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双極症(双極性障害・躁うつ病)との上手な付き合い方とカウンセリングの役割について~神戸、芦屋、西宮のカウンセリングより~

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双極症(双極性障害)との上手な付き合い方とカウンセリングの役割について

双極症(双極性障害)との上手な付き合い方とカウンセリングの役割について

2026/08/05

みなさん、こんにちは。

神戸や芦屋、西宮などの近隣都市で活動しているこころのケア心理カウンセリングルームの心理カウンセラー(公認心理師) 駒居義基です。

 

心理カウンセラーとして双極症(双極性障害・躁うつ病)についてのご相談を受けていると、うつ状態の苦しさだけでなく、「調子が良い時期をどう捉えればよいかわからない」という難しさを感じておられる方も珍しくありません。

 

元気になってきたと思って活動を増やしたところ、いつの間にか睡眠時間が短くなり、予定や買い物が増え、その後大きく調子を崩してしまう…。

 

反対に、一度躁状態を経験すると「元気になること自体が怖い」と感じ、活動を必要以上に抑えてしまうこともあります。

 

結論からお伝えすると、双極性障害と上手に付き合うために大切なのは、気分の波を自分自身のの力だけで抑えようとすることではなく、医学的な治療を続けながら、自分の気分・睡眠・活動の変化を早めに察知し、生活を調整する方法を身につけることです。

 

そして、その部分を支えることがカウンセリングの重要な役割です。

 

ただし、双極症では精神科医による診断と医学的治療が優先されます。

 

そのため、カウンセリングは薬物療法の代わりではなく、医療と連携しながら再発予防や生活の安定を支えるものと考えることが大切です。

 

そこでこのブログでは、双極症(双極性障害)との付き合い方、そして心理カウンセリングの役割についてお伝えしたいと思います。

 

 

1:双極症とは

 

双極症(双極性障害)は、うつ状態と躁状態・軽躁状態を繰り返す精神疾患です。

 

厚生労働省は、躁状態では気分が過剰に高揚するだけでなく、睡眠時間が極端に短くなる、活動量が増える、浪費する、怒りっぽくなる、自信が過剰になるなどの変化がみられると説明しています。

 

そして双極症にはⅠ型とⅡ型に分類されます。

 

双極Ⅰ型では明確な躁状態がみられ、双極Ⅱ型では躁状態より程度の軽い「軽躁状態」と、うつ状態を繰り返すというものです。

 

ここで注意したいのは、躁状態、軽躁状態がご本人にとって必ずしも「不調」と感じられないことです。

 

仕事が進む、アイデアが次々浮かぶ、社交的になる、自信が出るといった変化は、一見すると調子が良くなったようにも見えます。

 

国立精神・神経医療研究センターも、躁状態では本人に病気という自覚が乏しく、治療につながりにくいことがあると説明しています。

 

2:双極症では「調子が良いとき」も大切

 

双極症との付き合い方を考えるうえで、私が特に大切だと思うのは、うつ状態だけでなく上がり始めの変化を見ることです。

 

例えば…

 

✔「いつもより2時間睡眠が短くても平気になった」

 

✔「予定を次々入れたくなる」

 

✔「ネットショッピングが増える」

 

✔「話したいことが次々浮かぶ」

 

✔「仕事のアイデアが止まらない」

 

✔「周囲が自分についてこられないと感じる」

 

こうした変化が、その方にとっての軽躁・躁状態の初期サインになっている場合があります。

 

そのため大切なのは、「元気だから問題ない」と判断するのでも、「元気になるのは危険だ」と恐れるのでもありません。

 

自分にとって安定した状態と、躁・軽躁へ向かう状態の違いを知ることです。

 

では、双極症とどのように付き合えばよいのかをシェアしていきますね。

 

1.睡眠と生活リズムを大切にする

 

双極性障害では、睡眠と生活リズムが重要です。

 

特に「眠らなくても平気」という感覚は、単なる睡眠不足ではなく躁・軽躁状態のサインとなることがあります。

 

そのため、起床、就寝、食事、仕事などの時間を大きく変動させないことが、日々のセルフマネジメントにつながります。

 

対人関係・社会リズム療法(IPSRT)は、こうした日常生活のリズムと対人関係に注目する心理療法です。
 

実際、Frank et al.(2005)の研究など、生活リズムの安定を治療に組み込む意義を検討した研究があります。

 

2.「気分」だけでなく行動を記録する

 

「今日は気分がいい」「今日は落ち込んでいる」だけでなく、睡眠時間、活動量、予定の数、買い物、仕事量、人との連絡、イライラなども記録してみます。

 

というのは、本人が気分の変化に気づくより前に、行動に変化が表れることがあるからです。

 

ただし、毎日細かく分析する必要はありません。

 

自分の「いつもの状態」から何が変わったかを見ることが目的ですので、その目的が達成できる程度の細かさで十分です。

 

3.自分だけの再発サインを知っておく

 

再発のサインは人によって異なります。

 

睡眠時間が短くなる人もいれば、SNSへの投稿が増える、買い物が増える、人に強く意見したくなる、次々と新しい計画を立てる、といった変化が先に現れる人もいます。

 

これは、双極症のうつ状態についても同様です。

 

朝起きる時間が遅くなる、人との連絡を避ける、入浴しなくなる、食事が変わるなど、「悪化する少し前」に現れる変化を見つけます。

 

