先が見えないと不安になる理由:不確実性とうまく付き合う方法とは
2026/08/01
みなさん、こんにちは。
神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。
不安というものは、不安そのものだけでなく、「この先どうなるのか分からない」「相手がどう思っているのか分からない」といった不確実な状態が、さらに苦しみを大きくするものです。
人間関係がこの先どうなるか分からない、仕事がうまくいくか分からない、体調がこのまま続くのか分からない、将来、自分が望んでいる生活ができるか分からない…。
こうした状況では、「早く答えがほしい」「白黒をはっきりさせたい」と感じるのは、ごく自然なことです。
しかし残念ながら、不安に対してすぐに答えが出たり白黒がハッキリすることは稀です。
つまり、不確実な状態が続いてしまうのです。
そのため、不安に振り回されにくくなるためには、すべてを確実にしようとするよりも、「分からないことが残っていても生活できる」という視点を持つことが有効です。
未来や人の気持ちには、どうしても自分では決められない部分があります。
そのため不確実さを完全になくそうとすると、答えが出ないことを長時間考え続け、かえって不安が大きくなることがあります。
そこで今回は、不安に伴う「不確実性」を踏まえつつ、セルフケアの方法をシェアしたいと思います。

1:なぜ「分からないこと」は不安を強くするのか
不安には、これから起こるかもしれない危険を予測し、それに備えようとする働きがあります。
そのため、先のことが分からない状況では、心は「何が起こるのか」を予測して、分からない部分を埋めようとします。
ところが、不安が強くなっているときほど、その予測は悪い方向へ傾きやすくなります。
例えば、相手からなかなか連絡が来ないと、「嫌われたのではないか」と考えたり、身体にいつもと違う感覚があると、「何か悪い病気なのではないか」と心配したりします。
また仕事の先行きが見えないときには、「このままうまくいかなくなるのではないか」と、まだ起きていない未来まで悪い方向に想像してしまうこともあります。
このように、不安が強いときには、「まだ分からないこと」を「悪いことが起こる」と予測してしまいやすくなってしまいます。
そのため、不安を感じたときには、「実際に分かっていること」と「自分が予測していること」を分けて考えることが大切です。
ここで注意したいのは、分からない部分ほど、悪い予測で埋めてしまいやすいということです。
その結果、本当は「まだ分からない」だけなのに、「悪いことが起こる」と感じ、不安がさらに強くなります。
こうした場合、以下の方法が役に立ちます。
1.すぐに白黒をつけず「あいまいな時間」を残す
不安が強いと、「結局どうなのか」を早く決めたくなります。
しかし、現実には今すぐ判断できないこともあります。
例えば、相手から返事が来ていないときに、「嫌われた」と結論づけをしようとするのが脳の傾向です。
そのため、「今のところ返事が来ていない。理由はまだ分からない」と、一度そこで止めることが有効です。
また仕事で失敗したときも、「自分は仕事ができない」と決めるのではなく、「今回はうまくいかなかった。今後どうなるかはまだ分からない」と考えることができます。
大切なのは、無理に楽観的になることではありません。
分からないことを、分からないまま少し置いておくことです。
最初は落ち着かないかもしれません。
しかし、「今すぐ答えが出なくても、その間を過ごせる」という経験が増えることで、不確実な状況にも少しずつ対応しやすくなります。
2.自分では変えられないことを見分ける
不安が長引く背景には、自分では決めることのできないことまで、何とかしようとしている場合があります。
例えば、相手が自分をどう思っているのか、周囲からどのように評価されるのか、人間関係がこれからも続いていくのかといったことは、自分の努力だけで決められるものではありません。
また、将来病気になるかどうか、予想外の出来事が起こらないか、自分の希望どおりの人生になるかといった未来についても、完全に予測したりコントロールしたりすることはできません。
もちろん、こうしたことが気になり、不安になるのは自然なことです。
しかし、自分では決められないことまで確実にしようとすると、どれだけ考えても答えが出ず、不安だけが長く続いてしまうことがあります。
そのため、不安を感じたときには、「これは自分で変えられることなのか、それとも自分だけでは決められないことなのか」と、一度立ち止まって考えてみることが大切です。
もちろん、「気にしなければよい」という意味ではありません。
不安になったときに、「これは今の自分に変えられることだろうか」と確認してみることが大切になってくるんですね。
自分では決められないことについて考え続けても、必ず安心できる答えが出るとは限りません。
しかし「これは今の自分には決められない」と認めることは、あきらめではありません。
自分の力を、実際に変えられる部分へ使うための判断です。
3.今の自分にできることへ意識を戻す
未来が不確実でも、今の自分にできることまでなくなるわけではありません。
たとえば、健康が不安なら、必要に応じて医療機関を受診することができますよね。
仕事が不安なら、今日取り組める作業を一つ進めることができます。
人間関係が気になるなら、相手の気持ちを完全に理解することはできなくても、自分がどのように関わりたいかを考えることはできます。
将来が不安なら、今日できる準備を一つだけ行うこともできます。
ポイントは、「不安をすべて解決する」ことではなく、「今、自分が動かせる部分は何か」を見つけることです。
不安が強いときほど、未来全体を何とかしようとして圧倒されます。
そのようなときは、「今日できること」「今できること」まで問題を小さくしてみてください。
2:「分からない」という答えも、一つの答えになる
