも、悪循環を整理する手がかりになります。

 

(2)心配することの役割を考える

 

次に、心配することの役割を考えます。

 

「心配を続けることで、具体的に何が準備できただろう」「必要な行動はすでに決まっていないだろうか」と問いかけてみてください。

 

そして現実的な問題があるなら対処を進め、答えの出ない仮定を延々と検討することとは区別します。

 

(3)思考との距離を取る練習をする

 

さらに、浮かんだ心配をすぐに追いかけず、いったん別の活動に注意を向ける練習も役立ちます。

 

メタ認知療法では、「ディタッチト・マインドフルネス」と呼ばれる、思考を抑え込まず、思考に巻き込まれない関わり方を学びます。

 

心配を後で検討することにしてみる「心配の延期」も、制御不能だという信念を確かめる行動実験として使われます。

 

目的は「心配を一切浮かべないこと」ではありません。

 

心配が浮かぶことと、心配を続けることを区別し、自分で反応を選べる可能性を確かめることです。

 

7:心配をなくすより、心配に振り回されない生活へ

 

心配が続くのは、正確がネガティブだから、あるいは考え方が悪いからでもありません。

 

危険に備えようとする工夫が、いつの間にか苦しさを維持することもあるのです。

 

「何を心配しているのか」に加えて、「なぜ心配し続けなければならないと思うのか」「心配することをどれほど怖がっているのか」に目を向けてみてください。

 

心配があっても生活を進められる経験を積み重ねることが、回復への一歩になります。

 

また眠れない日が続く、仕事や家庭生活に支障が出るなどの場合には、一人で抱えず、医療機関や心理カウンセラーに相談してくださいね。

 

よくある質問

 

Q1.心配するのをやめて、本当に悪いことが起きたらどうすればよいのでしょうか?

 

心配しないことと、必要な準備をしないことは異なります。

 

例えば、健康が心配なら必要な診察を受ける、仕事が心配なら具体的な準備をすることは重要です。

 

しかし、準備を終えても最悪の可能性を考え続けることが、必ずしも危険を防ぐわけではありません。

 

大切なのは、現実的な対処と終わりのない心配を区別することです。

 

Q2.夜、布団に入ると心配が止まりません。どうすればよいですか?

 

夜は周囲の刺激が少なく、心配に注意が向きやすくなることがあります。

 

考えを無理に消そうとするよりも、心配を解決しようとする作業からいったん離れることを意識してみましょう。

 

眠れない状態が続く場合は、睡眠習慣の見直しや不眠に対する認知行動療法など、睡眠そのものへの対処も役立つ場合があります。

 

Q3.心配を延期しても、結局また心配してしまいます。失敗なのでしょうか?

 

失敗ではありません。

 

心配の延期は、二度と心配しなくなるための方法ではなく、「今すぐ心配を続けなければならない」という感覚を検証するためのアプローチです。

 

後から心配が浮かんでも構いません。

 

思考が浮かぶことと、心配を続けることは別だと理解することが重要です。

 

Q4.家族から「考えすぎ」「気にしすぎ」と言われます。どう説明すればよいでしょうか?

 

「自分でも考えすぎだと分かっているけれど、心配をやめると危険な気がしてしまう」「心配していること自体も怖くなってしまう」と、具体的に伝える方法があります。

 

家族には、すぐに安心させようとするだけでなく、苦しさを理解し、必要なときに専門家への相談を支えてもらうことが役立ちます。

 

Q5.薬を飲んでいても、心理カウンセリングを受ける意味はありますか?

 

あります。

 

薬物療法と心理療法は、異なる側面から症状の改善を目指します。

 

心理カウンセリングでは、心配に関する信念、回避や安心確認などの行動、日常生活への影響を整理し、対処方法を身につけていきます。

 

服薬中の場合は自己判断で中止せず、主治医と相談しながら進めることが重要です。

 

参考文献・資料

Wells, A.(1999)A cognitive model of generalized anxiety disorder.Behavior Modification, 23(4), 526–555.

Wells, A., & Carter, K.(1999)Preliminary tests of a cognitive model of generalized anxiety disorder.Behaviour Research and Therapy, 37(6), 585–594.

Nordahl, H. M., et al.(2018)Metacognitive therapy versus cognitive–behavioural therapy in adults with generalised anxiety disorder.BJPsych Open, 4(5), 393–400.

National Institute for Health and Care Excellence(NICE)Generalised anxiety disorder and panic disorder in adults: management.

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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