そして…

 

✔このサインが出たら予定を減らす


✔睡眠を優先する


✔家族に伝える


✔主治医へ連絡する

 

…といった対応を、調子が安定しているときに決めておくことが重要です。

 

NICEも、長期的な治療では再発の引き金、早期警告サイン、セルフマネジメント、再発時の計画を扱うことを推奨しています。

 

3:双極症に対してカウンセリングは何ができるのか

 

双極症のカウンセリングでは、再発を防ぎながら日常生活を取り戻していく支援が中心になります。

 

具体的には、病気について正しく理解する心理教育、自分の躁・うつのサインを見つけるセルフモニタリング、生活リズムの調整、ストレスへの対処、認知行動療法、家族とのコミュニケーション、再発予防計画などがあります。

 

Miklowitz et al.(2021)は、双極性障害に対する心理療法を調べ、その結果、薬物療法に構造化された心理療法を加えた場合、通常の治療と比べて再発が少ない傾向が示されました。

 

また、心理教育、認知行動療法、家族療法、対人関係療法など、それぞれに一定の有用性が認められています。

 

心理教育についても、2022年のシステマティックレビューでは、本人や家族への心理教育が、新たな気分エピソードや入院の減少、服薬継続などと関連していました。

 

つまり、薬によって気分の波を医学的に治療し、カウンセリングによって「波を早く見つけ、生活への影響を小さくする力」を身につけるという役割分担がわかりやすいでしょう。

 

4:カウンセリングより医療を優先すべきとき

 

カウンセリングを利用している場合でも、症状が強くなってきたときは、心理的な働きかけより医療的な対応を優先する必要があります。

 

ほとんど眠っていない、著しい浪費や危険行動がある、強い興奮や攻撃性がある、誇大的な考えや妄想がある場合には、速やかに精神科へ相談する必要があります。

 

また、うつ状態が重たい、特に最悪の選択肢を考えてしまうという場合も同様です。

 

NICE(英国の診療ガイドライン)は躁状態や重いうつ状態が疑われる場合、自傷他害の危険がある場合には、専門的な精神医療による迅速な評価を求めています。

 

まとめ

 

双極症との付き合い方で大切なのは、気分の波を完全になくそうとすることではありません。

 

自分の安定した状態を知り、睡眠や生活リズムを守り、躁・うつの早期サインに気づき、必要なときに早く治療につながることです。

 

カウンセリングは、そのための「自分の取扱説明書」を一緒につくる場所ともいえます。

 

ただし、双極症は医学的な治療が必要な疾患です。

 

主治医による診断と薬物療法などの治療を土台とし、そのうえでカウンセリングを組み合わせることが、安定した生活を支える一つの方法です。

 

よくある質問


Q1.双極症はカウンセリングだけで改善できますか?

 

基本的にはおすすめできません。

 

双極症では薬物療法が治療の重要な柱となります。

 

カウンセリングは、医学的治療と組み合わせて、心理教育、生活リズム、ストレス対処、再発予防などを支援する役割と考えるのが妥当です。

 

Q2.調子が良いときも主治医に伝えたほうがよいですか?

 

大切です。

 

特に睡眠時間が減っている、活動量が急に増えている、買い物や予定が増えている場合には、「元気になった」と自己判断せず主治医に伝えてください。

 

Q3.薬を飲んで安定していればカウンセリングは必要ありませんか?

 

必ず必要というわけではありません。

 

ただ、再発を繰り返している、ストレスへの対処が難しい、生活リズムが崩れやすい、病気との付き合い方に困っている場合には役立つ可能性があります。

 

Q4.家族もカウンセリングに参加できますか?

 

家族が病気について理解し、早期サインや適切な対応を共有することは再発予防に役立つ可能性があります。

 

家族療法・家族心理教育も双極性障害で研究されている心理社会的介入の一つです。

 

Q5.躁状態になりそうだと思ったら何をすればよいですか?

 

睡眠の減少や活動量の急増など、普段と異なる変化があれば、予定や刺激を減らし、可能な限り生活リズムを維持するとともに、早めに主治医へ相談してください。

 

また処方薬を自己判断で増減することは避けましょう。

 

参考文献・参考資料

 

日本うつ病学会(2023)『日本うつ病学会診療ガイドライン 双極症2023』

厚生労働省「こころの耳:双極性障害(躁うつ病)」

国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト:双極性障害(躁うつ病)」

Miklowitz et al.(2021). Adjunctive Psychotherapy for Bipolar Disorder: A Systematic Review and Component Network Meta-analysis. JAMA Psychiatry, 78(2), 141–150.

Frank et al.(2005). Two-Year Outcomes for Interpersonal and Social Rhythm Therapy in Individuals With Bipolar I Disorder. Archives of General Psychiatry, 62(9), 996–1004.

National Institute for Health and Care Excellence(NICE). Bipolar disorder: assessment and management. CG185.

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この記事の執筆者

駒居 義基(こころのケア心理カウンセリングルーム 代表)

心理カウンセラー(公認心理師)。20年以上の臨床経験と心理療法の専門性を活用して、神戸市や芦屋市、西宮市の近隣都の方々にお住いの心のお悩みを抱えている方に対して、芦屋市を拠点に最適なサポートを提供しています。

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