なぜアダルトチルドレンの恋愛は難しくなるのか?~信頼・親密さ・安心感の視点より~
2026/05/26
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、
アダルトチルドレンの方の中には、恋愛や親密な人間関係で強い不安を感じる方がいます。
そして不安によって相手への疑いや試し行動、見捨てられ不安が出てくる場合が珍しくありません。
このようなアダルトチルドレンの恋愛の難しさは、親の問題そのものだけで決まるのではなく、家庭の中でどのような関係性が築かれていたかに大きく影響される可能性があります。
Larson & Reedy(2004)の研究では、親の問題が若年成人の恋愛関係の質に与える影響を、家族プロセス、つまり家族のまとまり、葛藤解決、家族としての機能を通して検討しました。
その研究では、より健康な家族プロセスが、親の問題による恋愛関係への悪影響を和らげる可能性が示されました。
そこで、このブログでは研究論文を踏まえつつ、アダルトチルドレンの恋愛の難しさについてシェアしたいと思います。
※本投稿は公認心理師としての一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療を行うものでも効果を保証するものでもありません。
※気になる症状がある場合は、必ず医療機関等の専門機関にご相談ください。
1.アダルトチルドレンと恋愛関係~機能不全家族で育った経験が、親密な関係に与える影響~

先述しましたように、アダルトチルドレンの方の中には、恋愛関係で強い不安や葛藤を感じる方が珍しくありません。
その不安や葛藤とは、相手を信じたいのに疑ってしまう。近づきたいのに、親密になるほど怖くなる。大切にされたいのに、相手の優しさを素直に受け取れない、といったものが代表例です。
こうした反応は、現在の恋愛相手だけが原因とは限りません。
過去の家庭環境の中で、安心して頼ること、自分の気持ちを伝えること、葛藤を話し合うことが難しかった場合、その影響が大人になってからの恋愛関係に現れることがあります。
これが、アダルトチルドレンの方の恋愛を難しくしている要因です。
1-1.アダルトチルドレンには「狭義」と「広義」がある
まず、アダルトチルドレンという言葉の使い方を整理しておきます(本当は、このテーマだけで1つのブログ記事が書けるくらいなのですが…)
狭義のアダルトチルドレンとは、もともとアルコール依存などの依存問題を抱えた親のもとで育ち、その影響を大人になってからも抱えている方を指して使われることが多い言葉です。
元々、アダルトチルドレンという概念は狭義のものをさしていました。
しかし、その後アダルトチルドレンの概念、具体的に言うとアダルトチルドレンとなった子供の親はアルコール依存に限定されないという考えが生まれました。
これが広義のアダルトチルドレンです。
広義のアダルトチルドレンとは、アルコール問題に限らず、虐待、過干渉、情緒的な不安定さ、親の未熟さ、家族内の強い葛藤、過度な支配、無関心、安心できない家庭環境など、機能不全家族の影響を受けて育った方を指して使われるものです。
今回取り上げる論文は、狭義のアダルトチルドレン、つまり親のアルコール問題を背景にした研究です。
ただし、このブログでは、そこから得られる示唆を、広義のアダルトチルドレン、つまり機能不全家族で育った方の恋愛関係を理解する視点として整理していきます。
1-2.この論文は何を調べた研究なのか
またいつものように、参考にした論文の解説から…
Larson & Reedy(2004)の論文は、親の問題が、若年成人の恋愛関係にどのような影響を与えるのかを調べた研究です。
この研究では、恋愛関係の質として、信頼、親密さ、コミットメント、満足度が検討されています。
また、親の問題が恋愛関係に影響する際に、その間にある要因として、「家族プロセス」が扱われました。
「家族プロセス」とは具体的には、家族のまとまり、葛藤解決、家族としての機能などです。
研究結果としては、親に問題があっても、家族プロセスが比較的保たれている場合、恋愛関係の質への悪影響は小さくなりやすいことが示されました。
一方で、家族プロセスが大きく損なわれている場合には、恋愛関係の質が低く報告されやすい傾向がありました。
1-3.家族プロセスとは何か
家族プロセスとは、シンプルに言えば、「家庭の中で人と人がどのように関わっていたか」ということです。
この研究では、家族プロセスとして、主に次のような要素が扱われています。