不安が強いときには、「絶対に大丈夫なのか」という答えを求めたくなります。
しかし、未来について絶対に確実な答えが得られることは多くありません。
そのため…
✔「今はまだ分からない」
✔「悪い結果になる可能性もあるし、そうならない可能性もある」
✔「もう少し時間が経たないと判断できない」
…と考えられることが大切です。
これは悲観的になることでも、逆に楽観的になることでもありません。
分からないものを、無理に決めつけずに扱うという姿勢です。
つまり不安への対応力とは、「必ず大丈夫だと思えること」ではなく、「大丈夫かどうか分からなくても、その状況の中で生活を続けられること」とも言えます。
3:不確実さがある中でも、生活は続けられる
不確実性と付き合ううえで大切なのは、「答えが出るまで生活を止めない」ということです。
人間関係の結論が出ていなくても食事はできます。
将来が心配でも、今日の仕事を一つ進めることはできます。
体調について不安があっても、必要な受診をしたうえで、その日の生活を送ることはできます。
不安がなくなってから生活を再開するのではありません。
分からないことが残っていても、その中で自分の生活を続けていくという、その経験が積み重なることで、「不確実な状況=耐えられないもの」ではなくなっていきます。
まとめ~不安をなくすより「分からなくても動ける自分」を育てる~
不確実な状況で不安になることは、とても自然な反応です。
ただ、すべてをはっきりさせなければ安心できないと思うほど、答えの出ないことを考え続け、不安に意識を奪われやすくなります。
そのようなときは、すぐに白黒をつけようとせず、「今はまだ分からない」と一度そのまま受け止めてみてください。
そして、自分では変えられないことと、今の自分にできることを分けて考えます。
たとえすぐに答えが出なくても、食事をする、仕事を一つ進める、必要な連絡をするなど、今日の生活を続けることはできます。
不確実さを完全になくそうとするのではなく、分からないことを抱えながらも、自分にできることへ意識を戻していくことが大切です。
不安への対処で目指したいのは、「未来は絶対に大丈夫」と思えることではありません。
これからどうなるか分からなくても、その中で自分にできることを選び、生活を続けられること。
その力が、不安と不確実性に振り回されにくくなるための土台になります。
よくある質問
Q1.相手から返信がないと、「嫌われたのでは」と考えて不安になります。
A.「返信がない」という事実と、「嫌われた」という予測を分けてみてください。
返信が遅れている理由は、仕事中、疲れている、返信内容を考えているなど、さまざまな可能性があります。
その時点で確実なのは、「まだ返信が来ていない」ということだけかもしれません。
「嫌われた」と結論づけるのではなく、「理由はまだ分からない」と一度保留にすることが、不確実性とうまく付き合う練習になります。
Q2.仕事で一度失敗すると、「この先もうまくいかない」と考えてしまいます。
A.一度の失敗と、これから先の結果は分けて考えることが大切です。
不安が強いと、「今回失敗した」から「次も失敗する」「自分は仕事ができない」と未来まで一気に結論づけやすくなります。
まずは、「今回はうまくいかなかった」という事実まで戻ってみてください。
そのうえで、「次にできる工夫は何か」を考えます。
未来を予測するより、今変えられる部分に意識を向ける方が、現実的な対処につながります。
Q3.将来のことを考えると、「このままで大丈夫なのだろうか」と不安になります。
A.将来について不安になること自体は自然なことです。
仕事、お金、健康、人間関係など、将来には確実に予測できないことが多くあります。
そのため、「この先ずっと大丈夫だろうか」と考えても、完全な答えは出ないかもしれません。
そのようなときは、「将来すべてを解決するために何をするか」ではなく、「今日できる準備は何か」と問い直してみてください。
貯金を少し見直す、必要な勉強を10分する、健康診断を予約するなど、小さな行動へ戻すことが大切です。
Q4.人が自分をどう思っているのか分からないと、とても不安になります。
A.他人の気持ちを完全に知ることはできません。
人間関係では、「嫌われていないだろうか」「迷惑だと思われていないだろうか」と気になることがあります。
しかし、相手の心の中を完全にコントロールしたり、確実に知ったりすることはできません。
そこで、「相手がどう思うか」だけではなく、「自分はこの人とどのように関わりたいか」に意識を戻してみてください。
丁寧に話す、必要なことを伝える、相手の話を聞くなど、自分が選べる行動は残されています。
Q5.先のことが分からないと、悪い結果ばかり想像してしまいます。
A.「悪い結果になる」と「悪い結果になるかもしれない」は別です。
不安が強いと、可能性の一つが確定した未来のように感じられることがあります。
そのようなときは、「悪いことが起きる」ではなく、「悪いことが起きるかもしれない、と今は考えている」と言い換えてみてください。
さらに、「実際にはどうなるか、今はまだ分からない」と付け加えます。
不安を無理に楽観的な考えへ変える必要はありません。
「まだ分からない」という中間の状態を持てることが、不確実性に振り回されにくくなるための大切な力です。
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こころのケア心理カウンセリングRoom
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この記事の執筆者
駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)
心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。
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