幸せになろうとするほど苦しくなる理由~理想の自分に近づく心理学~
2026/06/21
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、
シアワセになりたい…
これは誰もが抱く当然の願いです。
シアワセというものを考えた時、十分な収入、安定した仕事、恋人や家族、自由な時間などが思い浮かべられるかもしれません。
こうした生活を支える条件は確かに重要です。
しかし、条件が整っても安心が続かず、「まだ何か足りない」と感じる人も少なくありません。
結論から言えば、幸福感は直接つかみに行くものというより、自分が大切にしたい生き方を選び、その方向へ進む過程で生まれやすい感情です。
そして皮肉なことに、シアワセを求めるとかえって苦しくなる、という問題も生じやすいというものです。
そこで今回は、シアワセを手にする心理学的な方法についてシェアしたいと思います。
1.シアワセを追いかけるより、自分が大切にしたい方向へ進む

シアワセは、努力すれば直接手に入れられる目標とは少し違います。
というのは、「シアワセにならなければ」と意識するほど、現在の自分に足りないものが気になり、かえって苦しくなることがあるからです。
つまり、大切なのは、常に明るい気分でいることでも、すべての目標を達成することでもありません。
自分がどのような人でありたいのかを考え、その方向へ小さく行動することです。
その積み重ねの中で、シアワセや充実感は結果として生まれてきます。
1-1.シアワセを直接追いかけると苦しくなる理由
感情は、目標を立てれば必ず得られるものではありません。
「今日はシアワセになろう」
「不安にならないようにしよう」
「前向きな気分を保とう」
このように感情そのものを目標にすると、意識は現在の自分に不足しているものへ向かいやすくなります。
また逆に…
「私はまだシアワセではない」
「また落ち込んでしまった」
「前向きになれない自分はダメだ」
このような自己評価が加わると、シアワセを得ようとする努力が、自己監視や自己否定につながってしまいます。
本当に楽しいとき、私たちは「いま、正しく楽しめているだろうか」と何度も確認しませんよね。
そんな時は、目の前の活動や、一緒にいる相手との時間に自然と注意が向いています。
シアワセも同じです。
いまシアワセかどうかを確認し続けるよりも、日々の生活の中で何を大切にし、どのように行動しているかの方が重要になってきます。
1-2.快楽とシアワセは同じではない
おいしいものを食べる、買い物をする、動画を見る、旅行へ行く、誰かに褒められる…。
こうした体験は、私たちに喜びや満足を与えてくれます。
このような喜びや満足、つまり快楽は悪いものではありません。
休息や気分転換として、生活に必要なものです。
ただし、快楽と長期的なシアワセは、完全に同じものではありません。
快楽は比較的短時間で得やすい反面、その効果も短く終わりやすい特徴があります。
また、不安や寂しさから逃れるためだけに快楽を求め続けると、買い物、飲酒、過食、ゲーム、SNSなどがやめにくくなることもあります。
つまり、短期的な快楽を求めることが長期的にはシアワセから私たちを遠ざけるんですね。
一方、長期的なシアワセや充実感には、次のような感覚が関係します。
自分で選んで生活している
大切な人とつながっている
少しずつ成長している
自分の行動に意味を感じられる
困難があっても、納得できる方向へ進んでいる
すこしまとめると、快楽はシアワセの一部にはなりますが、それだけで人生全体の充実を支えることは難しい、と言うことが言えます。
1-3.アワセのために期待を捨てる必要はない
「期待するから落ち込む。最初から期待しなければ傷つかない」と考える人もいます。
つまり、最初からシアワセになる期待を捨て、ネガティブな未来を想定し、実際にそれが起ったらショックを受けないようにするという、ある種の「戦略」です。
確かに、現実とかけ離れた期待に固執すると、苦しさが強くなることがあります。
しかし、期待や目標を持つこと自体が問題なのではありません。
重要なのは、思い通りの結果を得られなかったときに、その経験をどのように扱うかです。
失敗を「自分には価値がない証拠」と捉えれば、自己否定につながります。
一方で、「何が合わなかったのか」「何を学べたのか」「次は何を変えられるか」と整理できれば、失敗も今後に活かせる経験になります。
シアワセを守るために必要なのは、期待をなくすことではありません。
目標を持ちながらも、結果だけで自分の価値を決めないことです。
つまり「成功しなければ意味がない」と結論づけるのではなく、「挑戦して何を知ったか」「その場面でどのような自分でいられたか」を振り返る方が、充実感は残りやすくなります。
1-4.ポジティブであることとシアワセであることは違う