家族間のまとまり。
家族間の葛藤をどう解決していたか。
家族としてどの程度うまく機能していたか。
家庭の中で問題が起きたときに、話し合いができていたのか。
誰か一人が我慢し続けていたのか。
怒鳴る、無視する、責める、避けるという形でしか葛藤を扱えなかったのか。
子どもが親の感情を支える役割を背負っていなかったか。
こうした家庭内の関係のあり方は、大人になってからの恋愛関係にも影響することが多々あります。
つまり、アダルトチルドレンを考える上で重要なのは、「親に問題があったかどうか」だけではないということです。
親の問題に加えて家庭の中で、安心、信頼、話し合い、距離感、感情表現がどのように扱われていたかが重要なんですね。
1-4.アダルトチルドレンが恋愛でつまずきやすい理由
アダルトチルドレンの方は、恋愛において次のような難しさを感じることがあります。
相手を信じたいのに、疑ってしまう。
相手の反応に敏感になりすぎる。
返信が遅いだけで不安になる。
少し距離を置かれると、見捨てられたように感じる。
自分の気持ちを伝えるより、相手の機嫌を優先してしまう。
本音を出すと嫌われる気がする。
親密になるほど怖くなる。
これらは、現在の相手だけが原因とは限りません(もちろん、現在のお相手がどのような方なのか、という要素は決して見落としてはならない視点です)。
過去の家庭環境で、「安心して頼る」「自分の気持ちを言う」「葛藤を話し合う」「相手と対等な関係を作る」といった経験が不足していた場合、恋愛の中でも同じ課題が出やすくなることがあるから問題になるんですね。
恋愛は、非常に親密な関係です。
そのため、過去の家族関係で身につけた反応が出やすくなります。
「近づきたいけれど傷つきたくない」
「信じたいけれど裏切られるのが怖い」
「大切にされたいけれど、依存してしまうのが怖い」
このような葛藤が、恋愛関係の中で強く現れることがあります。
1-5.信頼・親密さ・満足度に影響が出ることも
Larson & Reedyの研究では、「恋愛関係の質」として、信頼、親密さ、コミットメント、満足度が扱われました。
この4つは、アダルトチルドレンの恋愛を理解するうえでも重要です。
まず、信頼です。
機能不全家族で育つと、人を信じることが難しくなる場合があります。
親の言動が一貫しない、約束が守られない、気分によって態度が変わる、家庭内の秘密が多いといった経験があると、「人は信じても大丈夫」という感覚が育ちにくくなるリスクを高めてしまいます。
次に、親密さです。
本当は近づきたいのに、近づくほど怖くなることがあります。
というのは、親密さは安心をもたらす一方で、過去の傷つきを刺激することもあるからです。
そして、コミットメントです。
関係を続けたい気持ちはあっても、深く関わることに不安があると、無意識に距離を取ったり、相手を試したり、関係を壊すような行動をしてしまうことがあります。
最後に、満足度です。
相手が十分に関わってくれていても、不安が強いと安心感を受け取りにくくなります。
その結果、関係への満足感が下がりやすくなることがあります。
1-6.親の問題そのものより「家族の関わり方」が重要になることも
この研究で特に大切なのは、親に問題があったかどうかだけでなく、その家庭の中で家族プロセスがどれだけ保たれていたかが重要だった点です。
親に問題があっても、家庭内に一定のまとまりがあり、葛藤をある程度解決でき、子どもが完全に孤立していなかった場合、恋愛関係への影響は軽くなる可能性があります。
反対に、親の問題に加えて、家庭内の葛藤が強く、話し合いができず、子どもが安心できず、役割を背負いすぎていた場合、大人になってからの親密な関係に影響が出やすくなる可能性が高くなります。
これは、アダルトチルドレンにも重要な視点です。
問題は、親が問題を抱えていたかどうかだけではありません。
先述した「家族プロセス」が機能していたか否かが問題なのです。
つまり子供としての当たり前の安全や安心、葛藤があった場合の話し合い、自分自身の考えや感情が尊重されていたかどうか…
こうした要素が、その後の恋愛や人間関係に影響しうるのです。
1-7.恋愛で同じパターンを繰り返す理由
アダルトチルドレンの方は、恋愛において「頭ではわかっているのに、同じ反応をしてしまう」と感じることが多々あります。
例えば、見捨てられる不安が強くなったり、話し合いの際に責めるような言い方になってしまう…。
また不安を伝えたいのに、我慢して突然爆発してしまったり、優しい相手との関係が落ち着かず、逆に問題のある相手に強く惹かれてしまう…。