これはとても重要です。
シアワセな人は、いつも明るく前向きで、ネガティブな感情を持たない…。
そのようなイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、現実の生活では、怒り、悲しみ、不安、後悔、失望といった感情が自然に、しかも当たり前のように生じます。
大切なものを失えば悲しくなります。
理不尽な扱いを受ければ怒りが生じます。
結果が分からない状況では、不安になるのが自然です。
ネガティブな感情を持つことは、シアワセから遠ざかっている証拠ではありません。
むしろ、つらい感情を認めず、無理にポジティブな考えで上書きしようとすると、感情が長引いたり、自分の本音や限界が分からなくなったりすることにつながります。
大切なのは、どのような感情を持っているかではなく、その感情をどのように扱うかです。
怒りがあっても、相手を攻撃せずに要望を伝える。
悲しみがあっても、必要な休息や支援を求める。
不安があっても、できる範囲で小さな一歩を選ぶ。
このように、不快な感情が残っていても、自分が大切にしたい行動を選ぶことは可能であり、それが幸福感へと繋がっていきます。
1-5.シアワセは「理想の自分に近づく過程」から生まれる
人が深い充実感を得るのは、楽なことをしているときだけではありません。
資格の勉強、子育て、仕事での挑戦、誰かを支えること、創作活動、運動習慣などは、努力や負担、失敗を伴います。
その最中は、確かに苦しさや不安を感じることもあります。
それでも後から振り返ると、「あの時間には意味があった」と感じることがありますよね。
それは、困難そのものがシアワセだからではありません。
その経験を通して、自分が大切にしたい人物像に近づけたからです。
例えば、次のような方向があります。
誠実な人でありたい
新しいことに挑戦できる人でありたい
家族を大切にできる人でありたい
困っている人を支えられる人でありたい
自分の限界や健康を守れる人でありたい
好奇心を持って学び続けたい
シアワセは、理想の状態を完成させた瞬間だけに生まれるものではありません。
その方向へ進んでいる感覚そのものが、幸福感や充実感につながっていきます。
1-6.「理想の自分」は完璧な自分ではない
ここで注意したいのは、「理想の自分」を新しい完璧主義にしないことです。
理想の自分とは、失敗しない人、誰からも好かれる人、常に努力できる人ではありません。
「どのような姿勢を大切にして生きたいか」という人生の方向です。
例えば、「優しい人でありたい」と思っていても、いつも穏やかでいる必要はありません。
ときには怒りを伝えることや、無理な要求を断ることが、自分と相手を大切にする行動になります。
「チャレンジする人でありたい」と思っていても、毎回成功する必要はありません。
怖さや不安がある中で、小さな一歩を選ぶこともチャレンジです。
理想は、自分を裁くための厳しい基準ではありません。
そのため、「理想の自分をルール化してはいけない」ということが重要です。
迷ったときに、自分が進みたい方向を確認するための目印という意味として考えることが大切です。
1-7.シアワセと充実感を育てる4つの実践
では、シアワセと充足感を得るための心理学的な方法について解説します。
(1)「何を得たいか」より「どのような自分でいたいか」を考える
目標を立てるときは、得たい結果だけでなく、その過程でどのような自分でいたいかも考えると効果や意味は相当に違ってきます。
「昇進したい」だけではなく、「周囲から信頼される働き方をしたい」
「恋人がほしい」だけではなく、「相手と誠実に向き合える人でいたい」
「痩せたい」だけではなく、「自分の身体を大切に扱える人でいたい」
結果は、相手の判断や環境など、自分だけでは決められない条件にも左右されます。
一方で、どのような姿勢で行動するかは、自分で選びやすい領域であり、だからこそ幸福感や充足感につながっていきます。
(2)今日できる最小の行動へ落とす
どのような自分でいたいかを考えるだけでは、生活は変化しません。
そのため、今日できる小さな行動に変換します。
誠実でいたい→返していない連絡に1件だけ返信する
学び続けたい→本を5ページ読む
家族を大切にしたい→10分だけ話を聞く
自分を守りたい→無理な依頼を1つ断る
行動は小さくても構いません。
大きさよりも、自分が大切にしたい方向と一致していることが重要です。
(3)不快な感情があっても進めると知る
「自信がついたら行動する」「不安が消えたら挑戦する」と考えていると、いつまでも動けないことにつながります。
不安があっても応募する。
緊張したまま意見を伝える。
失敗への怖さが残っていても、練習を始める。