これは、過去の家庭で身につけた関係のパターンが、現在の恋愛の中で再現されている可能性があります。
子どものころに、相手の機嫌を読むことで自分を守っていた方は、大人になってからも相手の表情や言葉に過敏になりやすくなってしまいます。
また、家庭で話し合いよりも怒りや沈黙が多かった方は、恋愛でも葛藤を落ち着いて扱うことが難しくなる場合があります。
一方、親密な関係が安心よりも緊張を伴っていた方は、恋愛で近づくほど不安になりやすい傾向を持つケースが珍しくありません。
こうした反応は、「今の自分がおかしい」というより、過去の環境に適応するために身につけた反応が、現在の関係にも残っていると理解するべきだと言えるでしょう。
1-8.アダルトチルドレンの恋愛で大切にしたい視点
アダルトチルドレンの恋愛で大切なのは、まず自分の反応を責めすぎないことです。
不安になったり疑ってしまう、あるいは相手の反応が気になり、距離感もわからなくなる、さらには本音を言うのが怖い…
こうした反応には、過去の家族関係の影響があるかもしれません。
だからといって、当然ですが「仕方がないから変えられない」という意味ではありません。
大切なのは、現在の恋愛で起きている問題の背景にある感情や考えを理解することです。
「なぜ返信の遅れにこんなに不安になるのか」
「なぜ相手に頼ることが怖いのか」
「なぜ親密になると逃げたくなるのか」
「なぜ安心できる関係ほど落ち着かないのか」
こうした問いを丁寧に見ていくことで、恋愛関係の中で起きている反応を少しずつ理解しやすくなります。
自分を責めるところから、自分の反応を理解するところへ進むことが、関係の作り方を変えていく第一歩になります。
よくある質問
Q1. アダルトチルドレンとは何ですか?
アダルトチルドレンには、狭義と広義の意味があります。
狭義では、アルコール依存などの依存問題を抱えた親の影響を受けて育った人を指します。
一方広義では、虐待、過干渉、情緒的な不安定さ、無関心、家族内の強い葛藤など、機能不全家族で育ち、大人になってからも人間関係や恋愛に影響を抱えている人を指して使われます。
Q2. アダルトチルドレンは恋愛で不安になりやすい傾向をもっていますか
なりやすい場合があります。
機能不全家族で育つと、安心して頼る、自分の気持ちを伝える、葛藤を話し合う、相手を信頼する、といった経験が不足しやすくなります。
そのため、恋愛関係で相手の反応に敏感になったり、返信が遅いだけで不安になったり、親密になるほど怖くなったりすることがあります。
Q3. なぜアダルトチルドレンは恋愛で同じパターンを繰り返しやすいのですか?
これは、子どものころに身につけた対人関係のパターンが、大人になってからの恋愛でも出やすいからです。
例えば、親の機嫌を読むことで自分を守っていた方は、恋愛でも相手の表情や言葉に過敏になりやすくなります。
家庭で怒りや沈黙が多かった方は、恋愛でも葛藤を落ち着いて話し合うことが難しくなる場合があります。
Q4. 親の問題そのものより、家族の関わり方が重要なのはなぜですか?
親にアルコール問題や情緒的な不安定さがあったとしても、家庭内に一定のまとまりや話し合い、安心できる関係があれば、影響が和らぐことがあります。
反対に、家庭内で葛藤が強く、子どもが孤立し、感情を安全に表現できない環境だった場合、大人になってからの恋愛関係に影響が出やすくなります。
つまり、重要なのは「親に問題があったか」だけでなく、「家庭の中でどのような関係性があったか」です。
Q5. アダルトチルドレンの恋愛の悩みはカウンセリングで相談できますか?
相談できます。
相手を信じられない、見捨てられ不安が強い、親密になると怖くなる、本音を言えない、相手の反応に振り回されるといった悩みは、カウンセリングで扱える大切なテーマです。
現在の恋愛だけでなく、過去の家族関係で身につけた反応を整理することで、自分を責めるのではなく、関係の作り方を少しずつ見直しやすくなります。
参考論文
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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電話番号 : 090-5978-1871
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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