つまり感情が完全に整ってから動くのではなく、感情を抱えたまま小さく動く経験が、「自分は対処できる」という自信を育ててくれます。
(4)結果だけでなく過程を振り返る
一日の終わりに、次の点を確認してみてください、。
今日、大切にしたかったことは何か
その方向へどのような行動をしたか
うまくいかなかった経験から何を学べるか
明日は何を少し変えてみるか
このように、成功か失敗かだけで自分を評価せず、自分がどの方向へ進んだのかを見ることが大切です。
1-8.シアワセを目標にしすぎなくてよい
シアワセは、常に感じ続けられる固定された状態ではありません。
目標を達成しても、新しい課題が生まれます。
望んでいた仕事に就いても、不安や不満は残ることがあります。
理想的に見える関係を築いても、衝突や寂しさが完全になくなるわけではありません。
だからこそ、「シアワセになれば人生が完成する」と考えない方が現実的です。
人生には、喜びだけでなく、緊張、悲しみ、怒り、退屈、迷いも含まれます。
その中で、自分が大切にしたい方向を選び続けることが、長期的な満足や納得感を育てます。
まとめ
シアワセは、直接つかみにいこうとするほど、現在の不足が気になり、遠ざかったように感じることがあります。
快楽を得ること、常にポジティブでいること、失敗しないこと、すべての目標を達成することが、シアワセの条件ではありません。
大切なのは、どのような自分でありたいかを考え、その方向へ小さく行動することです。
不安や悲しみがあっても構いません。結果が思い通りにならない日があっても構いません。
理想の自分を完成させることではなく、その方向へ歩き続けること。その過程の中で、シアワセや充実感は結果として生まれてきます。
よくある質問
Q1.シアワセになりたいのに、何をしても満たされません。どうしてですか?
シアワセを「達成しなければならない目標」にすると、今の自分に足りないものばかりが気になりやすくなるためです。
収入、恋愛、仕事、趣味など、何かを得れば一時的な満足は得られます。
しかし、「これさえ手に入ればシアワセになれる」と考えると、達成後も次の不足が見つかりやすくなります。
「何を手に入れたいか」だけでなく、「どのような自分でいたいか」「今日はその方向へ何ができるか」を考えると、日々の充実感を感じやすくなります。
Q2.好きなことをしても、楽しいのはそのときだけです。これはおかしいですか?
おかしくありません。
というのは、楽しさや快楽は、もともと長く続きにくい感情です。
おいしいものを食べる、買い物をする、動画を見るといった活動は、気分転換や休息として役立ちます。
ただし、それだけで長期的なシアワセを支えるのは難しいことがあります。
一方で、自分で選んでいる感覚、人とのつながり、成長の実感、意味のある行動などが加わると、短い楽しさとは異なる充実感につながりやすくなります。
Q3.不安や落ち込みがある私は、シアワセではないのでしょうか?
不安や落ち込みがあることと、シアワセでないことは同じではありません。
大切なものがあるから不安になり、傷ついたから悲しくなります。
ネガティブな感情は、人生が間違っている証拠ではなく、自然な反応です。
大切なのは、ネガティブな感情をなくすことではありません。
不安があっても必要な一歩を選ぶ、悲しいときは休む、怒りがあるときは攻撃せず要望を伝えるなど、感情がある状態で自分の大切にしたい行動を選ぶことです。
Q4.目標を達成しても、思ったほど嬉しくありません。努力が無駄だったのでしょうか?
嬉しさが長く続かないからといって、努力が無駄だったとは限りません。
達成直後の喜びは、時間とともに薄れていくのが自然です。
そのため重要なのは、結果だけでなく、挑戦する中で何を学び、どのような力が身につき、どのような自分でいられたかを振り返ることです。
目標は、シアワセを完成させるものではなく、自分が大切にしたい方向へ進むための目印として使う方が、充実感につながりやすくなります。
Q5.「理想の自分」を考えると、できていない自分を責めてしまいます。どうすればよいですか?
理想の自分を、達成すべき完璧な姿ではなく、進みたい方向として考えてみてください。
理想とは、「失敗しない」「誰からも好かれる」といった厳しい条件ではありません。
「誠実でいたい」「自分も相手も大切にしたい」「学び続けたい」など、行動の方向を示すものです。
できなかった日に自分を裁くのではなく、「今日はどの行動が方向に合っていたか」「明日は何を少し変えるか」を確認するようにしましょう。
理想というのは自分を追い詰める基準ではなく、迷ったときに戻るための目印です。
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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